星歌
『星歌を知ってる……はアナタを幸せにしてくれるんだって!アナタの…願いを叶えてくれるよ。』 すごいでしょ!?ってその子は笑っていう。『でもその歌を聴くには……。』 その次に続く言葉はもう、覚えていない。 その子が誰だったかも全然覚えていない。 夢だったのか現実かも覚えていない。 でも確かに聞いた言葉。なぜかはっきりと覚えてる言葉。 『星歌』 あぁ。もしこの僕に星歌を歌ってくれる人がいるなら、来てください。 僕を幸せにしてください。 僕はあの人の側にいることが一番の幸せなのです。 ――僕を幸せにしてください―― 僕とあの人……シェゾは敵同士だ。 でも好きなの。ずっと隣にいたいって思う。 でもシェゾは、 「お前と俺は敵同士だ。お前の魔導力以外興味ない。」 はっきりと言った。スッゴク冷たい目で。本気だった。 確かにシェゾは僕の魔導力しか見てない。 ならなんで僕を助ける?なんで僕に笑顔を見せる?なんで僕に優しくする?なんで、なんで、なんで……!!! 僕の魔導力が欲しいなら僕を殺せばいい。 彼ほどの力があれば簡単なはずだ。 もし、本当に僕の方が力が強くて勝てないとしてもいきなり後ろから攻撃をすれば簡単に死ぬ。 ――僕のことを見てくれないのなら殺してください。 君に求められない世界に僕は生きていたくないです―― そんなことを思いながら一人夜道を歩く。 『アナタの願い事を叶えてあげようか?』 鈴を転がしたようなかわいらしい声がした。 いつの間にか僕の後ろにはかわいい女の子がいた。 僕の半分くらいの背で、髪の毛は金色。目は吸い込まれそうな深い青。白いワンピースを着ている僕が何も答えないと、 『アナタの願いを叶えてあげようか??』 その子はもう一度言う。 夜の一時近い時間に突然現れた女の子に軽くパニックになる僕。 「君は誰?どっから来たの?お母さんやお父さんは?」 その子は少し困った顔をしてからゆっくり答えた。 『私は星羅(せいら)。』 星羅ちゃんは名前以外は答えてない。 でも僕は構わずにいっぱい質問をする。 「何歳?だいたいいつ来たの?なんか困ってるの?もしかして迷子?」 …何も答えない。 その後も星羅ちゃんを質問攻めにする。 星羅ちゃんは答えてくれなかった。 最後にやけになって叫んだ。 「なんで僕に声をかけたんだよ!!!」 その質問には 『私はね、星歌が歌えるの。星歌ってね、聴いた人は必ず幸せになれるの。』 ……答えた。 「星‥歌‥?じゃあ、僕に歌ってくれる?僕の幸せは彼が僕を見てことだよ。それでも大丈夫?」 『うん!なんでも大丈夫なの。だって星歌は凄い力があるから…でも条件があるの。』 その後、星羅ちゃんはとんでもないことを口にした。 『代わりにアナタの魂を私にください。』 1週間だけ彼は僕を見てくれる。そのかわりに僕は…死ぬ。 それでも僕は星歌を歌ってもらうんだ。 ――君が僕を見てくれない世界に生きてる意味はない。一瞬でも僕を見てくれるのなら喜んで魂を捧げましょう―― 「歌って!!星羅ちゃん。」 『…後悔しない?』 僕は力一杯うなづいた。 星羅ちゃんの星歌はとてもキレイだった。 なぜか涙が止まらないほどに。 なんか大切なことにきづいてないみたい…。 そんな不思議な感覚。 『これでいいからね。明日から彼はアナタの隣にいるの。1週間後、また来るからね。』星羅ちゃんがどんどん透けていく。 ……もしかして幽霊!?。 消える直前に星羅ちゃんは言った。 ――アナタの真の願いが見つかるといいね―― 「え?どういうこと?」 問いかけるが星羅ちゃんはもういない。 僕の真の願い? …僕の願いはシェゾの隣にいることだけだよ? 一体どういう意味なんだろう? *****次の日***** 「アルル!!どこにいたんだ、捜しただろ!!」 シェゾが突然僕の前に現れて叫んだ。 「え?なんで?」 捜した…って僕とシェゾはなんの約束もしていない。 つまり、シェゾが僕を捜す理由なんてない。 「いつもこの時間は俺の家にくるだろ。なのにこないから心配したんだ。」 確かにこの時間にはシェゾの家に行く……というか押しかけていく。 今日はたまたま行かなかった。 そんな僕のことをシェゾが心配してくれてる。つまり僕を見てくれる、待っててくれる。 すごい嬉しい……。 ありがとう…星羅ちゃん。 その後、シェゾの家に行き、一緒にご飯を食べて帰った。帰りも送ってもらったvv シェゾとケンカしないのなんて初めて。 僕の魂なんて本当にどうでもいいよ。 本当の本当に。 その時はまだそう思っていたんだ。 シェゾは僕の隣で優しく笑ってくれる。 いつも一緒にいてくれる。僕の魔導力なんか見ないで僕だけを見てくれる。 でも、今のシェゾは好きじゃない……。 自分で自分の考えに驚く。 好き‥じゃ…ない?? じゃあ、僕は……、 [シェゾのどこが好きだったの?] 〈ときどき見せる優しさ〉 [シェゾのどこが嫌いだったの?] 〈僕の魔導力だけを欲しがること〉 [一体、シェゾはどんな人だったの?] 〈冷たいでも優しい。頭が良いのになぜかバカ。僕の魔導力しか見てない。〉 [じゃあ今の彼は?] 〈優しくて、僕だけを見てくれる。〉 なんで…、 ――そんなのシェゾなんかじゃないって―― 気づかなかったんだ…。 僕のことしか見てないシェゾを好きになったんじゃない。 僕はい闇の変態魔導師を好きになったんだ。 優しいのに冷たい、でも優しいシェゾを好きになったんだ。 僕だけを見て欲しかった。 でも…シェゾじゃないシェゾなんてイラナイ。 『わかった?』 突然、鈴を転がしたようなかわいい声 この声は…、 「星羅ちゃん…。」 『わかったの?アナタの真の願いは?』 ――僕の願いは彼が僕を見てくれること。本当の彼が―― 『真の願いがわかった見たい。ならアナタの魂はイラナイ。私が欲しいのは願うだけしか頭にない人の魂。本当の自分が見えてない魂なの☆☆』 そっか、星羅ちゃんは嘘つきな僕の心を、魂を持っていってくれたんだ。 僕が真の願いに気づけるように…。 やっとわかった。この子は星の子だ。 『アナタは強いよ。自分に自信を持ってね!!』 また星羅ちゃんは透けていく。 幽霊だから消えるんじゃなくて、空へ帰るんだね。 ************ シェゾはもとに戻った。 1週間何をしていたかは覚えてないらしい。 少し残念だけど、良かった。 シェゾとは少しだけ進展したからいい。 あの後、僕はシェゾに「好きだ」と伝えた。 返事も何ももらってないけど、僕の魔導力を狙うことは無くなった。 星羅ちゃんのおかげだと信じてるよ!! 『星歌を知ってる星の子は、アナタを幸せにしてくれるんだって!! アナタの真の願いを叶えてくれるよ。』 『でもその歌を聴くにはアナタの嘘つきな魂をあげて、真の願いを見つけなきゃいけない。簡単なようで難しい。でも難しいようで簡単な約束をするんだ。願う本人すら知らない約束をね。』 ――星の子は今もアナタの側にいるよ。アナタが自分の願いを見失う時に降りてくる。アナタの嘘つきな魂と真の願いを交換しに―― 星歌 |
story by 夏空 |
お題の「星」にすら苦戦しました; 無理矢理、星の子を作ったり 星歌を作ったり………星歌って言葉しかないですね。 歌ってないですね;; ここまで読んでくださった方(いますかぁ?)ありがとうございました!! こんな駄文ですけど、参加できて本当の本当に良かったです☆☆ 本当にありがとうございました(*^^*) |