「我輩は猫である」

 

知っているだろうか。こんな偉そうなセリフを吐いた生物を。

自我存在を主張する、生存確認の為とも言える言葉だ。

私もこんなに堂々と存在を主張できたらどんなにか嬉しかっただろう。

裏をかえせば証明しないと認められない命をどんなにか悲しんだだろう。

この世は求めるユートピア。

羽を持てないユートピア。

 

 

優しい歌がうたえない・1

 

 

法令と制限と弱肉強食が鉄則のこの街で生きていくには何もなさすぎて

羽ばたくことも、歌うことも許されなかった。

何もない路地裏で、色のない空を見上げては水彩に滲んでいく視界に目を細めた。

こんなことを繰り返す内にふと気づいた。

「私はどうして何もないんだろう?私はどうして飛べないのだろう」

まぁこんな色のない空は飛んでも飛ばなくても左程意味はないが・とつけたしながら

家から持ち出したパンを一切れ・また一切れとちぎりながら口に含んだ。

目から不本意に流れ落ちる水がパンについて少ししょっぱかった。

一度でいいからキレイな海のような色をした空を飛んでみたかった。

虹の終わりを探したかった。

 

「私らしくもないね」

自嘲するような笑みを浮かべながらその少女はなくなったパンに眼をやった。

 

お腹すいたなぁ・・・・

 

少女は細いウエストに右手をのせ、一つため息をついた。

空になったパンの袋に空気をいれ、ギュッ、ギュッとねじり、

再度自由になった右手を左手に持っている袋めがけて振り出した。

ギュッ!!

と袋が悲鳴をあげて少女の右手を拒んだ。

そして色のない空は酷一刻と深みを増すように見えた。

 

       <<続く>>

 

 

この目は夢を見すぎて何も見えなくなった

 

この手は夢を掴みすぎて動かなくなった

 

あの日から私は麻痺してしまった

 

 

「優しい歌がうたえない・2」

 

 

世界が壊れてから幾日かたった。

「グルルキュ〜・・・・・。」

いつもの路地裏に響くのは虚しい空腹音。

不意に降ってきた雨音と共に、彼女もまた

ぽつり・ぽつりと何かを音をたてた。

 

ー何かを意味にするたびに 

   時として物は意味を失う

     もしもこの翼が意味を持てたなら

       

 

少女の歌ったその歌は

雨に打たれながら

旋律も意味も曖昧なままで閉ざされた

 

一つの静止していた影が

少しずつ静止をほどき

路地裏へと足を進め、一言放った。

 

 

「名前をつけてやる」

 

 

この目は、落ちていく雨を見送った

 

この手は、何かを探してはいずった

 

ー雨がやんだ気がした

 

 

 

**あとがき**

すっごく暗くてすいません;;;自分恐らくシリアスしか書けません!!

そしてこの作品は「名前をつけてやる」の一言を言わせたくって書いたものです!!

(ぇ

まぁとにかく意味不な小説とも言いがたいものですが宜しくお願いします!!

 

 

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