日常?
「ふんふんふふ〜ん♪」
晴れた日曜日の午後、木漏れ日の差す森の道を亜麻色の髪と、太陽の様に輝く金の瞳を持つ少女が
鼻歌を歌いながらスキップをするような軽快な足取りで歩いてくる。
彼女の名は、アルル・ナジャ。
肩に「ぐ〜」と鳴く軟体動物カーバンクルを従えた魔導師の卵である。
彼女は今日も元気にお散歩の途中だった。
「今日もいい天気、最高のお散歩日和だね。カー君。」
「ぐ〜♪」
アルルの問いに元気良く答えるカーバンクル。いつもの風景。
そしてこれまたいつもの風景。
「あれ?あそこにいるのは・・・」
そこには、彼女が良く知る人物。いや、知り過ぎている人物がいた。
「シェゾ〜!」
そこにいたのは、アルルを付け狙う自称「闇の天才魔導師」、他称「嫌味の変態魔導師」シェゾ・ウィグィィ。
しかし、彼はアルルの呼び声に振り返るどころか、歩みを止めることすらしない。
気付いていないのか?いや、無視しているのだ。おもいっきし(笑)
アルルは面白くなさそうにぷく〜っと顔を膨らませるが、次の瞬間まるで悪戯を思いついた子供のような表情になる。
彼女は知っているのだ。彼を確実に振り向かせる方法を・・・(笑)
「へんたい(ボソッ)」
「俺は変態じゃね〜!」
アルルが呟くと間髪いれずにシェゾが突っ込む。そう、彼は「変態」と言う言葉に異常なほど敏感なのだ。
その反応の早いこと、早いこと・・・。まさに音速と言っていい程だろう(言い過ぎ)振り向いた後でしまったと言うような顔をするが時すでに遅し、彼女の勝利は近い(爆)
「なによ、聞こえてるんじゃないか〜」
アルルは一寸拗ねた様に言い、とてとてとシェゾに近づいていく。
シェゾもこれ以上無視を続けるのは無意味と見たのか体ごとアルルに向かって言葉を返す(言い返す?)。
「るせぇ、おまえに関わるとろくなことねーからな」
「へ〜、何時もは『おまえがほしい』なんて変態的なこと言って迫ってくるくせに、用がない時は無視するんだ〜、君って最低だね」
「てめ〜、けんかうってんのか?俺がほしいのは魔導力だと何度言ったらわかるんだ!?だいたい、誰がてめーみたいなちんちくりんに手だすか !」
「む〜、いったな〜!」
「んだよ、やるか!?」
「やるの!?」
そう言った瞬間アルルは、後方に飛んで間合いを計りファイティングポーズをとる。シェゾも闇の剣を召喚する。
何時ものバトル勃発かと思われた、その時・・・
「・・・やめた、やめた」
「・・・へ、あれ?」
何時も最初に仕掛けて来る筈のシェゾが闇の剣をしまってあっさりと引いてしまったのである。
アルルは、驚いたのと同時に少しだけ残念そうな顔をする。なんだかんだ言って彼女はこの関係を結構
気に入っているのだ。まぁ、そんなことを言ったら彼が激怒すること間違いなしなのだが・・・(笑)
「ちょっ、ちょっと待ってよ!何で止めちゃうのさ!?」
アルルは立ち去ろうとするシェゾを慌てて引き止めた。折角捕まえた(?)のに、逃げられては詰まらない
と言う感じだ。シェゾは大きくため息を吐き、首だけ振り返った。
「言っただろ?おまえと関わるとろくな事にならんと。それに、俺は忙しいんだよ」
(あ、そう言えば・・・)
シェゾは街とかで見かける時の白い服ではなく、黒を基調とした服とマントに魔導アーマーという姿だった。
まぁ、どっちも見慣れた姿だったから、あまり気にも留めなかったんだろう(つっても気付くの遅!)
因みにアルルはいつもの青い服に白のタンクトップと青いスカートと言う姿に、魔導アーマーと赤いマントの代わりに青い胸当てといった軽装だ。
「これから遺跡探索にでも行くの?」
アルルはシェゾに問う。彼が黒いほうの服を着ているときは大抵冒険に出かけるところか、帰る途中なのだ。
「あ?ああ、遺跡っつーかダンジョンだな、今回は。この間の地震の時に現れた洞窟だ」
「あー!知ってる、知ってる!なんでも随分昔に埋まっちゃった洞窟が、偶然地震で口をあけたんだよね。
埋まった当時もほとんど手が付けられてなかったらしいし、もしかしたらすごい秘宝とかあるかもね!」
「ああ、まぁな。って、もしかして付いて来る気か?」
シェゾは横に並んで歩き出したアルルに問う。律儀に答えといてそれはないと思うぞ、シェゾ。
「別にいいじゃん。旅は道連れって言うじゃない?ね、カー君?」
「ぐ〜」
「ほら、カー君も『行きたい』って言ってる」
「『言ってる』って言うか、寝てるだけだろ?そいつ・・・ι」
シェゾの言うとおりカーバンクルはアルルの肩で鼻提灯を膨らませている。洞窟探索など彼(彼女?)にとってはどうでもいいことらしい。呑気なものだ。
「そんな細かいこと気にしてるとモテなくなるよ?」
「細かくねーだろ!つーかいらねー!」
「それもそーだね。なんたって変態だし。」
「お〜ま〜え〜な〜」
「やぁ、アルル、シェゾ。何やってるんだ?こんなところで」
「あ、ラグナス!」
「げ、ラグナス!」
アルルとシェゾが何時もの痴話喧嘩(笑)をおっぱじめようとした時、前方からこれまた良く知る人物が現れた。
黄金の鎧に身を包んだ黒髪の少年。変体の異名を持つ(笑)異世界の光の勇者ラグナス・ビシャシだ。彼の出現でアルルは友人に出会えたことに喜び、シェゾは心底嫌そうな顔をした。闇の魔導師であるシェゾにとって、光の勇者であるラグナスは最も苦手とする人物らしい。まぁ、シェゾがラグナスを嫌う理由はそれだけではなかったりするが・・・(爆)
そんなシェゾの表情を見てアルルは、
(シェゾって、なんでラグナスの事嫌うんだろ?変態と変体でけっこう良いコンビになるとおもうんだけどな・・・)
などと思っていたりする。言ってること結構酷いぞ、アルル。
「そうだ、ねぇ、ボクたちこれから洞窟探索に行くんだけど、ラグナスも一緒に行こうよ!」
「え?」
「な!?」
アルルはなぜか『ボクたち』を強調し、さも「いい事思いついた♪」とばかりに言う。
しかも、彼女は「うん、それがいい!」と、一人で納得してしまっている(笑)
「おい、ちょっとまて、誰が一緒に行くと・・・」
「俺、今から用事が・・・」
「旅は人数多い方が楽しいし、いいよねv(にこっ)」
二人が抗議の声を上げようとしたその時、アルルは目の覚めるような笑顔で微笑みかけた。しかし、天使のような笑顔とは裏腹に、アルルの両手には特大の魔導力が集まっている。すでに「言うこと聞かないとジュゲムでふっとばしちゃうぞ♪」モードの彼女に、シェゾやラグナス如きが敵う筈がなく、彼らに決定権などないのだ(酷)
「「は、はい・・・ι」」
「うん!よろしい!」
そう言わざるを得なかった二人に満足そうに頷き、うきうきと歩き出したアルルの後姿を見てシェゾとラグナスは顔を見合わせ、ため息を吐くしかなかったという。ご愁傷様。
***
「ここか?例の洞窟って」
「・・・らしいな」
「なんか、普通の洞窟だね」
「ぐ〜」
約2時間程森の中を歩き回った4人(3人と1匹)の前には、洞窟の入り口がぽっかりと口を開けていた。
道中、モンスターと戦ったり、アルルがカーバンクルを追いかけて迷子になりかけたり、ハーピーの美声(爆)を聞かされたり、突然現れたまものにいきなり泣かれたり・・・と、いろいろあったらしいがなんとか目的地に辿り着いた。
「それにしても・・・さっきのは幾らなんでもやり過ぎじゃないかな・・・」
アルルの言うさっきのとはおそらく、まものの事だろう。まものというのはこの森に住み着いている鋭い爪を持ち、鳥のような頭に二本の角をはやした全身毛むくじゃらの真っ黒な体を持つモンスターだ。しかし、その禍々しい姿とは裏腹に彼はよく泣く。どうやらいつもの様に突然泣き出したまものに、虫の居所が悪かったシェゾとラグナスがアレイアードとファイナルクロスをぶっかましたらしい。早い話が八つ当たりである。勿論まものはそのままばたんきゅ〜。
なんとも哀れだ。
「別にそれ程凶暴ってわけでもないし、人に危害加えるわけでもないし・・・」
「「泣かれると鬱陶しい」」
シェゾとラグナスの声が見事にハモる。
「・・・ι」
「大体、でかい図体しやがって泣きまくるんじゃねーっつーの」
「そうだ、そうだ!」
シェゾの言葉にラグナスが賛同する。結構息合ってるんじゃねーかお前ら・・・ι
「お前もそんな事いちいち気にしてんじゃねー、おら行くぞ!」
シェゾはそう言うと、つかつかと洞窟の中にはいってしまった。ラグナスもその後を追う。
アルルは暴走(?)する彼らを止める事が出来なかったため何も言えず、しぶしぶ彼らの後を追った。
***
洞窟の中は思ったよりも広かったが、それほど攻略が難しいと言うほどでもなかった。実際、アルル達は何度かモンスターに襲われたものの、順調に(アルルが何度か罠にはまりかけた事をのぞいてだが・・・)奥へと進んでいった。
「いや〜、大猟、大猟♪」
「ああ、本当だな」
どうやら殆ど手が付けられないまま埋まったと言う噂は本当だったらしく、幾つか貴重な魔導器を見つける事が出来、
アルルはほくほく顔。ラグナスも黄金リンゴをみつけ嬉しそうだ。
「・・・」
「?・・・どうしたんだ?シェゾ」
ラグナスは顎に手を当てなにやら考え込んでいるシェゾにそう問う。アルルも立ち止まり、不思議そうに首を
かしげている。
「いや、一寸気になる事があったんでな・・・」
「気になることって?」
アルルにとってシェゾの態度は意外なものだったらしい。シェゾが魔力に対してとてつもない執着を持っている事を
アルルは知っている。だから貴重な魔導器を見つけたシェゾは狂喜するに違いないと思っていたからだ。
「考えてもみろ。この洞窟、それ程入り組んでるわけでもねぇし、モンスターが強いわけでもねぇ。
なのに今まで見つけた宝箱は全て手が付けられていなかった。・・・なぜだ?」
「だから、それはこの洞窟が埋まっちゃったからで・・・何でだろう?」
アルルは今までそう思っていた。だから手付かずの宝箱を見ても、それ程不思議とは思わなかった。
しかしアルルは自分でそのことを口に出し、気付いたのだ。
確かにこの洞窟は長い間地中に埋まっていた。しかし、それ以前は当然地上にあったわけで、
誰にも見付からなかった事など有り得ないのだ。にもかかわらず、洞窟が荒らされた形跡がないと言うのは
不自然すぎる。
「まさか・・・罠?」
「・・・たぶんな」
ラグナスの科白にシェゾが応える。
「罠って・・・誰の・・・?」
「さぁ、そこまでは・・・シェゾ、どう思う?」
「さぁな、俺にも分からん。こんな洞窟つくっちまうくらいだ、相当魔導力が有り余ってるんだろうよ。
それに加え相当の暇人だな。そんな奴この世界にいるわけが・・・」
しばし沈黙。
「・・・いた・・・な」
「あぁ、いたな」
「いたね」
「ぐ〜」
どうやら4人(?)とも同じ人物を思い浮かべたらしいく、ものすご〜く嫌そうな顔をする。
「で、どうするの?このまま帰る?」
「まぁ、このまま待ち惚けさせてやってもいいが・・・」
「でもそれじゃぁ後が面倒じゃないか?」
「・・・だな・・・」
「んじゃぁ、このまま進むの?あんまり気が乗らないなぁ・・・」
「ぐっ、ぐ〜」
4人(?)が大きくため息を吐く。このまま帰りたい衝動を押し込め、アルル達は洞窟の奥へと進んでいった。
***
「・・・おい・・・」
「・・・だ、だって・・・」
暫く一本道が続いたが、急に開けた場所にたどり着いた。どうやら此処が洞窟の最深部らしい。
いよいよ犯人とのご対面のようだがアルルはシェゾのマントにしがみ付き、必死に隠れようとしている。
相当犯人(?)とは遭いたくないらしい。いや、気持ちは分かるけど・・・。と、その時・・・。
「ふはははは、よくぞ此処までたどり着いたな。流石はわが后だ!」
「げ、でたぁ・・・」
お決まりの科白とともに現れたのは何を隠そう、アルルを后にと目論む自称「魔界の貴公子」。魔導世界一魔導力の無駄遣いの激しい暇人お気楽魔王サタン様10万飛んで25歳である!(細かっ)。
彼の姿を見るなりアルルは本日何度目かのため息をもらした。
「だからボクは君の后じゃない!」
「・・・やっぱり・・・」
「やっぱてめぇか!この暇人変態ロリコン魔王!」
「ぐ〜!」
「うぉ!カーバンクルちゃんv」
「・・・って人の話を聞け!」
どうやら皆の予想は見事に的中したらしく、4人とも嫌そうな顔をする。
それもそのはず、この魔王、思い込みが激しい上、祭りや楽しい事が大好きで毎度毎度厄介ごとを運んでくる。その癖自分で事件を解決しようとはせず、アルルやシェゾ、ラグナス(他の連中もだが)は何時もトバッチリ&尻拭いをさせられている。そのためサタンは4人にとってはあまり会いたくない&関わりたくない人物なのだ。そんなサタンはカーバンクルを見つけたとたん、魔王の威厳は何処へやら、でれぇ〜っと顔の筋肉を思いっきり緩ませていたりする。それを見る度アルル達は「本当に魔王か?」などと思ってしまう。まぁ、彼らも人の事は言えないのだが(爆)
「む、シェゾ何故貴様がここにいる?しかも我が后と密着しおって!うらやま・・・いやいや、汚らわしい!」
「だからボクは君の后じゃないってば!」
見るとアルルは未だにシェゾのマントにしがみつき、離れようとしない。どうやらサタンにはその光景がシェゾがアルルを抱き寄せているように見えたらしい(をぃ)
「はぁ?お前馬鹿か?これはこいつが・・・」
「うるさい!だいたい貴様、最近アルルになれなれしいぞ!魔導力が目的とかいっておいて、実はアルルを我が物にと企んでいるのだろう!?」
「おい、それはどういう意味だ?」
ビシィっとシェゾを指差すサタンに、それはお前だろう、という科白を呑み込み、シェゾは問う。
「しらばっくれるな!知っているぞ。貴様、毎夜毎夜アルルの家に押し入り、夜の密会を繰り広げているではないか!?」
「「な!?」」
「あ、アルル、シェゾ・・・お前ら何時からそういう関係に・・・」
アルルとシェゾの声がはもり、ラグナスが後ずさる。
「ち、違う!」
「そ、そうだよ!ちょっとサタン、誤解を招くような事言わないでよね!あれはただ、月が綺麗だったからベランダでお茶してただけじゃないか!なんでそういう言葉がでてくるのさ!」
「そうだ!しかも週に2〜3回だ!」
「・・・草木も眠る深夜、部屋の中に響き渡る静かな悲鳴が・・・」
「マッサージしてやっただけだろ!しかも足裏!」
「うん、シェゾって結構力強いからマッサージには最適なんだよね。魔導師やめてマッサージ師になれば?」
「・・・ι」
ラグナスは思った。こいつらアホだと・・・。と言うか週に二、三回も出入りしている事には突っ込まないのか?魔王様よ。
「・・・と、兎に角、貴様がアルルと一緒にいる事自体が問題なのだ!今後一切我が后に近づけぬよう成敗してくれる!」
「てめぇ、言わせておけば!」
「まぁまぁ二人とも落ち着けよ。・・・サタン一寸聞いていいか?」
意外に冷静(失礼)なラグナスが二人の間に割ってはいる。
「う、うむ」
「これってアルルの家での出来事だよな?なんでお前が知ってるんだ?」
ラグナスの素朴(?)な疑問に一瞬、周りの空気が固まる。
「ま、まさか覗いてたの?」
「・・・!?、何時もの怪しげな水晶か!?」
「と、盗撮!?まさか私生活全部覗かれてた!?」
「最低だな…サタン」
「ち、ちがう!私は唯我が后を見守る義務があると・・・」
皆の視線が冷たいものへと変わる。サタンの科白は明らかに肯定の意であり、アルルを怒らせるには十分だった。
アルルは精神を集中し呪文を構成する。相当お怒りのようで。カーバンクルも額の宝石に魔導力を集め、ラグナスも光の剣を構える。
シェゾもいつの間にか闇の剣を召喚している。見ると額に青筋が・・・(怖)
「サタン、この際だからハッキリ言っとくけど、ボクは君の后じゃないし、なるつもりもさらさらない。よって、そんな義務ボクは認めない!」
「ロリコンだけでは飽き足らず犯罪にまで走るとは・・・落ちたなサタン」
「前はいい奴かもとか思ってたけど・・・残念だよ」
「ぐ〜」
4人の回りを物凄い怒気が取り巻いている。あまりの迫力にサタンは汗を流す。さらばだサタン、永遠に(笑)
「ちょ、ちょっとまて、話し合おう!そしたら分かってもらえるはずだ!」
「「「「問答無用(ぐ〜)!」」」」
「ファイナル・クロス!」
「アレイアード・スペシャル!」
「ぐ、ぐぐー!」
「ジュゲム!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
ズドカアアアアアアアアアアアアアアアン
4人とも自分の最強の技&魔法をくりだす。その時至上最強の魔法ラグナロクが完成した(嘘)とてつもない爆発と同時に、大地が揺れ、土と石が宙を舞う。ようやく土煙が晴れたとき4人が姿を現した。
「・・・おい、大丈夫か?」
「た、助かった・・・」
「ありがと、シェゾ」
「ぐー」
どうやら4人とも爆発に巻き込まれたものの、シェゾの張った障壁のおかげで、難を逃れたらしい。爆発の起きた地点はクレーターと化し、その中心には黒焦げの見るも無残なサタンが横たわっている。アルルたちはクレーターの下へ降りて行き、その場でばたんきゅ〜しているサタンの元へやってきた。
「…死んだか?」
「う〜ん、息はしてるみたい」
「ちっ、しぶといな」
そう言いながらラグナスはサタンを踏みつける。本当に勇者かお前ι
「で、どうするの?これ。このままほっとく?」
「・・・ルルーにでも送り付けるか?」
シェゾさん名案v その言葉にアルルの目がきらりと光る。
「そうだね、どうせなら綺麗にラッピングしちゃおう!」
「おまけにウィッチの薬もつけとくってのは?」
ラグナスの言葉に皆顔をあわせる。
「「「・・・決定!」」」
作戦(?)をたてた三人は黒焦げのサタンを引きずって洞窟を元着た道へと引き返して行った。因みにカーバンクルは力を使いすぎて眠っている。アルル達が去った後には崩れ掛けた壁と巨大なクレーターが残るのみだった・・・。
***
「はぁ〜、やっと出られた!」
此処は洞窟の入り口、どのくらい洞窟の中にいただろうか?見るともうすでに日が傾き始めている。
「さて、と、これからこいつをどうするか?」
「あ、俺、ウィッチのところに行くからついでに持っていってもいいぞ」
「え、ラグナス、用事ってもしかしてウィッチのとこだったの?・・・なんか悪い事しちゃったかな?」
「あ、別にいいよ、話したら分かってくれるだろうし。それにいい実験材料が手に入ったんだから文句言わないと思うし・・・」
「ほぉ、お前ら何時からそういう関係になったんだ?」
「べ、別にそんなんじゃないって////」
さらりと、しかも爽やかに怖い事を言うラグナスにアルルが少しだけすまなさそうな顔をし、シェゾがラグナスをからかう。ラグナスにとっては、お前らこそどうなんだ?と突っ込んでやりたいところだったが・・・やめた。
それじゃ、急ぐからと言い残し、サタンを引きずりながら、森の奥へと姿を消して行ったラグナスを最後まで見送って二人は・・・。
「これからどうする?もう暗くっちゃうし・・・家来る?」
「ああ、そうだな腹も減ってきたことだし・・・そういえば朝から何も食ってねぇな」
「相変わらず貧乏してるんだね」
アルルが哀れみの視線をシェゾに向け、シェゾは少しむっとしたように言い返す。しかし、家来る?と問われて動揺しない男も珍しいものである(笑)
「うるせぇ・・・」
「ま、いっかご飯は皆で食べたほうがおいしいもんねv」
そう言ってアルルがくすりと笑う。少しだけシェゾの顔が赤いのは夕日の所為だろうか?
「そんじゃ時空転移よろしくv」
「あ、ああ。・・・その前にサタンの城寄っていいか?」
「いいけど・・・なんで?」
怪訝そうな顔をするアルルにシェゾ肩をすくめこたえる。
「あの水晶、今度こそ完全に破壊しとこうと思ってな。」
「ああ、そういうこと。わかった。・・・シェゾ」
「なんだ?」
「ありがとv」
「あ、ああ//// んじゃ、時空転移ぞ、しっかりつかまってろ!」
「は〜いv」
そう言って、アルルはシェゾの腰に腕を回す。シェゾも不器用に、しかし優しくアルルの肩を抱く。次の瞬間二人(+1匹)の姿は、黒い風に包まれ、掻き消える。木の葉が舞い、辺りは再び静寂に包まれた。それから数日間、魔導世界の日常はたいした事件も発生せず、平和に過ぎ去ったという事だ。めでたしめでたしv
注・例え愛が有ったとしても、盗撮は犯罪です。絶対に止めましょう。殺されます(誰に!?)
***あとがき***
結構前に書いた小説(?)。微妙にシェアルでラグウィになってます(笑
しかも微妙にギャグ(爆
こんなんでも読み返してみると結構面白いと思ったのは私だけ?(ぇ
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