日記掌編

No 8. シェゾの憂鬱


 ルルーと派手に言い(やり)争(あ)ったシェゾですが、蹴り殺されそうに(!?)なりながらも何とか遊園地のペアチケットをぶんどったようです。
 カレー屋さんのアルバイトをしているアルルを道端で待ち伏せ。
 明らかにストーカー行為ですが、いつものことなので誰も咎めません。
 不適な笑みを浮かべながら(後ろの「危険人物出現注意!」の看板がよく映えます)デート模様を脳内シミュレートしていると、アルルが歩いてくるのが見えました。

「お、あ、アルル!」
「あ、シェゾ。どうしたの? こんな所で」
「いや、その、お前がほしい!」
「? ……今日もバトル??」
「ち、違うっ!」
「あれ、違うの?」
「違う。そうじゃなくてだな……」
「なに?」
「お、お前にコレを受け取ってほしい」
「あぁ、そういう意味……。ってコレ、遊園地のチケット!? 貰って良いの??」
「ああ……」
「ホントに!? ありがとうシェゾ! ボクすっごく行きたかったんだ〜。この前ドラコと話ててさぁ〜」
「!!? じゃ、じゃぁ今度――」
「うんうん、持つべきものは友だね〜♪ 今度ドラコと二人で楽しんでくるよ」
「……は?」
「このチケット、ありがたく使わせてもらうね! ほんっとキミって気が利くしそういうところだけは好きだよ!」
「え? ちょ、アルっ!?」
「じゃっ、シェゾ、またね〜〜」
「え、ちょっ、ま、待て! アルルぅ!!? ……俺の立場って、一体…………」


 THE END

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