「ちょっ! サタン様何やってるんですか!? 今日という今日は溜まりに溜まった仕事をちゃんと……っ!!(ってかバレたらアタシがルルーに殺されるのよっ!?)」
プレゼント計画の協力を頼まれているため(強制的に巻き込まれたとも言う)、焦るサキュバス。
しかし魔導学園、学園長としての業務が終わってうっきうき♪なサタン様は彼女の戯言など聞く耳持たずで校長室を飛び出してしまいました。
空は快晴風は爽やか。
ご機嫌で街の上空を飛ぶサタン様。
ふと目をやればルルーらしき女がシェゾらしき男と店から出てくる所でした。何やら賑やかに話をしているようです。
……サタン様、石化。
「ふっ、ルルーも所詮小娘、一向に応えない私よりも近くの男の方が……。ふふっ、私とてルルーの事なんぞ何とも……」
塔に帰ったサタン様は玉座に沈み込むや否やぶつぶつと独り言を始めてしまいました。
何処をどう聞いたって意固地……。
が、
「ん? まてよ、しかしシェゾはアルルの事が……。ま、まさかあのクソガキ! 二股……っ」
妄想が暴走していきます。
暴走女王もかくや、と思われる暴走っぷりに控えていた臣下が怯え始めた時、事の元凶が現れました。
何事も無かったかのように(実際にはかなり慌てていたのが見て解ります)玉座に座りなおし足を組むサタン様。
何か用かとそっけなく問うサタン様に、ルルーはにっこりと微笑みました。
「今日はサタン様に贈り物を、と思いまして」
渡されたのはルビーのスカーフ留め。
ちょっとデザインが少女趣味の様な気がしないでもないですが、サタン様の赤衣に合いそうです。
「何がお気に召すか解らなかったので参考までに連れを伴ったのですが、趣味は悪いし煩いしで相手が悪かったので蹴り倒してきましたわ。わたくしが選んだ物ですが、お気に召してくださると嬉しいです」
陽気に話すルルーに、サタン様はこれまたそっけなく礼を言います。
それだけで満足したのか、ルルーは恭しく腰を折り、笑顔を残して帰っていきました。
そして数分後、サキュバスとインキュバス。
玉座のサタン様を伺いつつ、別の部屋にてやや冷汗を流します。
「見た!!? 泣いてるわよ、魔王!」
「ええ、見ましタ。泣いてましたネェ、それはもうユカイソウカイなほどの号泣っぷりデ――プレゼントに頬擦り」
「全く泣くくらいなら意地張らなきゃ良いのよね〜」
「マァマァ、相手は人間、こっちは魔族。いろいろ葛藤があるのですヨ、キングにも。寿命、文化、食から魔導力の問題、あのフタリには様々な困難がデスね……」
「あら、何かシリアスな展開♪」
「あの……聴いてまス……?」
THE END
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