カレーの美味しいカレー屋さん

 

きーんこーんかーんこーん…

 

いつもと同じ鐘の音。いつもと同じ放課後。

いつもと…違うのは…

 

「うわぁ!?遅れるぅ〜!!」

 

授業が終わって早々騒ぎ出す少女…。

 

「うるさいわねぇ…なのをそんなに慌ててるわけ?」

「あ、ルルー!ご、ごめん!急いでるから理由はまた今度っ!」

 

慌てて帰り自宅を始めた少女、アルルにその親友ルルーは問いかけるが、

アルルはと言うと会話もそこそこにかばんを持ち教室を出て行ってしまった。

 

「…何なの?一体…」

「あれ?知らないの??」

「どうやらアルルさん…バイトを始めたようですわよ?」

 

横からちゃちゃを入れてきたのは赤いチャイナドレスと緑の髪が印象的なドラコケンタウロス。通称ドラコと

黒いローブと三角帽、金髪蒼瞳の魔女っ子ウィッチだ。

 

「はぁ!?バイト!?なんでまた…」

「さぁ…理由は解らないけどさぁ〜」

「なんでも、最近公園前に出来たカレーショップらしいですわ」

 

驚いたように叫ぶルルーはウィッチの言葉を聞いて更に驚いた。

 

「えぇ!?あそこって有名店舗じゃない!?良くあのドン臭でちんちくりんで生意気で美しくないあの子が…」

「あぁ〜…ルルー?ドン臭いは解るけど…他は要らないんじゃ…(汗)」

「まぁ…そういうことですわ

「うぃ、ウィッチまで…(汗)」

 

二人の会話を聞きつつ、ドラコは密かにアルルに同情したと言う。

それから三人は「アルル、バイト怪事件」(何)について盛り上がるが、その話は尾ひれや背ひれ所かウロコ(ぇ)まで付いて学校の伝説として語られる事になったとか…(嫌

 

***

 

「はぅぅ…忙しいよぅ〜!」

 

その頃アルルは、空間転移顔負けの速さで出勤し、音速と呼べる速さで制服に着替え仕事に臨んでいた。

制服はスタンダードな黒と白のウェイトレス服。ふりふりのフリルが付き動き易くしかも可愛らしいデザインとなっております。

極めつけは黒タイツにこれまたふりふりの真っ白なエプロンドレス!正に萌え!

某魔王が見たら卒倒間違い無ぁ〜い!である。(何

まぁそれは置いといて…アルルは出勤して早々大苦戦を強いられる事になった。

平日だと言うのにも関わらず(しかも夕食前にも程遠い時刻)店内は満員。外にも人が並んでいるという始末だ。

恐らく今並んでいる客が全員入る頃には夕食時をとっくに過ぎている頃だろう。

しかしウェイトレスはアルルを合わせてたった三人!あっちからもこっちからもお呼びがかかり、もう兎に角大変なのだ。何故世の中こんなにも暇人が多いのだろうか?そして何故この店はこんなにもケチなのだろうか?などと思えて仕方がない。

 

「ぐ〜!」

「あ、カー君!お客さんのカレー食べちゃダメ〜!!」

 

売り物のカレーを食べられまいと必死にカーバンクルを止めながら仕事を進めて行く。

それより…何故カーバンクルを連れて来る!?と同僚の目が…(怖

 

―――からんから〜ん

 

本日何十度目かの入り口のベルが鳴る。

 

「いらっしゃ……って何で君がいるのさ!?

思わず叫んでしまうアルル。客や同僚の目が一点に集中するが、目の前の人物に囚われそれに反応する事が出来ない。

何故ならそこに居たのは…。

 

「あ…?そう言うお前こそ何故ここにいる…?」

 

他称嫌味の変態魔導師シェゾ・ウィグィィ様その人であった!(爆

慌てまくるアルルとは対照的に以外と冷静なシェゾ。対峙する二人の男女に周りの目が釘付けになる。

それはもう、映画のワンシーンの様……今こそ想いを伝えよアルル・ナジャ!(違

それにしても何故彼が此処に居るのだろうか?もしや今まで並んでいたのであろうか?ならば彼も暇人か!?

という訳でシェゾ暇人決定v(マテ

 

「…おい…ぼーっとしてねぇでとっとと開いてる席に案内しろよ」

「え?あ、そ、そうだね。ど、どうぞ…」

 

呆然と突っ立っているアルルをジト目で睨みながら言う。

そんな彼を「シェゾって貧乏人じゃなかったっけ?」などと失礼極まりない事(お前に言われたくない)を思いながら開いている席へ案内するアルル。

その後席に付いたシェゾに注文を取る。彼が頼んだのはスターンダードな…まぁ言ってしまえば普通のカレー

「あ、やっぱり貧乏なんだ…」とアルルはまたもや失礼な事(お前程じゃない)を思いながら会話もそこそこに厨房に注文を通しに行く。

それにしても萌えなアルルを見て卒倒しなかった彼を褒め称えるべきであろうか?

程なくしてアルルがカレーを持って現れた。テーブルにカレーを置き、他の客の皿を下げながら一口食べたのを見計らって「どう?」と問いかける。

まぁ、彼女もそれが出来ないほど不器用と言う訳ではないらしい。

 

「ん…まぁまぁだな」

「そ、そう?よかった(汗)」

 

シェゾの答えを聞きつつ、「まぁまぁって…一応一流シェフが作ってるんだけどなぁ〜」と思いながらも仕事に戻る。

次から次へと客が入ってくるものだから例え知り合いが居たとしてもそれに構っては居られない。

彼女は彼程暇人ではないのだ!(ぇ

それから10数分後であろうか?カウンターで支払いを済ませているシェゾの姿を見つける。

 

「あれ?もう帰るの?」

「あぁ…十分食ったからな」

「そう?じゃぁまたね〜」

「…あぁ…」

―――からんから〜ん

 

店から出て行くシェゾの姿を見送った後、踵を返し食器を下げに行く。

そこでアルルは信じられないものを目撃した!

 

「え?あれ…?うそ…」

 

今までシェゾが座っていた席の皿をみると、な、なんと…カレーが半分以上残っているのである!

こんな事など有り得るのだろうか!?いつも食に困っている筈の彼がである!

これは天と地がひっくり返ってもおかしくないような大事件である!!(言い過ぎ

一瞬我が目を疑い皿を凝視するが残っている量は変わらない。

 

「珍しいなぁ〜シェゾがご飯残すなんて…もしかしてあんまり美味しくなかったのかなぁ?でも美味しく無くても全部食べそうだしなぁ…何せ貧乏だし…」

 

一人でぶつぶつ言いながら食器を片付ける。余り物はカーバンクルの腹の中へv(ぇ

それから数時間、同僚にからかわれながらもアルルのアルバイトは続いた。

 

―――そしてその夜…

 

「はぅ…疲れた…」

 

やっと家に帰ってきたアルルはそのままソファに倒れこむ。

このまま寝てしまおうかと思った矢先…

 

「ぐっぐ〜!!」

「え〜?お腹空いたの?ボク疲れたよ〜…」

「ぐ〜!ぐぐ〜!!」

「わかったよ〜作れば良いんでしょ?」

 

カーバンクルにせかされ、よろよろとキッチンへ。

カレーの材料をがさごそとあさっていると…

 

―――ピンポ〜ン

「はいは〜い。…誰だろう?こんな夜遅くに…」

 

突然のインターフォンの音に戸惑いながらもとてとてと玄関へ。

がちゃりという音を立てて玄関のドアを開けると、アルルはまたもやその場に立ちつくしてしまった。

 

「…よぉ…」

「………」

「Σをぃ!?まて!ドアを閉めるなっ!!」

 

そこには何故かシェゾ・ウィグィィが居た。

アルルに無言でドアを閉められそうになり慌ててドアを掴んでそれを制する。

ドアを閉め損ねたアルルはふぅっと溜息を吐きしぶしぶドアを開く。

 

「…何しに来たのさ?」

「…別に…ただ近くを通りかかっただけだ…」

 

とかなんとか言いながらも家の中へ入る。土足でづかづかとは正にこの事だろうか?(何

っというか一歩間違えば不法侵入だが、そんな事もお構い無しにシェゾはダイニングテーブルにどっかりと行儀悪く腰を下ろす。

我が物顔…というか勝手知ったる他人の家!?

そんなシェゾの態度に呆れていると。

 

「…腹減った…何か食わせろ」

帰れっ!!

 

思わず叫ぶアルル。気持ちはかなり解る!

 

「あぁ?別に良いじゃねぇか…どうせ今から作る予定なんだろ?」

「う゛…わ、解ったよぅ…」

 

シェゾが言うのももっともで、アルルはカーバンクルが一人増えたと思って我慢しようと無理やり自分を納得させることにした。

 

「…で?何が食べたい訳?」

「あ?どうせカレーだろ?」

「………」

 

しれっと言うシェゾにジュゲムでもぶち込みたい衝動を抑えつつアルルはカレーを作り始める。

ダイニングからカーバンクルの声が聞こえる所を見ると、どうやらシェゾがカーバンクルを弄くり回しているらしい事がわかる。

やる事ないんなら手伝え暇人!

そんなこんなで作っている間もばかやろーメーター(ぇなにそれ)はぐんぐん上がって行くが、なんとかカレーにジュゲムをぶち込まないで済んだ様である。

 

「はい、出来たよ」

「お?さんきゅ…」

 

乱暴にカレーの入った食器と水の入ったコップを置き、アルルはシェゾの向かい側に腰を下ろす。

ソファで鼻ちょうちんを膨らませているカーバンクルが目に入り、溜息を吐いた。

言いだしっぺの癖に呑気なものだと思いながら、こんな光景を見ているとさっきまで怒っていた自分が馬鹿馬鹿しく思えて来て苦笑する。

目の前でカレーをぱくぱくとたいらげているシェゾを見、何となく気になったので訊いてみた。

 

「…美味しい?」

「ん…不味い

やっぱ帰れっ!!

 

またもや叫んでしまったアルルにくくくっと笑うとシェゾは立ち上がり何やら呪文を唱え始めた。

 

「…じゃぁな…また来る」

二度と来るなっ!

 

ばかやろーメーター(だから何)MAXのアルルを見てにやりと笑いながら呪文を完成させる。「じゃぁな」ともう一度言って黒い風と共に掻き消えた。

アルルは今までシェゾが居た所を暫く睨んでいたが、やがて怒りも収まり片付けようと食器を見る。

そこには…

 

「…ぁ…全部…食べてある…」

 

空になった食器を持ち上げ呆然と呟く。視線を少し移動させるといつの間に置いたのやら白い小さな紙が目に止まった。

その紙には妙に達筆な字で…

 

カレー屋のもおまえが作れば?

 

と一言だけ…。アルルはそれを見てくすりと笑う。そして…

 

「…また来なよ…こんどはもっと美味しいカレー作ってあげるからさ…」

 

怒りも忘れてそう呟き、食器を片付け明日に備えて眠る事にした。今度はどんなカレーを作ろうかと考えながら…。

その後、アルルはルルー達が流した「アルル、アルバイト怪奇事件」と言う噂に数日間悩まされる事になるのだがそれはまた別の話…。

 

***あとがき***

アルル「………

シェゾ「………

華 車「…あ、あの…お二人さん?どうかなさいましたか?(おずおず

アルル「どうかなさいましたかって…コレハナンデスカ?シノサン…?(顔引きつり

シェゾ「俺…なんか酷でぇ事言われてねぇか?

華 車「あ、あはははは…(汗

アルル「やっと小説書いたなぁって思ったら…何でこんなのが出来る訳?

シェゾ「しかもこれ書くのに2日掛かってるな…短編なのに…

アルル「しかもギャグだよ?信じらんないよ…

シェゾ「と言うか…ギャグなのか自体謎だしな…

アルル「第一、ボクがバイトしてた理由は?(溜息

華 車「くっ…無念…(がくっ

シェゾ「散々言われたくなかったら修行しろ、修行…

アルル「まさか君から修行なんて言葉が出てくるとは思わなかったけど…それは同感…

華 車「うぅ…解ってますよぅ…私だって頑張ってるんですから〜(いぢいぢ

アルル「じゃぁ何で短編書くのに2日掛かるのさ?

シェゾ「どうせチャットでもやってたんだろ?

華 車「あははは〜

ア&シ「あははじゃないっ!

アルル「…兎に角…今度はちゃんと書いてよね!まだまだ書きたいとか言いながら書いてないのいっぱい有るでしょ!?

シェゾ「冒険物も書くとか言って書いてないしな…

華 車「はい、頑張らせて頂きます(ぺこり

アルル「じゃぁ、今日はこの辺でお開き〜

シェゾ「…じゃぁな…

華 車「さよ〜なら〜w

 

***

 

華 車「こぱらさんから挿絵頂いちゃいました〜Vv

シェゾ「良かったじゃねぇか。こんなへタレ小説の挿絵描いてもらえて

アルル「こぱらさんに感謝だね〜。良くこんなへタレ小説の挿絵描く気になったもんだね〜

華 車「へタレへタレ連呼しないでよ〜っ!(涙

シェゾ「兎に角さんきゅだな。ほら、お前もお礼言え!(げしっ

華 車「狽ヘぅっ!?い、言われなくても言いますよぅ…。こぱらさん有難うございました〜Vv(ぺこり

アルル「これからもこのへタレの事応援してあげてねv

華 車「うぅ…シェゾとアルルがいぢめるぅ〜〜…(うるうる

二 人「「煩い!

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