幸せを呼ぶカレー
 
 
「サタン様〜v今日、私が夕食を作って差し上げてもよろしい
     ですか??」
    「サタン様〜!今日、じゃがいもが安いそうなんですけど、ス
     ープとカレーどちらが好きですか?」
    「サタン様〜。今日は、スパゲッティーでいいですか〜?」
    毎日のように私の城へ訪ねに来たと思うと、最初に飛び込んで
    くるのはこの言葉。
    一日も休まず、私の城に来るのが日課のように、まるでアルル
    のようにころころと表情が変わり、いつしか私はルルーが来る
    のを毎日楽しみにしているかのように思えてきた。
    『そんなバカな!?私にはアルルだけだ!』と思いつつも、ル
    ルーが来るのを待ち望んでしまう。
 
    ところがある日、ルルーは城にあらわれなくなった。
    1日がたち、2日がたち、3日たったのに姿が見えなかった。
    私はなぜだか心配になり、ルルーの家まで行くとキッチンの窓
    からルルーの姿とアルルの姿があった。
    なにやら必死にカレーを作っているようで、私はひとまず城へ
    と帰った。
    見てはいけないような・・・そんなところを見てしまったよう
    だった。
    『そんなはずはない!』と思っても、あのカレーは一体誰に食
    べさせるのだろうかとついつい思ってしまった。
 
    4日たった今日、ルルーは久しぶりに城へとやってきた。
    「おそくなってすみません。サタン様。」
    私は何事もないように「いや・・・・・・」とだけ返事を返し
    た。
    「・・・どうかしたんですか?顔色が悪いようですが・・・。」
    とルルーは聞いてくるが、「なんでもない。」とだけ言うと、
    いきなり目の前にカレーが入ったお皿を差し出してきた。
    「一生懸命つくりましたわ!名づけて、『ルルーすぺしゃるカ
    レー』です!!」
    昨日作っていたカレーはどうやらこれだったようだ。
    「食べてみてください。自信作ですわ。」
    そう進められて口にするカレーは少し血の味がしてルルーの手
    を見た。
    それに気付いたルルーは慌てて隠し、
    「大丈夫です。ちょっとドジって切ってしまっただけですから
    ・・・。」
    と言うと「おいしいですか?」と聞いてきた。
    「もちろんだ。」
    と答え、私は「お礼だ。」と言ってルルーの指先にヒーリング
    を唱えた。
    ルルーは顔を赤らめかせ、「ありがとうございます!」とだけ
    言った。
    それから全部食べ終わり、ルルーは「また明日来ます。」とだ
    け残して帰っていった。
 
    「どうだった?うまくいったでしょ?」
    亜麻色の髪をした少女はサタンの城から出てきた青色の髪の少
    女に話しかけた。
    「まぁね。でも、あのカレーいつもとどう違うのよ?」
    歩きながらルルーは言った。
    「四葉のクローバーをすりつぶして入れてみたんだ。ま、あん
    まり変わらないけどね。
     迷信を信じてちょっとした幸せがもらえたらなぁ〜って。
     サタン、何か言ってた?」
    笑いながらアルルはルルーの後を追った。
    「アルルらしいわね。別に、特別に何か言ってくれた・・・っ
    てワケじゃないけど、幸せだったわよ。」
    「そっか。ルルーもがんばったんだね。ボクもがんばろ〜っと。」
  
    わかれ道にさしかかったとき、アルルはルルーに別れをつげた。
    「あ、アルル!」
    それを引き止めるルルーにアルルは「ん?」と振り向いた。
    「あ・・・ありがとう。あんたもがんばりなさいよ!」
    「もっちろん!」
    ルルーは幸せに浸りながら家へ帰り、アルルは右手に揺れる袋
    を持って目的の人に会いに行った・・・。
 
 
    P.S. その後、アルルはカレーを食べさせると甘口すぎて
         口に合わないと銀髪の
         男の人は言うけれど、残さず食べていてくれた。
         アルルもつかの間の幸せを手に入れることが出来て
         満足して帰りました。
 
 
    めでたしめでたしvv
 

 
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