たまにはこんな日も
 
「え〜?ここもないの??」
「そうなの〜。ほかをあたってほしいの〜。」
 
もももの店から出て、次はウィッチの店に向かう途中。
あ、ボクの名前はアルル。
今日はあるモノを探しにいろいろとまわってたんだけど、どこにもないんだよね・・・・・・。
あるモノというのは、『桃花(トウカ)の実』という実。
『桃花の実』というのはほとんど魔避けとかに使うのに必要不可欠な材料。
学校の課題で使うのに用意しなくちゃいけないことをすっかり忘れてて、明日だから今日中に見つけないとやばいというワケ。
頼みの綱はウィッチの店しかないんだけど・・・。
 
―カランカラン♪―
店に鈴の音が響き渡ると同時に奥からウィッチの黄色い声が聞こえた。
「いらっしゃいませ〜。・・・あら?アルルさんじゃないですか。」
「やっほ★ウィッチ。」
店にいるのはどうやらボクを入れて4人。
ウィッチと一緒に話してるラグナスと、棚からなにやらいろんな物をカゴに入れてるシェゾ。
ま、そんなことより実は〜・・・っと。
すると、一通り棚に置いてあるのを見て目についたのは・・・。
「あった〜!」
そう、やっと『桃花の実』を見つけたんだ!
でも、あと一つしかなくて早速手を伸ばそうとすると、別の手が横からその実を取っちゃった・・・!
「これでよし。・・・・・・ん?なんだ、アルルじゃないか。」
別の手というのはシェゾのだった。
しっかり片手には『桃花の実』が・・・。
「ソレ、ボクが狙ってたんだけど〜・・・。」
ぢと〜っと実を見つめるボク。
意地汚いように思えるけど、なんせ成績に響いちゃうんだもん。
なんとしてでも手に入れないとホントにヤバイ!
「これか?残念だな。俺もコレが必要だから諦めな。」
スタスタと無視してレジに向かおうとするシェゾを慌ててマントを掴んで引き止めた。
「諦められないよ!どうせキミは別にたいしたことに使わないんでしょ?ボクは明日使わないといけないから譲ってよぉ!」
「はなせっ!どうせ学校とかで使うんだろう?お前なんかと一緒にするな!」
マントを振り払ってボクの手を思いきり払った。
「ま、お前の魔力を俺にくれるのなら考えてやってもいいがな。」
にやりとそう付け足して・・・。
「冗談じゃないよ!なんでキミにボクの魔力をあげなきゃなんないのさ!」
ムッとして言った。
「じゃあ、無理だな。」
ホントいぢわるなんだから〜!
「ふんだ。もういいよ!また探しにいくもん。大体、ヘンタイ魔導師さんが素直に渡してくれるわけないよねぇ〜。」
探しになんてホントは無理。探し回ってあとコレしかないんだもん。
そうだ!わざとらしく「ヘンタイ」って言ったら怒るよね。それを狙って勝負しかけて勝ったら実を譲って・・・・・・なぁ〜んてね
そんな簡単に勝負しかけてくるなんていくらシェゾでも・・・。
「んな!?喧嘩売ってんのかよ!それじゃあ望み通りに・・・」
えぇ!?まさか・・・。
「相手になってやろうじゃないか・・・!!」
そして、店の中なのにもかかわらずスラリと闇の剣を抜いた。
うっそ。シェゾって単純〜!
ま、いっか
これであとは勝てばいいだけだし
「お待ちなさいな!私の店でそのような行為は許されませんわよ!!」
魔法を唱える体勢に入ろうとすると、急にウィッチの声でピタッと中断になってしまった。
「まったく。原因が『桃花の実』なら、これを譲ってあげるよ。」
ウィッチの隣にはラグナス。
しかも、その手には『桃花の実』!?
「いいんですの?ラグナスさん。」
「いいんだよ。ウィッチ。俺はそんなすぐに必要ないし、このままだと店が潰れてしまうからね。」
はいっ、とボクの手にはあれだけ探していた『桃花の実』がちゃんと収まっていた。
「わぁ〜。ありがとう!ラグナス!」
これで戦う必要もなしv
だけどシェゾは・・・・・・。
「冗談じゃねー!俺がいただく魔力はどうなる!?」
「なぁ〜んでキミが勝つと決まってるのさ?いいじゃない。大団円なんだし♪」
とりあえず手に入った『桃花の実』の代金を払って、シェゾも代金を払ったのを確認すると、シェゾの腕に手を絡ませた。
「じゃ、ボク達帰るね!ラグナス、ホント助かったよ。ウィッチも迷惑かけてゴメンネ。じゃあね〜★」
「んな!?」
ボクはそのままシェゾを連れて店を出た。
 
帰り道
「は・・・はなせっ!」
ブンブンッと振り払おうとしてたけど、ギュ〜っとしがみついた。
あり?シェゾったら耳まで赤くなってる〜
「いいじゃない。たまには☆夕食奢ってあげるし♪どうせ、夕食考えてないんでしょ?」
ホント、たまには・・・・・・ねv
 

 


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