俺の光
 
俺は、いつもみたいにアルルと勝負していた。
「アレイアード!」              
「ジュゲム!!」
今日も、結果はあきらかだった。  
そのたびに俺は腹が立ってしょうがなかった。
「あ〜。もう、大丈夫?ヒーリング!」            
回復呪文を唱えて俺を起き上がらせた。   
「…なぜいつもとどめをささない!?」
いつもいつもとどめをささないから、どうも俺を
見下しているようで一番気にくわなかった。
そう言うとアルルは一瞬びっくりしたような顔を
向けた。            
「そんなの当たり前じゃない。倒れている人を置
いては行けないよ。」
「闇の者でも…か?」            
アルルはゆっくりと立ち上がった。
そして、俺に向けた顔には笑みをうかべていた。  
「ボクはね、闇には必ずどこかに光があると思う
んだ。その反対に光には闇があるのと同じように
…。どっちか一つでも欠けてしまったら、それは
人じゃなくなる…。     
ボクの闇はキミなんだ。だから…倒さない…。」
俺はその時何も答えなかった。    
たった一言だけ言うとしたら、    
「お人好しだな。」              
そう言うとアルルはさっきよりも満面な笑みをう
かべていた。        
「いいもん。お人好しで。シェゾみたいな変態じ
ゃないだけいいもん♪」           
「なんだと!?」                
俺はその時、アルルが敵でよかったと思えた。
ただ単に倒すのなら俺も本気を出していたのかも
しれない。          
だけど、アルルがいてくれたおかげで俺は心の闇
に埋もれることはもうなくなった。    
アルルが俺を闇とするならば、俺の光は君だと俺
は思う…。

 

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