無題(タイトル募集中)

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「なぁ〜んてね」
 屋敷が見えなくなった頃、猛スピードで走っていたルルーは足を止めた。
 人間とは思えない早さで土煙を巻き上げていた彼女は、やはり人間技とは思えないほど瞬時にぴったりと、よろける様子もなく立ち止まる。
「アルルからの果たし状ってわけでもないのに、なんで私がアルルを倒さなきゃならないのよ」
 あきれ果てて肩をすくめた。
「だいたい誰よ、この『フィルナ』とか言うの。聞いたことないわ」
 ぐしゃぐしゃに握っていた紙を開き、ぺらぺらと振る。
「私の知らない人間――まあ魔族かもしれないけど、どちらでもいいわ、兎に角、相手も私の事をよく知っているワケじゃないって事よね」
 そんな人(?)にとやかく言われる筋合いはない。そもそもアルルとは何年の付き合いだと思っているのだ。長年の"戦友"であり"学友"そして"ライバル"を、よく知りもしない相手の指図で倒しに行くような馬鹿がどこに居よう。
 だいたい他人に踊らされること自体が気にくわない。
「最近多いのよね〜、出たがりのオリキャラモブが。モブはモブらしく大人しくしてろっての。主役は誰か、勘違いしてるのではなくて?」
 ぐちぐちと文句を言うものの、しかし手紙の内容は気に掛かる。

 手紙の主は、強さを証明したければアルル・ナジャを倒せ、と言ってきた。ルルー自らの欠点である魔導力を引き合いに出さなかったのは挑発の甘さだが(乗るか乗らないかは別の話だ。もちろん)それはすなわちどんな手段でも構わないということ。
「そこまでしてあの子を倒したがってるヤツがいる……ってことか。何か恨みを買うことでもしたのかしら、あの子。それにしても……」
 ルルーは手持ちの扇子を振り広げる。
「私に喧嘩を売ってるのは確かよね」
 口元を隠した派手な扇子の上、翠緑の瞳が好戦的に細められた。
 隠された紅唇で淡々と言葉を紡ぐ。
「アルルを狙い、私に喧嘩を売った相手が誰かは知らないけど、」
 むろんルルーとて手紙に書かれた名が実名だとは思っていない。
 しかし、
「単なるイタズラなら、心のひろ〜い私は許してあげる。でももし何か仕掛けてくるんなら――」
 何処の誰だろうと、必ず正体を暴いて排除する。
 魔族の中の、人間の"女王様"。彼女の目は楽しげに言っている。
「さて、」
 扇子をパチンと閉じ、ルルーは空を仰ぐ。
「とりあえずアルルを探しましょうか。今頃Dアルルと一緒にいるはずだけど」
<2011/7/1(金) 01:49 華車 荵>編集

「…さて…。アルルを探すのはいいとしてあいつはどこにいるのかしら。」
ルルーはアルルを探して3時間ほど経過してようやくアルルの居場所が分からないことに気がついた。
「うーん…。アルルとの連絡手段があれがいいのにねぇー。」
ルルーが悩んでいるといきなり誰かが話しかけてきた。
「おいルルー。こんなところで悩んでいったい何をしている?」
「!シェゾ!?なんであんたがこんなところにいるのよっ!」
「俺がどこにいようとお前には関係のないことだがな?違うか?えぇ?」
「なっ!だったら私に話しかけてこないでくれるかしら!?」
っとまたいつものように口論が続いて約1時間後…
「で?結局お前は何をしている?」
シェゾがそう切り出してようやく事態は収まった…。
「?だから私はアルルを探して…ってあーっ!!あんたのせいで一時間も無駄にしたじゃないっ!」
「知ったことか。まぁ、それは置いといて…。アルルならさっきあそこの森の方でDアルルと薬草とってたな。」
「!?それを早くいいなさいよっ!全く役に立たないんだから!」
「教えてやったのに逆切れかよ…。これだから女って言うのは嫌なんだよ。」
「なっなんですってぇー!?って!これ以上あんたにかまってらんないわ。」
「そーかい。せいぜいがんばるんだな。」
そう言って二人は別れて行った。ルルーはアルルを探すためシェゾが教えてくれた森に行くことにした。
そしてシェゾは―――――
<2011/7/1(金) 20:11 魔導ぷよ>編集

「全く、今日はさんざんな日だな。アルルに負けるわ、弁当の配達させられるわ……」
厄日だろうか。うるさい連中に出会ってばかりだ。思わず溜息が零れる。
シェゾは大人しく家で研究にでも耽ってた方がよっぽど有意義だろうと思い至り、自然と足は自宅へ向かう道を選んでいた。

「おい」

それを後ろから呼び止められるように声をかけられ、今度は何だと振り向いた。
そこには自分と同じ姿をしたDシェゾの姿。心なしか、少し余裕がない焦りの表情を浮かべている。
「Dアルルを見なかったか?」
「…は?Dアルル?」
「あぁ。アルルと一緒に出かけると聞いていたんだが…」
場所までは聞いていないとの事だった。
シェゾは本日2度目の溜息をつき、親指でさっきルルーに示した森を指した。
「…まぁいい。たまたまあそこの…西の森で見かけた。薬草をとっていたぞ」
どうも、先程のルルーと同じような表情を浮かべていた事から何かがあったらしい。今日は一体何なんだ。
「そうか」
それだけ言うと、Dシェゾはそれ以上何も言わずシェゾが示した森へ向かって歩き出した。
厄介事の臭いがする。平和を求めるなら、今あった事は忘れて家へ帰るべきなんだろう。
「…あー!ったく!!」
けれど、その厄介事にアルルが関係するのなら、ほっておける訳がない。
獲物だからか。……それとも、別の何かがそうさせるのか。
シェゾは3度目の溜息と、いつもの事だと自分に言い聞かせてDシェゾの後を追いかけた。
<2011/7/3(日) 01:53 久唖>編集

「「アルルが狙われてるかも知れない!?」」
「え、ボクが??」
 シェゾとドッペルアルルが声をハモらせ、アルルが自分を指さしてきょとんとしている。
 西の森、中心部のひらけた場所に、腰を降ろしたままのアルルとドッペルアルル。二人を囲むように、ルルー、シェゾ、ドッペルシェゾ。
「実力を証明したかったらアルルを倒せ、って挑発の手紙が届いたわ」
「こっちには脅迫状だ。大切なものを失いたくなければアルル・ナジャと関わるな、と……」
 ルルーと、神妙な面持ちのドッペルシェゾが手紙の内容を示す。二人の話を聞いて、途惑いを隠せない様子でアルルが俯いた。
「もう一度訊くけど、心当たり、ないのよね?」
 ルルーの問い掛けに顔を上げたアルルは頭を振る。
 全く検討がつかないといったところ。
「馬鹿馬鹿しい!」
 ダンッと地面を踏みしめシェゾが怒鳴る。
「悪戯だ、悪戯! このおちゃらけお人よしが、他人に感謝されることはあっても恨まれることなんぞあるはずがないだろう!」
 言い切って手を振る。
 ドッペルアルルが顎に手をやり、
「でも僕らの所にも手紙が来たって事は、相手はアルルの人間関係をある程度把握しているって事だよね。単なる悪戯にしては……」
「用意周到っていうか、あちこちに手を回しすぎてるわよね。本当に単なる悪質なイタズラならいいんだけど」
 ルルーが腕を組んで溜息を吐く。
「一先ず、用心したほうがよさそうだな」
 ドッペルシェゾの眼差しがアルルとドッペルアルルに向けられた。
 そうね、と呟いたルルーが考え込み、やがてぽんっと手を打つ。
「DアルルにはDシェゾがいるからいいとして、シェゾ、あんたアルルの護衛やりなさい」
「ふへっ!?」
「はあ!? 何故俺がコイツの護衛なんか――」
 言いかけた瞬間固いものを砕く重い音。
 ぴんと伸びたルルーの右手側。巨体の半分をへこませ、ぱらぱらと音を立てる大樹。
「や・る・わ・よ・ね!?」
 今し方太幹をえぐった拳に力を込め、覇気を立ち上らせながらにっこりと笑う。
 気圧されシェゾは頷いた。
「……はい」
<2011/7/3(日) 05:03 華車 荵>編集

「…ったく何で俺がこんな事…」
「仕方ないじゃないか、ルルーには逆らえないでしょ?」
ルルーの気圧に負けたシェゾはアルルの護衛をすることになったのだが。

「…ボク、誰かに嫌われてるの?」アルルが不安そうな顔でシェゾを見つめる。
「んなわけ無いだろ。お前、他人に喧嘩売るような奴じゃないだろ。」
「でも…」
「とにかく!安心しろ、俺がいる間は狙われない。」
「ありがとうシェゾ!!」

「ああ(こいつを絶対…護って…って違う!俺は仕方なく…)」

シェゾは自分の思った事に批判しながらアルルの傍に寄る。

その頃・…
「全く、シェゾのやつったら、ちゃんとアルルを護ってるかしら。」
「まぁ、あいつは全力で護ると思うけれど。」

ルルーはあの2人の事を気に掛けていた。
<2011/7/3(日) 07:40 蒼闇ノ アルナ>編集

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