「あ〜!ミイレちゃん!久しぶり!」
とアルルがさっき助けた女の子に駆け寄る。
「・・・アルル知り合いか?」
「うん!この子前モンスターに前襲われていたところを助けてあげたんだよ。」
「ふ〜ん。」
「それにしてもまた襲われていたんだ。襲われ症なんだね。」
「そんなことないよ!たまたま会った時がそうなだけどもん!」
「そっか。ごめんね。」
「・・・・俺はそろそろ行っていいか?」
「あ!待って!」
と女の子がシェゾを止めた。
「?なんだ?」
「あのね。私お兄ちゃんがいてリザルといいます。お兄さんにお弁当私といて欲しいんです。」
「別にいいがどこにいるんだ?」
「多分酒場にいます。」
「特徴は?」
「右目が髪で隠れていてと〜〜ってもかっこいいんです!!」
「かっこいいには俺一人だが・・・まぁいい子供の頼みだし。」
「ありがとう!!」
とシェゾは酒場に向かった。
<2010/7/21(水) 17:56 魔導ぷよ>
「へ〜、あの子リザル先輩の妹だったんだ」
シェゾが歩みを進めようとしたとき、そんな呟きがあがった。
振り返れば少女の後ろ姿を見送るアルル。
「知ってるのか?」
「うん。
魔導学校の先輩。専攻科目がいくつか同じなの」
「ほ〜」
「それにしても良く引き受けたね」
シェゾを見てにんまりと笑うアルル。
「あ? あぁ。単なる気紛れだ」
「はぁ。キミもやっと人並みになったわけね。よろしいよろしい♪ ボクのお陰だよね!」
「な〜に言ってやがる」
一度視線を落としてからそっけなく答えるシェゾ。
並んで歩きながらうんうんと頷くアルルを軽く小突く。
「しっかし魔導学生の妹とはいえ、兄貴の仇とか粋がっていた割に今度は弁当とか……どんだけお気楽――」
頭をさするアルルを横目に、渡された弁当の包みを持ち上げて、シェゾは双眸を細めた。
方眉を上げ、そして沈黙。
「ん? あの
子供の兄貴ってさっきの野郎にやられて死んだんじゃ?」
「……誰も死んだとは言ってないんじゃない? ん〜、どうだろ。もう一人お兄さんがいるとか、かなぁ」
「いるのか?」
「知らないけどさ」
知るわけないじゃん。
むくれた横目をアルルがシェゾに向ける。
「でもまぁ、ここんところ死人が出た話も聞かないしなぁ」
「怪我ならあるのかよ」
「日常茶飯事でしょ。まさか……」
歩く速度を速めシェゾの前に回り込んだアルルが、ずいっと人差し指を押しつけてくる。
「ボクの同級生を病院送りにしたことのあるキミが、知らないわけないよねぇ〜?」
腰に手をあて身を乗り出して。ずど〜んと重い空気で圧してくる。
一旦足を止めたシェゾは、向けられた指をぺぃっとはたき落としてアルルをかわした。
「あれくらいで病院送りになる連中が軟弱なだけだろう。男の癖に情けないヤツラ。世間の厳しさを教えてやったんだ、感謝して欲しいくらいだぜ」
「古代魔導連発する魔導師が世間にどれだけいるってーのよ!?」
友達いなくなったらキミのせいだからね!?
抗議しながら早足のアルルがついてくる。
「そういえば、アルル」
「なによ」
ふと思い出して首を巡らせば、不機嫌そうな金無垢。
「お前、そのなんとかって先輩と知り合いなんだろう?」
「リザル先輩? まぁ一応は」
「だったら、」
きょとんとするアルルに持っていた包みを押しつける。
「お前が行くのが普通だな。考えてみれば俺が行く必要はなかった」
「あ〜の〜ねぇ〜……」
思わず両手を差し出して受け取ってしまったアルルは、こめかみをひくつかせて溜息を吐く。
と、シェゾの腕を取って包みの結び目を掴ませた。
ご丁寧に、拳の上に手のひらをのせ、ぎゅっと握って押さえつけてくる。
「魔導師たる者、一度引き受けた事は最後までやるべし! でしょ?」
「ちっ」
「わかったらさっさと歩く歩く! 先輩の顔はボクが知ってるわけだしさっ」
強引に肩を押されしぶしぶ歩くシェゾ。
軽く空を見上げてしばし黙った彼は、
「お前が知っている先輩がいるとは限らないわけだが」
「どういうこと?」
肩越しに身を乗り出してくるアルルを斜めに見、シェゾはにやりと笑った。
「酒場にいるのは全身包帯でグルグル巻きのミイラ男かもしれないってことだ」
シェゾの発言にアルルが盛大に噴き出したのは言うまでもない。
後書き有
<2010/7/22(木) 03:22 華車 荵>
それから数分アルルが笑った後
「そんなに笑う事ないだろ!」
「ごめんごめん。」
「っち!とりあえず弁当届にいくぞ!!」
「そのことだけど僕これから約束あるから。ごめんね〜」
「は!?じゃあなんで今までここでのんびりしてたんだよ!」
「時間が合ったらかなんとなくかな?じゃあバイバイ」
とあっさりいってしまった。リザル先輩の居場所を聞き忘れたのは其れから10分後に気付くことだった。
「あ〜もう!どうすんだよ!!って言うかさっきアルル自分もいく的なことぬかしておきながらさっさと行っちまうなんてふざけているにも程がある!!」
とぐちぐち言いながらリザルの場所を探していた。
魔導学校の前まで来た時ふと誰かが横を通り過ぎた。
「おい。あんたちょっと聞きたいことがあるんだが。」
と不意にシェゾはその人物に話しかけた。
「何?今ちょっと取り込み中なんだけど。」
その人物は男のようで少々焦っている。
「ここにリザルというやつがいると聞いたんだが知らないか?」
「?それって俺のことかな?」
と即答したリザル(?)の言葉にシェゾは間をとってしまった。
「う〜んとなぁ。お前の妹から弁当あずかってるんだ。ありがた〜く受け取れ。」
と言った瞬間リザルの目が輝いた。
「ありがとう!!今ちょうど困っていたところなんだ。」
またもやシェゾはあっけにとられてしまいぼ〜然としていた。
「まぁ約束は果たしたし俺はこれで失礼する。」
とシェゾは一刻もその場から退散しようとした。
「あ!せっかくだからお昼一緒にどう?学校の中は大丈夫だぞ!」
「しかし部外者は立ち入り禁止だろ?」
「何言ってんだ!この魔導学校は校長が変わりもので部外者オッケーなんだ!」
と言った瞬間‘奴’の顔が目に浮かんだ。
「しかし俺は・・・・・」
「はい決定!じゃあいくぞ!」
と強引に引っ張られてしまい。シェゾは魔導学校へとはいっていくことになった。
<2010/8/18(水) 15:58 魔導ぷよ>
……とはいうものの、この状況は不服極まりない。
何が楽しくて初対面の人間(しかも男)とメシを食わねばならないのか。
「やってられるか」
ぼやき、シェゾは掴まれていた腕を振り払った。
「あいにく俺は忙しいんだ。あばよ」
制止する間も与えず空間転移を唱える。
街の中でも一際目立つ魔導力の波動を見付け、それを目指して飛ぶ。
「アルルのヤツ、一言文句言ってやる」
<2011/6/29(水) 03:06 華車 荵>
------場所は移りルルーの屋敷では…-----------
「んーっ!今日もいい天気ねぇー。修行にはもってこいの晴天だわっ!」
ルルーは自室で外を覗き込んで背伸びをした。そこにミノタウロス通称【ミノ】があわてた様子でやってきた。
「ルルー様!大変です!」
「なによ?そんなにあわてて…。全く…。で?何があったの?」
ルルーはミノが焦るのを微動だにせず冷静に対応した…はずだったが…
「じっ実はこんな手紙がっ!!!」
「?なによ?ただの果たし状じゃないこれがどうしたっていうのよ?」
「中身ですよ中身!!読んでみてください!」
ルルーは仕方なさそーに読んでみた…。
「えーっと何々?【前略ルルー様貴方の強さは最悪です。世界で一番といっていいダメな格闘家でしょう。くやしいですか?でも事実です。もしこの事実を覆したいのであれば『アルル・ナジャ』を倒してみなよ。そうしたら事実は覆るよ?まぁ、もっともキミにその勇気があるかは…ねぇ?せいぜい最悪の格闘家でなくなることを祈っているよ。】 byフィルナ
その手紙が読み終わると同時にルルーは激怒した。
「なんですってぇー!?ふざけんじゃないわよっ!だーれが【世界で一番といっていいダメな格闘】よっ!!いいわ…。アルルを倒せばいいのね?丁度いいわっ!今回こそ決着をつけて誰がサタン様にふさわしいか証明してあげるわ!アルル…首を洗って待ってなさいよ!!」
そういうとルルーはダッシュでどこかへいってしまった…。
その姿をミノはただただ呆然と見つめているしかなかった…。
<2011/6/29(水) 21:03 魔導ぷよ>