「まぁまぁ、そう吠えなくても大丈夫よ」
何が大丈夫なのか、ルルーがにっこり笑って振り返る。
「アルルはあんたの事
“だいっ嫌い”って言ってたから♪」
「ああそうかいっ!!」 怒声を張って背を向けるシェゾ。涙目。
本当の事なんか教えてやんないわよ。聞こえないようについっと横を向いて舌を出すルルー。ウィッチが口元に手をやってクスクス笑う。
「うむ、なんだか楽しそうなのはいいのだが……」
状況を理解していなさそうなサタンの声。ルルーが見れば、彼は不思議そうにどこか遠くを見ていた。
「アレは一体どうしたのだ?」
魔王が指差し三人の視線が向いた先。
ウィッチが乗ってきたのだろう、少し離れたところに浮いたまま静止している箒の上。
しがみついたまま白目をむいている勇者(子供)がいた。
<2010/4/2(金) 02:22 華車 荵>
「あぁ、あれは…ちょっと実験に協力してほしいとお願いしたら全力で拒否されてしまったので、仕方なぁ〜く実力行使に出ただけですわ♪」
「それにしても白目向くまで連れ回すってあんた…」
「さすがにやりすぎだろう。今さらだがな。」
「私もさすがにどうかと思うぞ。」
みんなの非難を受けると、ウィッチは心外そうに眼を丸くした。
「そうですか?協力してくれないのが悪いとは思いません?」
「あんたはいつもやりすぎなのよ。」
「第一悪い結果しか起こさんだろうが。」
「あら、ラグナスさんがだめなら、ルルーさんでもシェゾさんでもいいんですのよ?」
それを聞いた二人が、2,3歩ウィッチから距離を置いた。
「い、いや、別にかまわないんじゃないか?」
「構うかまわないは別として、それは遠慮したいわね。」
「そうですねぇ…。」
ウィッチは少し考えるそぶり。
「ラグナスさんもあんな状態で起きるまでは何もできなさそうですし…。このさい、アルルさんにお願いしようかしら?」
「「「それはダメだっ(よ)!」」」
ルルーとシェゾ、それにサタンの声がそろった。
「そんなに実験したいならそこのロリコン魔王を使いやがれ!」
「そうだ私をっ…てえぇぇ!?」
「ちょ、シェゾ!あんた何言ってんのよ!そんなの自分がやればいいでしょ!」
「そうだぞシェゾ!他人を…私を巻き込むな!」
「ふざけんな!なんで俺が!!」
シェゾの一言により、場が騒ぎ始めた。
その五月蠅さのせい…いや、おかげだろうか、ラグナスがうなり声をあげる。
「う…う〜…」
「あらラグナスさん。目が覚めましたの?」
<2010/4/2(金) 17:44 HAL>
目が覚めましたわね。と小さくウィッチがつぶやいて、ラグナスの元へ駆け寄る。
だがウィッチが近づいた事も気づかず、うんうんとうなされながら独り言をつぶやくはたから見たら不審者以外何者でもない勇者ラグナス。(ぇ
「う・・・うぅ・・・
緑色の薬品・・・ピンクと紫・・・赤黄色白・・・ウィッチ・・・ウィッチが悪魔に見える・・・あぁぁやめてまた何飲ますの・・・うわぁ女神さまが見えた・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・ず・・・随分とヤバい実験をした・・・らしい・・・な・・・」
絶句する闇の魔導師と格闘女王、そして何とか心中を言葉にする魔王。
魔女は別にヤバくなんかはありませんわよ、と言ってラグナスの体にかがみこんで触れた。
「ラグナスさんラグナスさん。貴方はいったい誰のもの?」
「うぅぅ・・・俺は卑しい卑しいウィッチ様の下僕です・・・」
(((こいつもうだめだ!!!)))
「よぉ〜しいい子いい子。そんな貴方には私の薬を差し上げますわ★」
「狽竄゚ええええいっ!?」
流石に黄色と紫の混じった、いったい何を混ぜたらそんなものが出来るのという位ヤバそうな薬を純粋な笑顔で取り出す。それはもうにっこりと。手に持っている物体さえなければ君かわいいねとロリコンをいっぱつで落とせるような笑顔で。
ウィッチはシェゾの悲鳴も耳に入れないフリをして、ゆっくりと、意識が朦朧としているラグナスの口元へソレを近づけ―――
と、
「おぉぉっとすまねえな俺アルルをおいかけねぇと。」
「おおぉぉっとすまないなワタシも今日は急用が入っていたのだった。」
「おぉぉぉぉっとすまないわねあたくしもカレーの材料買いに行く途中だったわ。」
その場にいた三人は、ラグナスを見捨てて(見なかった事にして)その場をさる事を決意したのだった。(酷
・・・所でシェゾがアルルを追いかける、とちゃっかり決まっていたり決まっていなかったりするのはここだけの話。←
<2010/4/22(木) 21:01 白銀>
もちろんシェゾはアルルを追いかけるわけもなく買い物をしにいくことにした。(らしい)
「まったく。面倒なことばかり起こるな。なんかまた変なのが来そうな予感が・・・・」
「覚悟!!」
といきなり後ろから声がした。
「?喧嘩か?」
シェゾがさっき声のしたところに向かうと人ごみでいっぱいだった。
「おい何があったんだ?」
「なんかねぇ女の子がごっつい男に‘復讐’だとかで戦ってるのよ。」
「ふ〜ん。」
少女の方の少し見てみた。そうしたら。
「おい子供(ガキ)相手を選ぶんだったな〜」
「くっそ〜!!くっそ〜!!お兄ちゃんの仇!!」
「無理無理子供(ガキ)なんかにはな!!」
といっていた。シェゾは素通りしてもよかったんだが。弱い者いじめをいている奴が大嫌いなので一発お見舞いしてやることにした。
「おいおっさん。今お前は何をしていると思う?」
と尋ねた。
「子供(ガキ)をいじめてんだよ。」
「なぜ?」
「大人には向かうとどうなるか教えてんだよ。それとも兄ちゃんお前も同じ目に会いたいのかい?」
「はっ!お前がなるのの間違いじゃないか?」
「ああん?んだとこら!」
「黙れ。」
といって足にかる〜くファイアーをお見舞いしてやった。
「熱ぃぃぃ!!おッ覚えてやがれ!!」
とどこぞの捨て台詞を残して行ってしまった。
<2010/4/29(木) 16:01 魔導ぷよ>
「お兄さん…あの…ありがと。」
女の子が、おずおずと呟いた。
だがシェゾの返事は、そっけない。
「気にするな。別にお前のためじゃない。」
「っ……」
女の子は、その科白にぐっと言葉を詰まらせた。
と、そこで、
「わぁ、すごーい」
パチパチ、という拍手の音とともに、人込みを掻き分けてアルルが現れた。
「んなっ…なぜ貴様がここにいる…。」
「いやぁ、い闇の魔道士でもいいことってするんだねぇ。」
苦々しくつぶやくシェゾだが、その言葉はアルルには無視された。
「あのなぁ、俺の質問に答えろ!」
「ん?質問って何のこと?」
飄々としたアルルの態度に、シェゾのイライラは募っていき、口から出るものは怒号に近くなる。
「な・ん・で・お・ま・え・が・こ・こ・に・い・る・ん・だ・よ!!」
「それはもちろん、お買いものだよ!」
アルルが言うと、肩に乗っていたカーバンクルが、グ〜、と声を上げた。
それも、シェゾを馬鹿にするかのように。
「てめぇ…カー公!」
シェゾが言ったところで、さっき助けた女の子が駆け出した。
「アルルおねえちゃん!」
アルルに、抱きついた。
<2010/7/5(月) 18:04 HAL>