もう直ぐ全てが終わる。もう直ぐ……。
「もう直ぐだな」
「うん……」
繋いだ手を握り締めてこの時を焼き付ける。
温もり忘れぬよう、強く強く。
これが悲しい最後なのか、嬉しい結末なのか、今はもう、どうでもいい。
全てが無意味なことは百も承知で。
何度も繰り返されたはずの痛くも甘美な夢は忘れてしまったけれど。
次の世界でも、逢えるかな?
次の世界でも、キミを好きで居られるのかな?
この想いを、次へと繋いで行けたなら……。
紡がれるのは根拠のない言葉。
告げた想いに、偽りはないのに。
また逢えるよ。
また愛し合えるよ。
一瞬は永遠に刻まれ、しかし想いが永遠だとは限らない事を、それも一瞬で変えられてしまう事も知っているというのに、心の中で足掻いてみせるのは愚か者の所業か。
ねぇ創造主、どうすれば願いが叶う?
ねぇ創造主、どうすればこの想いを消さずに居られるの?
どうすれば……?
残酷すぎる問い掛けも、きっと後には残らず答えは見つからないのだろう。
ゆっくりと包まれて行く世界。
離れゆく愛しささえ消えゆく温もりと共に。
全てが白紙に戻されて、形を成してきた想いさえも真っ白に。
いやだ行くなと、仕方がないが己の中で交差する。
終焉を迎える物語にただ流れるもの無く泣きながら、
「またね……」
そして新たなページが捲られ、新たな時が描かれて動き出すのだ。
「 ――――!」
『また、逢えたね』
*二次制作の宿命として、次に描かれる物語が前作の世界を引き継いでいる事は少ない。
あまりにも簡単に白紙に戻す事の出来る世界。
それが二次の醍醐味な訳なのだけれども、その中でも彼らは『生きて』いるのだということを感じて欲しい。
短編というものは小さな輪廻転生の繰り返しなのかもしれない。
設定というエゴでどうにでも変えられる世界、だからこそ"あなただけ"は守り通したいと、頑固でちっぽけで弱い私は思うのです。