私だって健康が一番ですわ |
「ち、ちょっとまてウィッチ」 「まてませんわ、ラグナスさん」 ウィッチはじりじりと近づいてくる。 ここはウィッチの家で、ラグナスの背中はもう壁だった。 「さあ、今日こそはこの実験薬の試飲を・・・」 「だからちょっとまてっ」 ラグナスは濃い緑色をしている不気味な液体が入っているフラスコを手で蓋をする。 「むっ。なんですの」 「なんでオレが試飲しなくちゃならないんだ?」 「あなたが実験台だからですわ」 「だから、なんでオレが実験台なんだよ?」 「だって、あなたがどうなろうとも心配する人はいませんもの」 「んなこと言ったらお前もじゃねぇか」 「失敬なっ、ちゃんといますわよ」 「わっ、ちょっと」 ウィッチはラグナスの言葉に怒ったのか、いきなりフラスコを上にあげる。 そしてそのまま・・・。 バッチャーン!! ラグナスの顔にかかった。びちょぬれだ。 だけど、変化はみられなかった。 「な、なんだ・・・?」 「お、おかしいですわね、これは私の自信作ですのに」 オロオロするウィッチ。すると、机の上にあるさっきと同じような色をした液体に気付く。 「あ、もしかして・・・」 呟く。ちら、とラグナスの方をみてから、また目線をもどす。 そして、ポン、と手をたたく。 「さっきラグナスさんにぶっかけたのは青汁ですわね。こっちが本物ですわ」 「あ、青汁!?なんでそんなもんがあるんだよ!?」 「私だって一応健康をきにしていますのよっ」 予想外の出来事に目を丸くするが、ウィッチはあっさりと返した。 とりあえず、害はなさそうだな・・・。 ホッ、と胸をなでおろしたのもつかの間、ウィッチは本物を持ってまた近づいてくる。 「ふふふ、今度こそ試飲してもらいますわよっ!」 「ひっ」 そしてまた、ラグナスはウィッチから逃げるのだった。 |
高沢礼奈
http://blogs.yahoo.co.jp/carpetfall 2009年04月07日(火) 03時27分36秒 公開 ■この作品の著作権は高沢礼奈さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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