バレンタインの悲劇
「ラグナスさん、甘いものはお好きですか?」

2月12日。
ウィッチは来たるべき『う゛ぁれんたいんで〜』にそなえ、ラグナスの好みを聞き出し、うまくそれを取り入れた『ちょこれ〜と』を手渡そうと、計画していた。

不意に話しかけられたラグナスは、手に持っている剣を壁に立てかけ、ウィッチをみた。


「甘いもの・・・?別に嫌いじゃないけど」
「なら、どんな感じの甘いものが好きですか?ケーキとかチョコレートとか。」

「どっちかというと・・・・ケーキかな?・・・・なんで?」
「いえいえ・・・・別にたいした理由ではないので、気にしないでくださいませ。ヲホホホ・・・・」


疑問でいっぱいというラグナスを尻目に、ウィッチは早速料理の本を買いに出かけた。







同時刻、


「サタンさま、甘いものはお好きですか?」

2月12日。
ルルーは来たるべき『う゛ぁれんたいんで〜』にそなえ、サタンの好みを聞き出し、うまくそれを取り入れた『ちょこれ〜と』を手渡そうと、計画していた。

不意に話しかけられたサタンは、手に持っているカーバンクルのぬいぐるみ(あみかけ)を机に置き、ルルーを見た。


「・・・・別に嫌いではないが・・」
「では、どんなものが好きですか?ケーキとか、チョコレートとか。」

「そうだな・・・どっちかというと、ケーキかな?・・・どうした?急に。」
「いえいえ・・・別にたいしたことじゃございませんわ。
私はちょっと買出しに出かけてきますわ。」

「ああ、最近物騒だから、気をつけてな。」
「ええ。」





どこの女も考えることは一緒である。









さて、こちらはウィッチサイド。

ウィッチは、ラグナスに食べさせるよさげなレシピがないか、本屋で探し回っていた。

「う〜ん・・・なんか、変わりまくってる食べ物ばかりですわねー・・・・」

見ているものは、『カレー饅頭・甘口』『チョコレート味カレー』『あ、何が出るかわからないよびっくりチョコボール』『デッドオアアライヴ!生きるために食べてみようチョコミートボウル』・・・・・

・・・・・・たしかにろくな物がない。



そのよこでもルルーが同じ本を読んでいた。
「う〜ん・・・なんか、変わった食べ物ばかりだわねー・・・まともなのがないわ。」

ルルーも、ウィッチと同じ感想を漏らしていた。

2人はハッと眼を合わせた。


「あら、ルルーさん。奇遇ですわね、こんなところで。」
「あら魔女。あなたこそ、何をしてらっしゃるの?」

「私は・・・・・気晴らしですわ。」
「あら・・・・・私も気晴らしなのよ。」


2人は、ぎこちない笑みを浮かべながら、そそくさと、お互い立ち去っていった。

(別に秘密にせんでもよかろうに。)





ウィッチは、なぜか2人の顔をかたどったチョコレートを作ろうと考え、家に帰った直後に自分の工房に入り、なぜかフラスコなどを出してなぜか怪しげな薬なども混ぜながら、日が暮れて日の出の時間まで作っていた。

そのころラグナスは、Dシェゾの家で一晩中お互いのグチなんかの相談をしていた。



一方ルルーは、
同じく自分の姿とサタンの姿がなぜか重なったような感じのイメージをうかべ、チョコレートを作っていた。
その間、なぜかどでかい爆発音や煙などがもくもくと出、屋敷を何度か揺るがえしていた。




そして、14日。


「ラグナスさん、はい。」

ウィッチはできたチョコレートを手渡した。
ラグナスは、受け取ったまま硬直していた。

チョコレートの見た目には何の問題もない。
ただ、臭いがきつかった。
とにかくにんにくの臭いがとりあえずきつかった。
そして、色がなぜか青色だった。
着色のついたチョコなど、今では珍しくもないが、青色を見たのは初めてだった。

ラグナスは、チョコレートを持ったまま、早く食べてと言わんばかりの表情をしたウィッチの表情を見、腹をくくった。
(彼女の期待を裏切るわけにはいかない!ウィッチが作ったんだ!問題は多いかもしれないが死にはしないだろう!!!)

ラグナスは手にしていたチョコを口元まで運び―


ばくっ!

もぐもぐ・・・・ゴックン。


ドサッ!

「ラグナスさん!?ラグナスさん!!」


お約束といわんばかりに、ラグナスは痙攣を起こしその場に倒れこんだ。
ラグナスの体からは、なぜかにんにくの臭いがする。

「ラグナスさん!?いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

ラグナスは、自分のために涙を流してくれている女性がいることを幸せに思いながら、そこで意識は途切れ1週間寝込んだという。





同時刻

ルルーもできたチョコレートをサタンに手渡した。
サタンは手渡されたまま硬直した。
こちらは、臭いがどうとかいう問題ではない。
見た目がヤバイ。
所々崩れていて、顔をかたどったところなどなぞの宇宙生物と大して変わりないくらいだ。

「さあ、サタンさま!お召し上がりになって!!」

ずずいっと迫ってくるルルーの目を見て、サタンは腹をくくった。
(見た目がどうとかいうようでは、本当の愛をわかってないやつの言うことだ!私はこの娘を信じよう!)

サタンは手渡されたチョコレートを口元に運び―

ばくっ!

もぐもぐ・・・ゴックン!


ドシャ!

「!?サタンさま?サタンさま!??」
「る・・・・ルルー・・・チョコレートをつくったんだよな?何を入れた?」

「え・・・甘いものでは芸がないと思い、『トウガラシマヨネーズ』と杏仁豆腐を・・・・」


ルルーは、口元に手を当て、あさっての方を向きながら、乾いた笑いを漏らした。


「来年までには・・・・ぜっっっっったい!まともに作れるようにしておいてくれ・・・・・」

サタンはその後、お約束どおり1週間ねこみ、ルルーはつきっきりで看病していた。








その後、この不幸な男どもは料理をろくに作れない女にチョコレートをもらうなどという行為は、死に等しいということを身をもって感じた。
そして、サタンとラグナスは、回復してすぐに彼女達に料理を教えるのに全力を注いだという。






そしてこれは別の話だが、アルルとシェゾの2人は珍しく普通にバレンタインの日を送ったという。
そしてDシェゾとDアルルは、何をしていいかもわからないので、とりあえず一日中木の上で星空を眺めていたという。

まあこれは別の話。
リュウ
2005年02月14日(月) 19時29分47秒 公開
■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
なんかありきたり・・・?
とりあえず不幸な男どものバレンタインを書いてみました。
わかりにくいとこがあるかもしれませんが、あしからず。
やっぱニガテですわ。こういう話は。

私的なことですが、バレンタイン。いつの間にかそんな季節になってました。
とりあえず今日はクラスの男達と、チョコ狩りという名の男祭りを行っていました。
ほとほと縁がありませんからね、バレンタインというのは。


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No.2  華車 荵  評価:100点  ■2005-02-16 04:31:59  ID:BH4G.dZ0sJM
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笑わせていただきました…v
ウィッチさんもルルーさんも健気なのは良いけど、
健気の方向が間違ってる!!(爆
でも、そんな二人が好きv(笑
そしてサタン様、ラグナスさん…貴方たちは漢です!!(笑
本気で褒め称えてあげたいv(笑
面白い小説有難うございましたv
No.1  ツバメ  評価:70点  ■2005-02-14 19:58:13  ID:lkpXPMopOFQ
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ラグナスとサタンに一言。(シェゾとDシェゾにも)
チョコをもらえてとってもうらやましいぞ〜〜〜〜!!!!!
もらったことはあるが義理チョコだったし・・・(泣
でもウィッチやルルーのように料理が下手な人からもらうのは、勘弁する・・・
料理が下手っていう人はちゃんと本のとおり作れば、普通の料理が作れるのに、独特の味付けに挑戦するから下手なんだよな・・・
ルルーもウィッチも、精進せいよ!!
総レス数 2  合計 170

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