オルゴール |
「・・・・何つくってらっしゃるのですか?サタン様」 呼びかけられてサタンはふと顔を上げた。 緑の長い髪に両左右から伸びたすばらしいの一言の立派なツノ。 真紅のように赤い瞳が印象的、そんな男である。 今着込んでいる服はどこかの工場のおばちゃんが着ているような作業着だった。 聞いてきたのは青い少しウェーブのかかった長い髪の、女である。 いつものテラスでいつもの風景。そんなところでサタンは作業をしていた。 「ん・・・・?おお、ルルーか。いや、ちょっと道具をな。」 「・・・・道具・・・ですの?」 「そう、道具。」 いいながらサタンは作業に戻る。―サタンの手にしている木枠は高さ1メートルあるかないかで立方体にくみたてられてる。 枠の内部にはバネやら金属製の軸やらを組み込まれていて、なにやら物々しいようであり、小学生の工作のようにも見える。 失礼な話、ルルーの眼には後者のように見えたようだった。 「何の道具ですの??」 「ん?何に見える??」 サタンは少し自信ありげに聞き返した。 しかし返ってきた答えはサタンの予想をひっくり返した。 「木製車輪無し自転車。」 「・・・・・・わからんか??」 「え、違うんですの??」 「そんなものがあるなら本当に何に使うものなのだろうな・・・?」 サタンはいいながら手の中にある『木製車輪無し自転車(仮定)』をルルーの手に渡した。 「・・・結構重いんですのね、なんですの?」 「そういえばルルー、そろそろクリスマスの時期だな。何か欲しいものはあるか??」 「そうですわねー・・・サタン様」 ずるぅ!!がたた!! 「あら・・・どうしました??」 「・・・・・まあいい。」 派手にこけたサタンはルルーの手から『木製(以下略)』を取り返し、ルルーをみつめた。 「そうだな・・・プレゼントにコレをやろうか。」 いいながらサタンはルルーに握りこぶし3個分くらいのでかさのレンガを手渡した。 「そう・・・そんな感じに持っててくれ。」 「なにするつもりですの?」 「試し撃ち。」 「・・・ソレ、武器ですの?」 「少し違うが・・・まあいいだろう。うごくなよ・・・・」 サタンは「木製(以下略)」をレンガに向けてこう叫び引き金を引いた。 「『なんか一家に一台あればうれしいなそんな兵器みたいな感じの癒し系アイテム一号』ファイア!!!」 ばぢん!!―いつの間にか入っていたビー球くらいの大きさの鉄球が射出され がごぎ!! ルルーの手にしていたレンガは粉みじんに砕けていた。 「・・・・あれ?」 「・・・・」 ルルーの顔には冷や汗が一筋流れていた。 そして次の瞬間。 ♪・・・・・♪♪・・・♪・・・・ 悲しみを癒すような音楽が『木製(以下略)』から流れ出ていた。 「どうだ・・・?サイコウケッサクのオルゴールだぞ。」 「・・・・オルゴールでしたの・・・・」 ルルーはその場にへたり込みその音楽を聴き込んでいた。 (それならそうといってくださいまし・・・・そしてなんで武器なんですか・・・) ルルーは満足げに胸をはるサタンにむけて心の中でこうつぶやいた・・・・・ 余談だが・・・・巷で時々『木製(以下略)』を子供達に配っている緑の髪の男性を眼に人がいたとかいないとか。 それはまたべつのはなし。 |
リュウ
2004年12月08日(水) 18時15分56秒 公開 ■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.3 ツバメ 評価:50点 ■2005-01-03 10:30:54 ID:0DsK8s8sMC6 | |||||
・・・どっかの魔術師が、借金を取り立てるために作っていたエドゲイン君を思い出します・・・ サタン様・・・あんたなぜ子供に配ってるんじゃ? 下手すれば、聞くたびに家が壊れる可能性もあるんじゃないのか? 何のために撃つ装置がついてるんだろうか? |
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No.2 華車 荵 評価:70点 ■2004-12-09 02:15:05 ID:BH4G.dZ0sJM | |||||
す、凄い早いですね(笑 しかも面白かったですvv どっかの工場のおばちゃん…サタン様…あんた最高だよ(笑 オルゴールなのに凄い兵器です(笑 しかもいちいち撃たないといけないって…(笑 子供に配って良いのか!?(笑 素敵小説有難うございましたww |
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No.1 リュウ 評価:0点 ■2004-12-08 18:17:30 ID:tjAemY01kIY | |||||
いい忘れ。 結局あの癒し系兵器はルルーにプレゼントされました。 そしてあの兵器には欠点があります。 『いちいち撃たないと音楽は流れません。 以上。 |
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総レス数 3 合計 120点 |
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