| Suspect |
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コン コン ･･･カチャ・・・ 私が開いたドアのほうを見ると、そこにはルルーが立っていた。 それも、とても綺麗な格好で。 なんだか、いつもとは違う雰囲気が漂っていた… 「サタン様…」 なんとも穏やかでいて、どこか寂しそうな、そんな眼差しで見て 私の名前を呼んだルルー。なにか、不自然さを感じた私は、 「どうした？…それに、その格好は…？」 つい、褒めることも忘れて、そう聞いてしまった。 しかし、 「突然ごめんなさい。…伝えることがあるんです。」 私の質問には答えないまま、 「もう…サタン様…。あなたのおそばから、消えることにします。」 そう、話し続けたのだ。 「なに…！？それはどういう…」 驚愕の中からやっとしぼり出せた言葉は、それだけだった。 もう、なんと言っていいのか…くく、私としたことが、なんて 情けないのだろうか…これ以外、何もいえないなんてな… なぜだか、嘘のようには思わなかった。 ルルーが、あんなにまで真剣で寂しそうな眼差しで、見てきたからだ。 そして、…こう、付け足したのだった。 「これから、私、結婚することにするのです…」 やはり私は、なにも、何もいえなかった。 「望みのない恋は、…もう辞めにしようと思ったので。それに… じいも歳だし、私の花嫁姿が見たい…って。そう、言うので…。」 何も… 「今まで、ずっと、ここに、サタン様のお城に居座ってしまって、 サタン様を追い掛け回して…迷惑ばかりかけて、すいませんでした… …あと、恋をさせてくださって、ありがとうございます。サタン様… サタン様は、アルルのこと…頑張ってください……」 言えない… 言葉が出てこない… やめてくれ…ルルー……ルルー…！！ 心では叫べるのに、なぜだ！？なぜ…言葉にできないんだ…！？ 「サタン様………さようなら…」 ルルー…行くな！！！行くな！！！ …ルルーは扉の向こうに歩いていった。その先では、 ルルーの”相手”が待っていた。 私に一礼し、背を向けて歩いていくルルーに…… 私がやっと、言えた言葉は、 「ルルー行かないでくれ！！」 そんな、無駄な、叫びのみだった… 私が、ルルーを突き放していたのに、なぜだろうか… こんなときになって…!!! 私は、なんて、最低な奴なんだ……くそ！！ もう、ルルーたちの姿は、ほとんどみえない。でも、 ……私は何度も何度も、行くな！！そう、叫んだ気がする… …無駄だとわかっていながら… ルルー…行かないでくれ…… …突然、視界いっぱいにルルーがいた。 「サタン様？？」 「どうしたんですか？行きますよ？」 「は！？い、行くな！！ルルー！！」 突然のルルーの登場に驚いた私はつい、大声を上げてしまった。 そして、自分の体をよくよくみると… ソファーに座って、毛布をかけられていた。 夢か…！？ そう思ったのもつかのま。 ルルーが綺麗なドレスを着ていた。 え…？え？？？一度戻ってきたのか？？ と、慌てふためいているサタンを見て、ルルーがクスッと笑いながら 「何言っているんですか、サタン様ぁ！ これからパーティーに行くって言ったの サタン様じゃないですか。あ。でも、すいません。 私のしたくが遅くなったせいで、こんなソファーで…寝ることに…！」 「え？あ、い、いや、いいんだ。」 ゆめ、か… 私は心から安心した。そして、ルルーが、私の傍にいることが 嬉しかった。 ふう。…しかし、闇の貴公子ともあろうものが、夢に警告される、とはな。 それとも、私の、心配事が夢に出てきたのだろうか… …まあ、いい。ルルーが、ここにいるなら… 「あ！サタン様！もうすぐ時間みたいですよ！もう、アルルたち、 行ってますよ。 …早く行きましょう♪」 「あ、ああ…」 「あ。そうだ、ルルー。」 「なんですか？？」 「今日帰り、どこかよらないか？たまには2人でワインでも。」 「ええ！？どうしたんですか？サタン様！？いきなり… めずらしいですね。」 「ん〜…な、なんとなく…な。」 「ふふ。もちろん。行きますわ♪」 もっと、私はルルーのことを大事にしなければいけないな。 でも、シェゾ、アルルの事…楽はさせんからな♪ 終わり |
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華西
2004年12月04日(土) 23時41分54秒 公開 ■この作品の著作権は華西さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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