いつも通りに、罠。1
「シェゾー、お腹空いたよ…。というか狭い…」
「お前黙れ! ここから出られなくなったのはおまえのせいだろうが。第一俺の方がよっぽど狭い!」
「でも、お腹空いたくらいはいってもいいんじゃないかな?」
「ともかく、ここから出る方法を考えろ」


 何故こうなったかを考えるのは実に簡単だ。
 まず、いつも通りダンジョンに出かけたのだ。そしていつも通りなぜかアルルと鉢合わせをし、いつも通りアルルがへまをやらかし、罠にはまり、ここにいる。全くもっていつも通りだ。

 しかも今回のはかなり悪質で、いつまで経っても魔力が回復しない。いくら待っても、だ。そして、かなり狭い。落とし穴、というほどではないものの、俺が横たわるのに苦労するほどの空間にアルルもいるのだ。狭くないと言う方がおかしい。

 しかも、このダンジョンの構造からして、そして罠の悪趣味さからして、ともかく大したものは最深部にはないのだろう。こう確信できるのは、長年ダンジョンに入ってきたからこそつくカンなのではあるが。本当に大切なものを隠して守っているのだとすれば、そもそもその場所を隠しておくはずなのだ。隠し扉やスイッチ、など。しかしそれがありそうな場所もなく、あらかさまな階段ばかりで、あまりにも単純すぎる構造に違和感こそ覚えたのだが。

 しかし、なぜ此処の探索をすぐにやめなかったといえば、まあ街の噂なのだ。ここからすごい宝があるだとか、いい古書があるだとか、そんな話が耳に入ってきて、なおかつ難しいと聞いた。だから、最初が単純なだけだと言い聞かせていたのだが。いや、実はそれだけではないことも心のどこかでは感じていたのだが。その理由はどこかに押し込めて、まともなほうだけを残した。

 「ねえ、シェゾ、魔力回復してる?」
どうやらアルルは今更気づいたようだ。
「全くだ。ほんの少しでさえ回復していないが?」
「へんな結界のせいってことでいいのかな」
「まあ、そんなとこだが」
「なんか苦しいんだけど」
「狭いの間違いじゃないのか?」
しかしアルルは本当に苦しそうだ。一体…あ、待てよ、これは酸欠か?
「なんか、クラクラするよ…」
それとも狭くてパニックでも起こしているのか?
「うう…助けて、しぇぞ」
「…おいっ!起きろアルル!なに気絶してやがる!お前、そのままだと死ぬぞ。起きろ!」
「……」
かなりまずい、なにが理由か分からないが、ともかくここから早く抜け出さなければならない。さもなくば、アルルの容態さえ調べられない。

 しかしこうも狭いと、闇の剣をふるうにもアルルがいてふるえない。
「闇の剣、ここから斬れるか?」
「主よ、流石にそれは無理だ」
「…だよな」
くそ、このままで俺はどうすればいいのだ。このまま何もできずに…想像したくもないな。

 そういえば、そういえばカーバンクルはどうしたのだろう。アルルを今日見かけてから、一度だって見ていないが。まあどうせ、主人の危機も知らずのうのうとサタンの城でバカにならない量のメシでも食っているんだろうが。

 「主よ、もう少しの辛抱だ」
「気休めをいうな、かなりまずいのはお前だって分かっているだろう」
「……」



 何分経ったろうか。上の方で奇妙な音がする。
「破岩掌!女王乱舞!」
「ラビリンス!グランドクロス!」
「サンダーストーム」



続く









りりりれり
2014年09月26日(金) 22時04分32秒 公開
■この作品の著作権はりりりれりさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
 ダンジョン系書いてみたいな、と思った。そしたらとんでもないことになった。
 読んで下さった方ありがとうございます。

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No.1  華車荵  評価:--点  ■2014-09-27 01:28  ID:xhjJGwmtVG.
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作品の説明に釣られましたww
ドッペルズきたーーー!!?
続き楽しみにしてます!(*´ω`*)
総レス数 1  合計 0点

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