雨雨降れ触れ
「降水確率50%で傘持ってこないのはやっぱりバカだったなぁ……。」

アルル・ナジャは帰宅時間となり徐々に人数の減っていく教室から濡れて水たまりの出来たグラウンドを眺めてそう呟いた。

「やっぱり運がいいと言ってもそこまで都合よくとはいかないよね…ディーアにも迷惑かけれないし……仕方ない、濡れて帰ろう」

ほんの少し、雨足は弱まっているものの降り出したときよりは、と言ったようなものだった。それでも学校に泊まるわけにもいかないから下駄箱へと歩き出す。

ディーアはアルルの双子の姉でこのことを相談したらきっと折りたたみを持っているからコレを使ってと自分の傘を貸すに違いない。でも持ってこなかったのは自分の責任だし甘えるのもいけないと思いながら決意を固める。

下駄箱について靴を変える、少し屈伸などの運動をして走る準備を整えていると

「あれ?アルル?なにをしてるんだい?」

一番見つかりたくない相手に見つかってしまった。少しギクリとして振り向くとそこにはディーアが立っている。嘘を付いてもいいがそんなのはすぐにバレてしまう。諦めて、言いづらそうに本当のことを話す。

「あ、ディーア…あーっと……その…傘忘れちゃって。だから走って帰ろうかなーって。」

「全く…一緒に天気予報は見てたのに持ってこなかったのかい?しょうがない、ボクの傘をつかー「だめ!ボクが悪いんだし折りたたみじゃディーア濡れちゃうでしょ?ディーアはちゃんと傘使って帰りなよ!」

食い気味に言い返すと溜息混じりにディーアは返す。

「でもアルルが風邪引いたら困るだろう?…それにどちらにせよこの雨だから濡れちゃうよ、でもそんなに気に病むんだったらこっちの大きい傘に二人で入って帰ろうか。傘はアルルが持ってね?」

と傘を差し出されたら断るすべはない。アルルは一言、「ごめんねディーア、ありがとう」と告げると「どういたしまして」と笑顔で返される。

昇降口から出て傘を広げようとしたところで聞き慣れた声が聞こえる。

「サタンの野郎俺は雑用係じゃねぇっつーの!」
「それに関しては不本意ながらお前と同意見だ…。」
「不本意ながらとかてめぇディーシェ……」
「愚弟と同意見なぞ不本意以外に何がある?」
「あ゛?帰ったら剣道場いくか?おい?」
「ほう…受けて立ってやろう。」

現れたのは帰宅支度を終えた喧嘩は日常茶飯事なレベルの従兄弟同士であるシェゾとディーシェ。ディーシェの方が年上なのでシェゾのことを弟のように扱っているつもりではあるのだがそれが分かるのはディーアだけである。今は親の海外転勤のためシェゾの家にディーシェが転がり込んでいる状況だ。シェゾの家は剣道道場をやっていることもあり、二人とも剣道を嗜んでいるがその腕は見事なものである。

「…また喧嘩してるみたいだね」
「そだね……」

と苦笑しながら話していると喧嘩をしていたディーシェが二人を目ざとく見つけて睨みつけるシェゾを無視して走り寄る。するとその後すぐにシェゾも二人を見つけて追いかける。

「よぉディーア。それにアルル。何をしているんだ?帰るなら送っていくぞ?」

「送って行くってディーシェ、キミ達の家ボクらの反対方向じゃないか。いいよ、悪いし。それにアルルがー」

「アルルがどうした?」

食い気味にアルルのことに対して聞いてくるのはシェゾ。今日はよくセリフが食われるなと思いつつディーアは答える。

「傘を忘れちゃったみたいで、これから相合い傘で帰るとこなんだよ。」

ほぉ……と男二人が顔を合わせて口をゆがませる。こういったときはアイコンタクトでまるで相手の頭の中をのぞいて話をしているようにすべてを察する。

「じゃあアルル、俺の傘に入ってけ。送る。おまえ今日早く帰る用事あるって言ってただろ。」

「えぇっ!?でも、ディーアに…」

渋るアルルにディーシェが続ける

「ディーア、おまえが読みたがってた本が家にあるんだがくるか?」

「えっ…いいのかい?それじゃあ………いや、でもアルルが…」

「心配しなくてもアルルは俺の愚弟が送っていく。どうする?」

「うぅ…でもな……」

アルルとシェゾ、まだではあるが付き合ってると言っても過言でないぐらいには好きあっているのは分かる。ただ、だからこそ花を持たせるのは癪に障る。それでも自分の恋人から出された条件はとても魅力的であるから悩ましい。

ディーアがそんな葛藤をしながら返答に悩んでいるとアルルが口を開いた。

「ディーア、行ってきなよ。ボクシェゾと帰るからさ!」

行こう、シェゾ。とシェゾの腕を引っ張るアルル。傘が開けんから待て!と止めるシェゾ。内心二人ともすごく動揺しているに違いない。そんな二人が歩いていくのを見送ってディーアはディーシェに問う。

「計画通り?」
「まあな。彼奴あいつだけいい思いするのは癪だしな。帰るぞ、ディーア。」

そういうやいなや傘をさしてすでにでる準備をしていたディーシェがディーアの腕を引っ張り自分の傘の中に入れる。

「へっ…!?ボ、ボクは自分の傘があるよ!?」

突然引き寄せられて動揺が隠せず照れて赤くなったディーアからの抵抗を受けながらディーシェはとどめを刺す。

彼奴あいつだけがいい思いするのは癪に障ると言っただろう?別にイヤな訳じゃないんだろうし俺の傘に入ってけ、ディーア。」


そう言われてグイッと引き寄せられたらもう否定する気も抵抗する気も起きてこない。やけに上機嫌なディーシェの横でディーアは何ともいえない恥ずかしさとの戦いのゴングが鳴り響いた音を聞いた気がした
宮池
2013年11月14日(木) 14時45分54秒 公開
■この作品の著作権は宮池さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ここまで読んでいただきありがとうございました!自分で読み返してみるとドッペルズ出張ってんなぁ…。とか考えてましたw

なんというかその…これをかいた時は結構前でpixivにもうpったんですけどこっちにもうpりたくてあげました!

魔が差したんです…。魔導だけに←

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No.1  華車 荵  評価:50点  ■2013-11-16 04:45  ID:lO8xvoCP8Xo
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 めっちゃほんわかしました(*´ω`*)
 ディーアさんマジお姉さんっ!! シェゾさんとディーシェさんのコンビにもニヤニヤです。くそぅ仲良いなぁっ!!
『これってつまり……』
『俺達の出番』
『だよな!?』
って感じですか、アイコンタクトww
 雨という逆境を、好きな人と相合い傘するチャンスに変えたわけですねこの男どもはっ!! いいぞもっとやれ←

 ディーシェさん格好いいですねvv
 引き寄せられてドキドキするディーアさん想像して私のドキドキがとまりませんww 可愛い〜(*´д`*)

 初々しいシェアル&DシェDアル美味しかったです。ご馳走様でした♪
総レス数 1  合計 50

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