いつも通りに、罠。5 |
「!!」 背後で炎が上がった。いや、上がった、といえど、なにか隙間から噴き出しているようにも見えた。しかし、俺には分かる。あれはどう考えても、魔導の炎。そして「俺のオリジナルの魔力とディーアのオリジナルの魔力」だ。 「ねえ、ディーシェ、あれも罠?」 まあ確かに罠に見えなくもない。 「違う。ほれ、行くぞ。あそこに、オリジナルがいる」 足元に注意しながら、その真下へ。 「軽めに、攻撃しろ」 これで下でも崩れたりしたら間違いなくあいつらは死ぬ。…この魔力からしてあいつらは、もう意識さえやっとの状態。特にあの女の方は。もうリバイアなんて出来るはずがない。シールドを持っていたとしても怪しい。ここはどうにかして、穴を掘りつつ… 「風神脚、破岩掌、女王乱舞!」 「グランドクロス、アーマゲドン!」 「だからやめろと言っているだろうっ!人の話を聞いていないだろう、お前ら…」 目の前には、もうもうと砂煙が立ち込め、下は無事かも、穴が開いているかも全く分からない状況だった。 「くそ、お前ら、これであいつら生きていたら…しぶとい奴らだ」 全く、これだから魔力探知は役に立つのだ。我ながら今更何を考えているのだろう。 「ごほっ、…あ、目の前が砕けた岩まみれ」 …ディーア、お前がやったのだろう。 「ふん、私の手にかかればこんなの朝飯前よ」 「で、お前らは、俺の話を聞かずに、下に人がいることを忘れて、本来の目的を捨てて、思う存分床を破壊し、平然としたこのような態度をとれるということが出来るというわけなんだな。人間というものは案外酷く残酷なのだな」 「あ」 「まあ、魔力からして死んではいないが」 「驚かさないでよ」 「そうよ。ほら、穴も出来たからさっさとあいつらを救出して、サタン様のところに私は行くのよ!」 こいつら、サタンにブレインダムドでも掛けられたのか。いつも以上の馬鹿っぷりだぞ。 「…たく。死ぬかと思ったぞ。何考えてんだよ、闇の剣がなければ今頃俺らは死んでいたぞ。…まあ、ともかく、こんな状態で何が助かったんだかよくわからないが、ある意味、助かった。 …罠の中は狭かった。アルルが発動させたのに…。しかも1人でもかなりの狭さなのにアルルもいたから余計に…」 ああ、愚痴をぶつぶつ言っているボロボロの俺のオリジナルが、気絶した女を抱きかかえて俺の目の前にいる。 「変態っ!!!!!」 「はぁ?」 「き、気絶したボクのオリジナルを御姫さm…だだだ、抱きかかえてるなんて」 「それって、罠の中でも…変態ね」 「なぜそうなる! ふざけるんじゃない。アルルが罠に嵌っただけだ!俺は巻き込まれたんだ! 唯一した悪事と言えばアルル(の魔力)を奪っただけだ!」 「完璧な変態じゃない」 「違う!魔力だ魔力。ファイヤーをどうにかするために…ああもうめんどくせえ、俺が変態だって言うならドッペルだって変態だろうが!」 火の粉が降りかかってきた。 「どうなのよディーア」 「俺は変態ではないぞ」 「あんたには聞いてない!ディーア」 俺は違うと言え、沽券にかかわるから。 「ヘンタイちゃあ変態だけど、オリジナルよりは幾分マシ」 一番突っ込みたい答えがきた。 「…ん、むぅー、んんん、あれえ、みんなどうして此処にいるの? ああ、ボク助かったの? ありがとねみんな。え、シェ、シェゾおおお!? ななな、え!? なんでボクのこと抱き上げてるの? 降ろして」 ベストタイミング! ボクのオリジナル。このつきあい切れない人たちを何とかまとめてくれ。さあてと、ボクは帰るかあ。もうしたいことは終わったしね。久しぶりにはしゃいでボクは疲れたよ。 「今お前を降ろして、お前は自分で歩けるのか」 「…自信ない」 「じゃあ黙って大人しく抱かれていろ」 「キー! なんなのこの桃色の雰囲気は! いいわ、私もう帰るわ。サタン様に会いに行くわ。アルル、明日は何があったのか全部話してもらうから覚悟しておきなさいよ!」 「では、そろそろ俺も帰るか、…またか。暫くはディーアを探す旅に出なければならないようだ」 ああ、なんかみんな帰っていくみたい。ああ、本当にありがとね。ってそれどころじゃない。幾らボクが歩けないからってこれはもう恥ずかしい。恥ずかしいというかなんかもう…。ああもうシェゾ、いつもみたいに空間転移しちゃってよ。 「シェゾ、空間転移しないの?」 「そんな魔力はない」 「あははは、だよねー…」 当り前じゃないか。最初の方で鉄球をアレイアードでいくつ破壊したか分からないくらい魔力使ってるし。 「そんなに気に入らないか」 「え?何が」 「そんなに俺に触られるのが嫌か」 「いいい、いや、別に」 「そんなに早く帰りたいのか」 「帰りたいと言われればそうだけど、なんか用事でもあるの?」 「いや、何でもない。気にするな」 何故か言ってしまった一言。言わなければよかったと後悔した。何故か思ってしまう。何故かはさっぱり分からないが、アルルが近くにいる方が落ち着かない癖に、心が踊る。まさか、無意識のうちに魔力でも奪っているのではないかとアルルのことを考えると不安になる。さて、俺はいったいなにをかんがえているのだろうか。 |
りりりれり
2014年10月08日(水) 18時33分06秒 公開 ■この作品の著作権はりりりれりさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 りりりれり 評価:--点 ■2014-10-11 00:08 ID:TvdnLK10luM | |||||
返信遅くなってすみません…。ありがとうございます。妄想を発展させて行きましたらあらまあ、いつの間にか「5」になってましたという…。気が付いたらディーシェさんが常識人。多分私のなかのディーアがいつもは割と普通(?)だからその影響かなあ、と。 | |||||
No.1 華車 荵 評価:50点 ■2014-10-08 21:31 ID:xhjJGwmtVG. | |||||
お疲れ様でした! 楽しく読ませていただきました。 シェアル可愛いですね(*´Д`)ハァハァ シェゾさんの最期の独白にキュンキュンします(笑) ディーシェさん、苦労人だww てかこの中で唯一の常識人?(笑)ディーアさんとの関係、頑張って欲しいです。 ルルーさんはいつも通りと言うか、ブレないなぁ。ああいう思い切ったところ好きですよ!遺跡から出たら即行でサタンさまに抱きつきに行きそうですね、可愛い(*´ω`*) ディーアさんの性格、なんかゲームボーイ版っぽいですね! 大丈夫、公式の範囲内です(笑) 執筆お疲れ様でした! そしてありがとうございました! |
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総レス数 2 合計 50点 |
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