いつも通りに、罠。2 |
「ぐっぐぐっぐぐー」 声の主に珍しくワタシは全く気が付かなかった。 「サタン様、まだおかわりはたくさんありますから、たくさんお召し上がりなさいませ♪」 「る、ルルー、いや、ちょっ! い、いや、とても旨いのだが、そのっ、いやもう腹が限界なのだ! 無理やり押し込むな、頼むから!」 「サタン様〜、はい、あーん」 「あーん、ってだから!い、いや旨いぞ!」 「あーん」 「むぐっ、うん!旨いぞ…でも、その、ご馳走様でした―」 「サタン様〜もっと…」 「いや、もうちょっと、ととととトイレ行ってくるぞ」 「片付けておきますからね」 いやー、多少はこなれたか。しかし、まあ随分とルルーも家事の能力を上げたな…。一か月前はほぼ壊滅状態だったというのに。いやー、今では素晴らしいカレーを作るからな。いやーこれも、ワタシへの愛のしるしなのか♪ オ落ち着け、これではヘンなおっさんではないか。あくまでも冷静に冷静に…。…あれ、なんでこんなところにカーバンクルちゃんがいるんだ? ん、な、なんか怒っているぞ。え、え? いや、なんでビーム打とうとして… 「ぎゃあああああああああ!」 「さ、サタン様!?」 そして今、ワタシはカーバンクルちゃんに必死に謝っている。 「いやー、悪かった、許しておくれ〜。ごめんねー」 「ぐぐぐぐぐぐぐぐぐ!」 「え、急いでるからって?」 「ぐーぐ!」 「サタン様は悪くありませんのに…」 ありがとうルルー。本当にお前には感謝している。 「で、用件はなんだい?」 カーバンクルちゃんの話は想像していたよりも、かなり深刻だった。 「なんだって?」 「ぐーぐぐぐぐ、ぐぐっぐぐーぐ、ぐぐぐぐっぐ!!」 「サタン様、訳をお願いします…」 「簡単に言うとヘンタイとアルルがダンジョンでかなりまずいことになっているらしい」 「サタン様…」 今、先にヘンタイと言ったぞルルー。アルルは先に言ってないから許せ。 「助けに行くぞ」 「サタン様…私もご一緒に」 「最初からそのつもりだ」 「まあ!」 本当にこういうときのルルーの顔は愛らしい。いつもは美人なので美しいのだが、やはり愛らしい笑顔を見ると本当に嬉しくなる。 「ほら、掴まれ」 ルルーはワタシの腕につかまる。さあ、空中遊覧を楽し…むのではなく、二人を助けに行こうではないか。 そのしばらく前 「あれ、カー君じゃないか、どうしたの」 「ぐぐぐぐぐーぐぐ!ぐぐぐ、ぐ、ぐっぐ、ぐぐぐぐっぐーぐぐぐ!」 「え、ボクのオリジナルと、シェゾが危ない?あそこのダンジョンで罠にかかった?大変だ」 「…ディーア、おい、この軟体動物の言葉が分かるのか」 「うーん、オリジナルほどじゃ、ないんだけどね」 「ぐぐぐ、ぐっぐーぐぐっぐぐー!!」 「だから今すぐ助けに言ってほしい? サタンのところにこれから行ってくるね? うん、分かった」 カー君の言うことだ、きっと酷い目に遭ってるんだろうな…。なおさら助けに行かなくちゃ。 「ディーア、あのダンジョンはトラップが多くて凶悪なことで有名だ。…止めておけ」 「あのねえ、キミのオリジナルも助けに行くんだよ?」 「誰が助けに行かないと言った」 「あー、はいはい。キミのお得意の『1人では行かせない』でしょ。いらないからそういうの」 「……」 「?」」 「行くぞ」 |
りりりれり
2014年10月03日(金) 20時42分38秒 公開 ■この作品の著作権はりりりれりさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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