季節はずれの雪。 |
季節はずれの雪が降った。 これから蒸し暑くなるはずなのに、寒い。 お前がいなくなってからだ。 きっとお前はどこかにいるんだろう? 希望を捨てられず、この雪をお前のせいだと無理やり思い込む。 季節はずれの雪。 「寒いな…」 最近は雪がよく降る。 サタンやルルーたちはあいつがいなくなったことを知らないようで、いつも通り仲良くやっている。 周りには雪で遊ぶ子供達。 子供たちの母親らしきやつが子供になにか言い聞かせている。 ―季節外れ、っていうのは神様のいたずらなのよ ―いたずらはよくないよ! ―そうね、でもあなたたちもするでしょ? ―…私いい子だもん! ―はいはい。じゃあ雪で遊ぶ? ―遊ぶー! 「神様のいたずらか…」 もしもそうなら、俺の頭には一人しか思い浮かばない。 アルルとしてじゃなく、時の女神として消えていったお前しか。 お前はいきなり「帰らなくちゃ」と言って光に包まれた。 時の女神を名乗る者からお前の体で、お前の声で「さようなら」と言われた。 認められなかった。 でも、いきなりお前が消えたことは事実なんだ。 時の女神が本当にいるなら、それはお前なんだろう? ああ、ありえないぐらいに俺はお前がいないとダメなようだ。 お前がいたら、こんな雪には憎まれ口をたたいてやったというのに、今はこの雪が降っているおかげでお前がいなくてもある程度耐えられているんだから。 ああ、お前は今もこの世界を見ているんだろう? 何度同じことを頭の中で繰り返したか。 それでも希望を捨てられずに、俺は何度でも繰り返すんだ。 お前はどこかにいるはずだ。 だから、お前を探そう。 探し出して、言えなかったことを伝えよう。 「俺はお前が…」 end |
みえ
2013年05月21日(火) 19時34分22秒 公開 ■この作品の著作権はみえさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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