ルルーの鉄拳春休み 不思議の国編11 |
ル ・・・・・・ビク!! ナ ルルーはしばらくの間当てもなく歩き続けていましたが不意に背後に気配を感じました。しかしながらそれは自分のなじみのある気配であったために瞬間的に感じた緊張を解いてルルーは振り返らず歩き続けます。 チェ うにゃぁ〜〜ん。ま・・・待ってにゃ〜ん ル やっぱりあんた達か・・・ちょうど良かったわ私あんた達に聞きたいことがあったのよ。ワンダフルランドの住人チェシャキャット達にね・・・ チェ ち・・・ち・・・ちち・・・違うにゃん!あたしらは双子のケットシーじゃあなくてワンダフルランドの水先・・・うにゃ??今・・・何ていったにゃん?? ル ここは本当に・・・私の知っている世界じゃない・・・わかったのは今さっきだけどね・・・あんた達も私の知っている者の姿形はしているけど・・・本当は違うんでしょ?教えてちょうだい!ここは一体何処でどうすれば私はここからでることが出来るの? チェ う・・・うにゃ〜・・・そ・・・それは・・・教えても良いにゃん。でも・・・条件があるにゃん。実は今このワンダフルランドの生命線とも言える生命の木が枯れ木になってしまったにゃん。生命の木復活の鍵をにぎるのはこの森の奥にある寺に住んでいるさそりまんだけなんだにゃん。 ル ちょっと待ちなさいよだからといって私に一体何をしろって言うの??あんた達の世界のことはあんた達で何とかしなさいよ!!私はただ自分の世界に帰りたいだけなんだから!! チェ それが・・・そうはいかないんだにゃん・・・この世界の住人ではこの世界の生命の木に手を出すことが出来ないわけがあるにゃん。さそりまんにしてもあくまで生命の木復活の手助けが出来ると言うだけだにゃん。直接手が出せるのはあなただけなのにゃん!! ル ふう・・・なんだか・・・話が大げさになってきたわね。何が何だかさっぱりわからないわ。・・・全くこの世界にやってきて私は誰かに頼まれてばかり・・・でも・・・立ち止まってうじうじ悩んでても仕方ないわね。こうなったらとことんこの世界につきあってやるわ。生命の木だろうが何だろうがまとめて面倒みるわよ!願いの玉もあと1つだしね。 チェ どうもありがとうにゃん。でもこれで貴女のお祖母ちゃんも安心するにゃん。 ル ちょっと!どういうことよ!どうしてお祖母ちゃんが・・・ チェ うにゃ・・・しまったにゃ・・・今のはその・・・・・・ごめんなさいにゃん!ひ・・・ひとまずさよならにゃん ル 待ちなさい!ま・・・待ってちょうだい!お願い・・・ひとつだけ答えて・・・私が生命の木とやらを復活させることは・・・お祖母ちゃんにとってプラスになること・・・なの? ナ 2匹の猫の姿をした生き物はしばらく考えていたようですが姿を消す直前になってルルーの真剣な問いに対して答えました。それはよほど注意していないと見落としてしまうほどの小さな答えでしたが・・・ルルーが生命の木の復活の鍵を握るさそりまんに会うため行動をおこすには必要かつ十分な答えでした。その答えは・・・小さく・・・しかし意図的に首を縦に振る動作・・・すなわち・・・YESでした・・・ ル ふぅ〜〜どうやらこの先があの双子のケットシーが言っていた寺のようね。 ナ ルルーは再びあの猫たちを双子のケットシー呼んでいました。今まであった者達が本当は一体誰なのかあれこれ悩んでも仕方ないのでどうせなら見たままの姿を受け入れ割り切ってしまおうと考え始めたのです。順応制が極めて高いのがルルーの長所の一つです。しかしこのことはルルーの気持ちを楽にするばかりか冷静に状況を分析する余裕をも生み出すことになりました。 ル どうしてお祖母ちゃんとの思い出ばかりが頭に浮かぶのかしら・・・お祖母ちゃんがこの世界に何らかの形で関係してるのは間違いないわ。それから・・・ケットシー達は少なくとも私の敵ではないようだけど・・・どう考えても怪しいのは・・・この謎のフードの男ね・・・こいつは私の課題を奪ってこの世界へ連れてきたばかりか自らもこちらの世界に来ている・・・一体何者なのかしら・・・まぁ・・・いいわ・・・今はさそりまんにあってワンダフルランドの生命の木を復活させることが大事ね・・・このことが近いうちに全ての謎を明らかにするただ一つの方法である・・・そんなきがするわ。あら??例の寺が見えてきたようね。へえぇ〜この世界にこんな場所があるのもなんだかおかしな感覚だわねぇ ? おや??ねーさんこんな場所まで来ることが出来るとは・・・ふ〜んなるほどなぁ〜ねぇさん・・・この世界の住人じゃおまへんなぁ ル この関西弁を使う気のよさそうなサソリもどきはさそりまんだわ。いつもニコニコしているけど・・・何が楽しいのか理解できない奴ね。口調もいかにもなにわの商人って感じなの・・・ さ(さそりまん以下さ表示)まぁ〜こんな場所までよぅ来はったなぁ〜とにかくお茶でも入れますさかい中入ってな。 ル (ふふ・・・私が知っているさそりまんそのものだわ・・・)悪いんだけど・・・今急いでるのよ・・・ ナ ルルーは自分の知っている情報をさそりまんに話しました。 さ なるほどなぁ〜そらぁえらいことでんなぁ〜生命の木が枯れてしもたらワテらみんなおしまいですわ。確かにワテは生命の木を復活させる方法は知ってます。そやけどあるアイテムが必要なうえにそのアイテムは特定の者でないと使えんのですわ ル そのアイテムは何なの??誰が使えるの??? さ 枯れた生命の木を復活させるには高級灰春一番が必要なんですわ。ほんでもってこの高級灰春一番を使うことが出来るのはこの世界の住人やないね〜さん・・・あんさんだけでんがな ル 何で私なの??? さ そりゃぁ・・・なんちゅうてもこの世界は・・・・・・っと!! あかんあかん危ないところでしたわ。ね〜さん・・・ほんますんまへんなぁ〜決まり事によって・・・これ以上ね〜さんには話せんのですわ・・・ ル ふぅ・・・まぁいいわ・・・ケットシー達が言ってた私でなくてはだめっていうのが間違ってなかったということ・・・か・・・ねぇあんた!その高級灰春一番ってのはいったい何処に行けば手にはいるの? さ 高級灰春一番というものが初めからあるわけやのうてワテが自分で作りまんのや。わてが高級灰春一番を作るには虹の平原にある花の花びら虹の花びらがいりまんのや・・・ ル わかったわ!虹の平原の虹の花びらね!だっしゅでいくわよぉー ナ さそりまんから虹の平原の場所を確認したルルーは早速目的地へ向かってダッシュしようとしましたが・・・ さ おっとと・・・ね〜さんちょっと待ちなはれ一つだけ問題がありまんのや ル 何よ何よ何なのよ!せっかく私がやる気満々なのに さ 虹の平原までの途中の道はささやきの森を通らにゃあきまへん。 ここでは・・・風のささやきをよぉ〜〜〜く注意して聴いておくことでっせワイが教えられるのはほんまにこれで全部ですわ。ね〜さんの健闘祈ってまっせ ル 色々とありがとね。じゃぁ虹の花びらをもってさっと戻ってくるわ! ナ ルルーはしばらくさそりまんの言われた方角へ向かって歩きました。 ル どうやらここがささやきの森の入り口らしいわ。そういえばさそりまんが何か言ってたわね注意しろとかなんとかって・・・ここは一つさそりまんが言っていたように風のささやきを聴いてみましょう・・・とはいっても漠然と感じているだけでは無理みたい・・・ね。少しばかり・・・真面目にやってみる必要がありそうだわ・・・スゥゥゥゥゥゥゥ・・・ ナ ルルーは静かに目を閉じて清らかな森の空気を思い切り吸い込みました。人間には視覚 聴覚 嗅覚 味覚 触覚の五つの感覚すなわち五感がそなわっています。 幼い頃からの訓練によってルルーは五感のどれかを閉ざすことによって他の感覚を数倍に跳ね上げる事が可能なのです。五感の一つである視覚を閉ざすことによって他の四感がとぎすまされていきます。 ルルーはとぎすました四感を広げて森全体に自分の意識をゆっくりと重ねていきました。本来音を聞く聴覚のみでは風のささやきを聴くことはできません。風のささやきというものは体全体で感じるものですから触覚 味覚 嗅覚の使い方もとても大事です。 もちろんここで言う使い方は普段の生活の使い方とは少しだけ違います・・・今やルルーはこの森全体であり木であり花であり足下の土であり周囲の空気でありそしてその空気を動かす風でした・・・やがて風との一体化を果たしたルルーの感覚に触れてくるものがありました ??・・・・・・・・・・ミルモノダケガ・・・スベテジャ・・・ナイワ・・・ミエルモノダケガ・・・スベテジャ・・・ナイヨ・・・サイショハ・・・ヒダリ・・・ツギニ・・・ミギ・・・サイゴハ・・・マッスグ・・・イケバイイ・・・ミエルモノダケガ・・・スベテジャ・・・ナイヨ・・・ミルモノダケガ・・・スベテジャ・・・ナイワ・・・・・・・・ ル なるほどね・・・普通に進んだら迷っているところだったわ。でわそろそろ森の中に入りましょう。あら?どうやら分かれ道にやってきたみたいだわ風のささやきでは最初は左と次に右といってたからやっぱり左側に行くべきよね。しかし森の中をあるくのはなかなか気分が良いものよね。 あら?どうやら分かれ道にやってきたようだわさっきは左へ行ったから今度は右ねやっぱり右側へいくべきよね。あら??ささやきの森の入り口みたいね。また戻って来ちゃったのかしら??嫌・・・違うわ・・・ここは似ているけど少しだけど感覚が違うわ・・・見たところ左の方と右の方に道が見えるけど・・・左へ行った後右へ行き最後はまっすぐっていってたし見た目には行き止まりだけど私はだまされないわ・・・だって・・・風のささやきを聴いたもの・・・最後はまっすぐってね・・・ ナ ルルーはためらうことなく目の前の森に突き進んでいきました。そして・・・森の木々に接触するという瞬間・・・ルルーの体は何の抵抗もなく森に吸い込まれていきました。 ル やったぁ!!ここがさそりまんの言っていた虹の平原だわ!ついにたどり着いたのね!! さぁーてと急いで虹の花びらを手に入れましょうか! わぁ!これがそうね!なぁーんてきれいなのかしら!この私の美しさにまさるとも劣らないわねぇ ナ 取りあえずルルーは虹の花びらを手に入れました。 ル それじゃぁさそりまんの所に急いで戻りましょう ナ ルルーはさそりまんの待つ寺の森まで戻ってきました。 ル はい!ちゃんと虹の花びらを手に入れてきたわよ。さっそく高級灰春一番とやらを作ってちょうだいな! さ さすがやね〜さん!よぅがんばりましたなぁ ル ふふん!こんなのちょー楽勝だわ さ ほなちいとまっとってぇな!すぐに作りますよって・・・ ナ 寺の中に入っていったさそりまんはしばらくして戻ってきました。 さ ね〜さんお待たせしましたなぁ〜これが生命の木を復活させることの出来るただ一つのアイテム高級灰春一番でんがな ル 何よ・・・これ・・・ただの灰じゃないのよ・・・ さ はぁ〜ね〜さんわかってまへんわ。これを枯れている生命の木にパッパッと振りかけるだけでなんと!もう今までのそれとは比べものにならんほどびんびんや!あきらめかけとった春が文字通り再びやってきまっせ ル 何がびんびんなんだか・・・まぁこれは貰っておくわ ナ ルルーは高級灰春一番を手に入れました。 さ ね・・・ね〜さん・・・生命の木は・・・実はこの寺の奥に生え取りますのや。どうか・・・いそいで・・・や・・・ ル さそりまん!! さ 大丈夫・・・や・・・少し疲れただけ・・・でんがな・・・ ナ さそりまんは急いで高級灰春一番を作ったことによる疲労でフラフラでした。 ル 全く!あんたいつもニコニコしてるから顔だけ見ているとわからないじゃないのよ!生命の木にはこの灰を振りかけるだけでいいんでしょ?後は私に任せて安心して寝てなさいな ナ ルルーは早速さそりまんの言っていた場所に移動しました。 ル これが生命の木・・・か・・・想像以上にあれているわね・・・木自体が放つ生気もほとんど感じられないけど大丈夫かしら?? それにしても・・・この木・・・何処かで見たことがあるような・・・何処だったっけ・・・???うぅ〜ん思い出せないわ!でも今はこの木を復活させることが先決よね!それ!! ナ ルルーは高級灰春一番を取り出して生命の木に勢いよく振りかけました。 チェ 枯れ木に花を咲かせるにゃん、枯れ木に花を咲かせるにゃん ル あら??いつの間にかケットシー達がハモって歌っているわ。こちらも頑張って灰を振りかけましょう。 チェ 枯れ木に花を咲かせるにゃん、枯れ木に花を咲かせるにゃん ル 枯れ木に花を咲かせましょう ナ ルルーが灰を振りかける度にケットシー達が歌う度に生命の木は徐々にその命を取り戻していきました。そして・・・ついに!! 5歳 うっわぁぁぁーすっごくキレイーお祖母ちゃんこの木のお名前なんて言うの??? 祖母 おや???ルルーはこの木をみるのは初めてかい??この木はねぇ・・・春に咲く花の木桜さ・・・ 5歳 桜かぁー本当にキレイだねぇ 祖母 ルルーは桜が好きかい? 5歳 うん!ルルー桜大好きぃーキレイだしそれに・・・良い匂いがするもん!! 祖母 そうかいそうかい。実はお祖母ちゃんも桜が一番大好きなんだよ。桜はお祖母ちゃんにとって思い出の木でねぇ。 もしお祖母ちゃんが天国へ行けるなら桜の木がたくさんあるところに住みたいねぇ 5歳 ええ!!お祖母ちゃんお引っ越しするの??何処何処ぉ??ルルーの知ってるところ? 祖母 いやいや・・・お引っ越しはしやしないよ・・・今はまだね・・・するとしても・・・そうだねぇ・・・ルルーが今よりも大きくなるもう少し先のことさ・・・ 5歳 ふぅ〜ん・・・ 祖母 お祖母ちゃんの・・・お祖母ちゃんもまた桜が大好きでねぇ。おばあちゃんが小さい頃に桜の木で作ったオルゴールをくれたんだよ 5歳 ええ!!桜のオルゴール?ほしいほしいよぉーお祖母ちゃんルルーに桜のオルゴールちょーだい 祖母 そうだねぇ・・・いつかルルーに持ってきてあげるよ。ルルーとお祖母ちゃんの約束・・・ほら・・・指切りげんまん・・・ (いきなり誕生日の画面に変わります) ルルーや・・・はい・・・お誕生日おめでとう 5歳 これ・・・・なぁに? 祖母 これはね・・・お祖母ちゃんの思い出のオルゴール・・・さ・・・ お祖母ちゃんはね・・・このオルゴールの音楽を聞くと・・・何だか心が落ち着くんだよ。 5歳 落ち着くって? 祖母 そうだねぇ・・・ルルーに解りやすく言えば・・・優しい気持ちになれる・・・ってことかな? お祖母ちゃんはね、ルルーには・・・このオルゴールを聞いて優しい気持ちになって・・・そして・・・優しい子になって欲しいんだよ。 5歳 お祖母ちゃんありがとう!! ルルー大切にする!! 6歳 どうして?! どうして今年はお祖母ちゃん来てくれないの?! きっとルルーのことなんてどうでもいいんだ!こんなの聞いても・・・・・・ちっとも優しくなんてなれないよ!お祖母ちゃんなんて大っ嫌い!!! ガシャーーーーン(オルゴールを壊した音) ル これは・・・・・・桜・・・そうか・・・どうして・・・どうして・・・今まで忘れていたのかしら・・・次の年・・・私の6歳の誕生日・・・お祖母ちゃんは・・・うちには来なかった・・・正確には・・・病気で来ることが出来なかったのだけど・・・小さな私は毎年お祖母ちゃんと過ごす誕生日を楽しみにしていたからその反動が大きくて・・・大切なオルゴールを壊してしまった・・・そしてその夜・・・悲しそうな顔で私に謝るお祖母ちゃんの夢を見た・・・翌朝目を覚ました時私は・・・大好きなお祖母ちゃんにもう二度と会うことはできないのだと不思議と理解していた・・・次から次へ・・・勝手に涙が溢れだしいつまでもベッドの中で泣いた・・・お祖母ちゃん・・・いつまでも・・・優しかったお祖母ちゃん・・・私の6歳の誕生日に亡くなったお祖母ちゃんは・・・お祖母ちゃん自身の希望で大好きだった桜の下で眠ることになった・・・お祖母ちゃん・・・ チェ 本当にありがとにゃん。あなたのおかげでこのワンダフルランドの危機が救われたにゃん!これは私らからのお礼だにゃん!受け取ってにゃん! ル 最後の一つは・・・あんた達が持っていたのね・・・ ナ ルルーは願いの玉を手に入れました。ついにルルーは3つの願いの玉をすべて集めました。 |
隗
2013年05月15日(水) 17時53分39秒 公開 ■この作品の著作権は隗さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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