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「いたっ!」 今日は休日。 アルルとルルーで出かけ、見かけたシェゾをルルーがアルルのネタで釣り、荷物持ち役へ引っ張り込んだので、結果3人での買い物の日。 因みにアルルはシェゾが付いて来る気になった経緯は知らない。 当初は何故俺がと呟いていたシェゾも、アルルの楽しげな表情に乗り気になって来た頃。 つまりはまだ大して時間がたっていない頃である。 アルルがいきなり声を上げた。 「な、何だ、どうした?」 「いきなり大声あげて、何だっていうのよ?」 「う〜……」 平日よりも少し多い人ゴミの中アルルを見れば、何やら右手を抱えている。 それを見て、シェゾが慌てて駆け寄る。 「何かしたのか」 「うん、ちょっと今人にぶつかって……突き指したみたい」 アルルは、急いだように通り過ぎた人の持ち物に手をぶつけ、右手中指を突き指してしまったのだ。 相手は気付かなかったのか、何も言わずにただ慌ただしく過ぎていった。 「あら、大丈夫なの?」 ルルーが覗きこむ。 その目の前で、アルルの手が取られていった。 それを視線で追えば、シェゾの手の中に収まるアルルの小さな手。 シェゾが、真剣な表情で怪我の度合いを探る。 「動かせるか?」 「うん、ちょっと痛いけど……」 アルルがゆっくりと手を握ったり開いたりして見せる。 「ふむ、まだ腫れる様子もないし、動く、か。とりあえず大事にはならなそうだな」 シェゾがアルルの手を撫で、包み、さすりながら言う。 「薬でも買って応急処置だけしておくか。それで家に帰ろう」 「や、やだなあ、そんなに酷くないよ。そこまでしなくても大丈夫だから」 じっとアルルの目を見て言うシェゾに、アルルが頬を赤らめながら答える。 「ね、離して……」 「だが悪化したらどうする。固定だけはしておけ。あとで痛くなるぞ」 間髪をいれないシェゾの科白に、アルルが詰まる。 「分かったらほら、店行くぞ」 「う、うん……」 手を掴んだまま歩きだそうとするシェゾの耳に、女王様の溜息が届いた。 見れば、いつの間にか一歩下がった位置にいるルルーの姿。 「あんたらねえ、別にヒーリングでもかけて直せばいいでしょうが」 呆れかえったように言われた内容に、あ、とシェゾ。 「大体こんな道のど真ん中で何やってんのあんたら。見てるこっちがはずかしいわよ」 アルルがバッと顔を下げ、シェゾがバッと手を開放する。 「あー、いや、えー……アルル、すまん」 「や、えと、その、うん、心配してくれてありがと」 再び大きな溜息が。 「あたしはお邪魔なのかしら」 「そ、んなことないよ!」 アルルが焦ったように言う。 「そうかしら」 「うん!最初から約束だったんだし!」 一生懸命に言うものの、顔はまだ赤いままだ。 シェゾは明後日の方を見ているが、少し耳が赤いのが見て取れる。 「……まあ良いわ。今日は付き合ってあげる。分かったらさっさとその怪我どうにかしなさい」 「うん!」 その後、アルルの怪我はシェゾが治し、三人は買い物を続けることとなった。 しかしシェゾがアルルに対し少し過保護になり、それがまたルルーを呆れさせるのは、また別のお話。 |
HAL
2012年10月18日(木) 18時26分54秒 公開 ■この作品の著作権はHALさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 HAL 評価:--点 ■2012-10-19 15:26 ID:p2PZC9msNDc | |||||
コメントありがとうございます! 自覚なしにいちゃつく状況って好きなんです。 二人の空間作りやがってw←作らせた人 ルルーは策士だと思ってます。 |
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No.1 華車 荵 評価:100点 ■2012-10-19 01:24 ID:VB71BK9.rkY | |||||
お久しぶりです、HALさん(^-^)また投稿してくださってありがとうございます!! 突き指大丈夫ですか!? 痛いですよね……お大事にです(´;ω;`) シェアル〜! シェアル〜!! シェゾが優しいですね! もうきゅんきゅんですvv「それで家に帰ろう」ってお前彼氏かよwww いやもう彼氏確定ですよね! ね!?(何) 頬を赤らめるアルルがまたかわいいよぅ〜っ(*/∇\*) ふてくされてるルルーも可愛いよぅ〜!! 少し過保護なシェゾさん……v「ほら、また人にぶつかるぞ」とか言ってさり気なく手繋いじゃったりするんでしょうか(*´д`*)ハァハァ 怪我が治せるんだから突き指くらいは魔導で治せそうですね。 ご投稿ありがとうございました! |
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総レス数 2 合計 100点 |
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