幸せV 〜
「「「…………」」」

もともと明るいとはいえない店内になにやら重々しい空気が漂う。
かれこれ15分たっただろうか。


「…こ、これは大変ですわ…」

「あいつにもついに春が来たか…」

「しかもちゃっかり『準備手伝え』とか書きやがってこのアホ」

「とにかく、ルルーさんにお祝いの言葉と一緒に花束でも渡しにいきません?」

「それもそうだな、じゃあいくか!」

「俺はパs

     「「お前(貴方)もいくんだよ(ですよ)」」

にっこりと笑う二人には、闇の魔導師も逆らえない。
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「アルル…日取りが決まったぞ…」

「うん、この日かぁ。縁起もいい日だね。」

そのころ、サタンたちは式の準備で大忙しだった。

「さあ、これから忙しくなるぞ。お前のジュエリーやドレスもこしらえんとな…」

サタンはあれやこれやと家臣を呼びつけ忙しそうに指示を出す。

「少し席を外すが、待っていておくれ。すぐ戻る。」

忙しそうなサタンを、アルルはうれしそうに鼻歌を歌いながら見送った。

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「……何か私今とても入ってはいけない気がします…」

「奇遇だな。俺もだ。」

「中に入ったら最後どうなるかわからないな…」

それもそのはず。今三人はルルーの部屋の前にいるのだが、聞こえてくるのは
魔導合戦でも繰り広げられているのかというほどの轟音。

「ここはやはり『みんなで渡れば怖くない!』を信じますか…」

   「「いや、100人いてもこれは怖いぞ。」」

おおっと、見事にステレオです。

「と、とりあえず開けてみましょう…」

ガチャ…



「なぜサタン様は私を選んでくださらなかったの?やはり元のようにアルルが好きならばそうおっしゃってくれれば諦めがついたのに…あんなちんちくりんに私の何が欠けているって言うのよっ!」

最後にかなり身長の高いシェゾでものびのび横になれそうなソファーを投げた。
  格闘女王最強伝説。

「る、ルルー?ど、ど、どうした?」

さすが闇の魔導師。勇気ありますねー

「…いったい何が……、あら、きてたの。この椅子は壊れてないからそれに座って頂戴。」

先ほどの音で多少は荒れているかと思ったがこれはひどい。
ドレッサーやテーブルはひっくり返り、先ほどのソファーはいつの間にか真っ二つになっていた。
アレイアードスペシャルに究極の一撃、ブラックホールにサタンクロスでもしなければこんなにはならないだろう。おまけに壁に3箇所程度穴があいている。声のトーンもいつもより低い。相当きてるだろうなこれ。
(もう二度とルルーを怒らせるマネはやめよう…)
三人はそう心に決めた。

「単刀直入にいきますが、こちらは…ルルーさんではないのですか?」

ウイッチがひらひらと招待状をルルーに見せる。

「そうよ。名前が書いてないからアルルとは決め付けられないけど…サタン様のこと…きっとアルルなんだわ…でも、私はサタン様の下僕。喜ばしいことだと思っているわ…」

「でもアルルさんのこと、何かわけがあるはずですよね。なにかしっていることはありませんか?」

「ないわ…私には何もわからない…」

「…サタンが何かしたんじゃねぇのか?」

「確かに…まずは事情を聞きにいかないか?」

「そうですわね…ルルーさんも行きます?」

「私は…ここに残るわ…今は会いたくないの…」

「…わかりました。事情がわかり次第伝えますわ。」


「ええ。サタン様のこと…頼んだわよ・・・」

アクア
2012年10月01日(月) 17時34分58秒 公開
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