幸せ   T   〜方法〜
魔界のとある場所で響き渡る声。

「サタン様、ですからルルーさんは…」

「私はルルーを后にすると決めた。」

「でも、魔力がない女っていうのは…」

「いくら気に入っていようと…」


「いちいちうるさいっ!私はルルーを后にすると決めたんだっ!」

たたかれたテーブルに少しばかりヒビが入る。


「…サタン様。これは決まりなのです。魔王の后は、強大な魔力を持つものであることが絶対条件だと。そうしないと、魔界は強い子孫を残すことができなくなり…滅びてしまうのですから…」



「……」

自分は力で世界のひとつ二つ、どうすることもできる。
だが、自分は王だ。魔の者を管理し、守るという義務がある。

魔界がかかっているのだ。自分勝手には、できない。


魔王に反論は、できなかった。
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「…アルル、ルルー…すまない。
   だが…こうするしか…なかったんだ…」
どこか自分に言い聞かせるような言葉を残し、悲しげな表情を浮かべて、魔王は部屋から出て行った。

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「ああああ、暑い暑い暑いっ!!」

「ぐぐ…」

同感、といわんばかりにカーバンクルが声を上げる。
暑さで今にもスライムのようにとろけだしそうである。

「こんなの自然現象じゃないよね…またサタンがギャルにもってもて〜♪とかやってんのかなぁ…」

「ぐー…」

「アイス買ったっておみせから帰ってくる前に全部溶けちゃうよねぇ…」

「ぐーぐぐぐ…」

ただいま気温は40度を超えた。熱中症になっていないのは、さすがは見習いでも魔導師か。


「…はぁ。結局ボクが行かなきゃだめだよねぇ…どうせシェゾは遺跡にこもりっきりだろうし…」

「…ぐぐぐ。(行くしかないよ。)」


「…だよね。ボクが行くしかない…

       人類と、カレーと、ボクらの世界を守るため!


「というわけで、カーくん、ちょっとボクでかけてくるね。それじゃあ精精、

    灼熱地獄でがんばって♪
 


…冷却魔導をかけないのは、八つ当たりだろう。



と、少女は何も知らずに魔王の元へ行くこととなる。
これから起きること等、まったく知らず。







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アルルはおろか、ここにいる誰もが、気づかなかっただろう。

あの時魔王が残した、もう一つの言葉に…


「…シェゾ、ルルー、そして私たちの大切な仲間達よ…

  …祈っているぞ…………………ことを…」


魔王の記憶以外に その言葉を知る 術はなし。
アクア
2012年09月05日(水) 22時30分17秒 公開
■この作品の著作権はアクアさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
続きます。今のところちょっとサタアルっぽくなってしまっていますが、ラストはきちんと戻します。

話が急展開していますが、そのあたりはご了承ください…

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No.1  華車荵  評価:--点  ■2012-09-06 01:19  ID:TdFIcPm.YzY
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 またもや投稿してくださってありがとうございます〜!
 うぉぉっ、なんかシリアスな雰囲気っ(ドキドキ)
 続き物ですか……。今の時点ではどういう展開になっていくのか検討がつきませんね(^^;)
 続き、楽しみにしてます〜♪
(感想&評価は最後まで読んでから改めて;;)
総レス数 1  合計 0点

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