アメフル。〜second story〜


「じゃあカーくん・・・バイバイ。」
ボクは親友の一人、カーくんをサタンに預けた。
サタンもカーくんも黙っている。
じっとボクを見つめている。
でもボクはもうわかってるから。
「いってきます!」
ワープの巻物を使ってサタンの城を出た。
夏の太陽がゆっくりと登ってくる。
彼もこの道を通ったのだろうか。
そんなことを考えながらボクは街道を歩く。
ボクの言う『彼』とは、そう。

シェゾ・ウィグィィ。
神を汚す華やかなるもの・・・

ずっと前彼は旅に出た。
ボクをおいて。何も言わずに。
正直腹が立った。そして同時に悲しくなった。

でも。

待ってるだなんてボクじゃないもの。
梅雨明けと同時に旅に出ることを決めた。
実は旅に出ることを誰にも言ってないんだ。
サタンと、カーくん以外。
だってきっと、これが最後の旅になるから―・・・。

正直カーくんや仲間がいない旅は、二度目。
最初にお母さんたちがいる家を出てカーくんに出会ったから。
そしてサタンやルルーに出会ってボクは成長してきたんだ。
この旅はボクの集大成と言っても良いと思う。

そんな思いをはせてボクは旅に出た。
彼を・・・いや、『キミ』を探しに。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「出ましたか?」
青い髪の少女が魔界の貴公子に声をかけた。
「ああ。」
サタンはそっけなく、しかし意味ありげに頷く。
「あの子が一人で旅に出るだなんて。」
―思ってもみませんでしたわ。
続く言葉はサタンに消された。
「アルルは感じてるんだ。」
「感じる、といいますと?」
少し間があってサタンが答えた。

「アルルは・・・この機会を逃せば一生シェゾに会えない。」

ルルーの表情が変わる。
「サタン様はなぜそれを・・・?」
「魔王のカン、とでも言おうか。」
サタンは続ける。
「普通のものには感じられないことをアルルは分かったんだ。」
ルルーはうつむき、黙った。

「まぁしかし運しだいだ。アルルがアイツに会えるかどうかは。」
ルルーは顔を上げ静かに言った。
「私たちではどうしようもできないんですの?」
「ああ。できることは無に近い。」
「じゃあ・・・」
「そうだ。アルルにまかせるしかない。」
ルルーは礼をして部屋を出た。

シェゾ・ウィグィィ―
かつては一緒に旅をした仲間だ。
アルルの力をつけ狙っていてもたとえ無理に奪おうとはしない。
卑怯なやり方はせず、アルルに戦いを申し込む。
ルルーにはそんな彼が悪人には見えなかった。
サタンからアルルのことを聞いたときも驚きはしたが・・・
「やっぱり」と思う自分がどこかにいた。
アルルはルルーが旅のことを知っているということを知らない。

それでも。

夏の太陽に二人の無事を願った。
二人が出会えるように。
少しでも力になれるように。
アルルの願いが彼に届くように。
ルルーは願った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

旅に出て一週間。
人に彼の行方を聞いて、ある町に滞在していることがわかった。
やっと君に会えるんだ。
歩くスピードも早くなる。
でもその町へは今ボクがいるところからは3日程かかる。
だからとりあえずもう一つ手前の町によることにした。

「ありがとねっ」
町の市場で買い物をして、宿で作ることにした。
メニューはもちろんカレー!!
カーくんもボクも大好きなメニューだ。
「おいしいのできるといね!」
肩にいる友達に話しかけた。
でも。
「あ、そっか・・・」
そうだよね。カーくんはサタンのところだっけ。
宿に戻ってカレーをつくった。
いつもはおいしいカレーがちょっぴり苦かった。
なんでだろう。
急にキミを思い出した。

夜。
全然眠れない。
どうしてかな。

急にカーくんを思い出したり、
シェゾを・・・思い出したり。

気がつくとボクは荷物をまとめて宿にお金をおいて飛び出していた。
今じゃなきゃダメな気がして。
「すみません、出ます!!」
「ふへ?あ、ああ、はい、どうぞ。」
ねぼけた門の警備員さんをおこして。
地図にかかれていないココロの道を通って。
キミに。会いに。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「シェゾ・・・?」
町と町の間の原っぱに君はいた。
夜風に吹かれた君はきれいだった。
月明かりだけがぼんやりと彼を照らして。
どうしてかわかんないけど、今じゃなきゃダメな気がしたんだ。
今じゃなきゃキミに会えない気がしたんだ。

今すぐにでも行きたかったけど。
本当にそうしていいのかな。
彼がなにか理由を持って旅に出たとしたら。
そうだったらボクは・・・

きゅっ

「え!?」
後ろから手が伸びてきてボクを抱きしめた。
「バレバレ。」
シェゾだった。
「え・・と・・・そのっ」
「どーしてここにいるんだ?」
そのままの体制でキミは問う。
「会いたかったから。」
素直な気持ちが届くように。
「シェゾだってどーして旅に出たんだよ。」
風が吹いてキミの銀髪がボクにあたる。
「・・・から」
なにか小さな声で君が答えた。
「え、なんていったの?」
風にかき消されるとかヒドイってば!

間があって。
キミは手をするりとはずした。
そして言った。
「好きだから。」

「じゃあ・・・なんでっ!?」
好きなら・・・一緒にいて欲しいのにっ!
「俺がお前を潰しそうだったから・・・」
どういうこと・・・?
「所詮俺は闇でお前は光で・・・」
「結ばれることのない運命だと思ったから―」
「別にいいもん!!」
シェゾが言いかけた言葉を遮るようにボクは言った。
「ボクは『シェゾ』がすきなんだもん」
うまく言えないけどボクは・・・・

「ボクはキミ自身が好きだから。闇とか光とか関係ない。」
シェゾが驚きの表情を見せる。
「一緒に帰ろうよ。」


朝日が登り始めた。
街道を歩く二人。
その笑顔は眩しく、誰よりも輝いていた。

まるで虹のようにみんなに色をもたらす少女が、
青空のキャンバスに色を付けた。
青空と虹はみんなを笑顔にさせた。

それが、二人。


〜END〜

桜流
2012年04月05日(木) 12時08分04秒 公開
■この作品の著作権は桜流さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
えーと、再会話を書き終わりました。
結局この二人は一緒にいないといけない存在なんですね。まぁ私の中での話ですがV
ためこんでいたアイディアをすべて出し切りました。これが私のシェアルです。
アルルと同じように集大成のつもりです。
なんか文句あるk(強制終了
なにはともあれ読んでくださってありがとうございました。
m(__)m

この作品の感想をお寄せください。
No.4  舞風  評価:50点  ■2013-11-02 16:25  ID:BQAkycmOfIM
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シェアルううぅ!(´∀`) ごちそうさま!
No.3  華車 荵  評価:100点  ■2012-04-07 06:30  ID:tT/DYu5pSqA
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 続編キタ!! お疲れ様です(*^^*)
 一緒に居ないといけない存在、同意!! やっぱりこの二人は一緒に居ないと駄目だよね。アルルの葛藤にもシェゾの葛藤にもきゅんきゅんしますvシリアスでほんのり甘く、こういう雰囲気って嬉しい(^^)
 サタンもルルーもいい人だなぁ……。やっぱり仲間の存在って大切だよね。アルルとシェゾの関係を認めてるサタンさまはこのサイト内でも珍しい方だと思うので何か嬉しいかも(笑)こういう大人の貫禄見せてくれるサタンさまって大好きですvv
 サタンもルルーも、アルルとシェゾも幸せになればいいよ!!

 良いシェアルでした。ごちそうさまvv(^・^)
No.2  瑠菜  評価:--点  ■2012-04-06 10:42  ID:3Pj9WlKq1Zo
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アルルとシェゾ再会!
シェゾかっこいい… そしてサタン様優しい…

「シェアル最高!!」と改めて思いました☆
これからも応援してます!!!!! 
No.1  銀杏  評価:--点  ■2012-04-05 21:54  ID:rzqhgHzNizA
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再会だv
ルルーのアルルに対する想いに感動でした。ライバル視しながらも大事な友達なんですな…!!カーくんを預け、黙って受け取ったサタンに優しさを感じました…!いろいろ思うところあったんですね。
再会シーンのシェゾかっけぇぇぇ!!
ちょっとシリアス→甘ってゆうのも良かったです♪シェアルはやっぱいい♡
総レス数 4  合計 150

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