その真意は… |
「ふあぁぁぁぁ…もう、なんだって僕がこんなことしなきゃならないのさ!」 「うるせぇ。口より手を動かせ。手を。」 「う〜だってぇ…」 ボクは今、シェゾのお手伝い中で、本の整理をやらされてる。 ず〜っと同じようなことばっかりやらされてて飽きちゃった。 ラベルを見て、それに合った場所において…。 動き回って疲れるわ、シェゾは喋ってくれないわ、詰まんないよ! 「そういうなよ。もとはと言えばお前が宿題忘れすぎなのがいけないんだろーが。」 「う〜・・・」 ボクは、かれこれ一週間ほど宿題を忘れてて、それでさすがに起こった先生に、校長先生に報告されてしまったんだ。 そのことで、校長先生が、『それじゃぁ罰として、畑仕事だ!』とか言い出して、畑仕事をやらされそうになっていたんだけど。 「それともお前、校長の畑仕事のほうが良かったのか?」 「それはそうだけど〜…」 「畑仕事よりはこっちのほうが楽だろ?俺が言わなかったらお前、今頃こき使われてるぜ?」 そう、校長室で、それを言われてたときに、シェゾが仕事の報告に来て、『だったら今、本の整理が大変だから、こっちに回してくれ。』って。 そうしたら校長先生、『そうか。それじゃあ連れてってくれ。』ってすっごく軽〜く言われて…。 「だってシェゾ何にも喋ってくれないんだもん。詰まんないよ…。」 「あのなぁ…。普通仕事っつったら、黙ってやるもんだろうが!」 「だって校長先生は喋りながらやってくれるもん!」 校長先生の畑仕事のお手伝いも、何回もやったことあるけど、校長先生はいろいろしゃべりながらやってくれる。 そりゃ夏場とかはすっごく暑くてやんなっちゃうけどさ…。 でもおしゃべりは楽しいもん! 「俺とあいつを一緒にするなっ!」 「だってぇ〜」 「ったく。ほら、仕事だ仕事!」 「うぅ〜…。」 そっぽを向いて、また仕事に専念してしまうシェゾに、ボクは不満を隠しきれない。 でも…仕事してる時のシェゾの真面目な顔とか仕草とかって、かっこいいんだよね…。 「なんだよ?何か用か?」 「へ?いや…」 ボクは思わず、シェゾの顔を見つめてしまっていたみたいで、気付いたシェゾに問いかけられてしまった。 ごまかすために、一つ質問。 「…なんでぼくをここに呼んだのさ?」 「あ?…だから仕事が忙しかったからだっつーの。」 急がしかったって…。 でも、シェゾなら、一人でやったほうが仕事がはかどりそうだもん。 「君が仕事中の時に僕がここに来ると、邪魔だーっていうじゃないか。」 「それは手伝いも何もしないからだろうが。」 いつも僕を邪魔だ邪魔だーっていうくせに…。 「でもでも、僕が手伝うって言うと、邪魔なだけだって断るじゃない。」 「それは…」 「ねぇ、どうして?」 どうしていつもと違うことを言ったの? 「今日は特別急がしかったんだよ!」 「でもそういうときは、僕が来て話しかけても無視するでしょ?」 「だぁぁ!やかましい!黙って仕事をせんか!」 うわっ…なんか怒ってるぅ…。 でも、ここまで来て引くわけにはいかないっ! 仕事をしながら叫ぶシェゾに、こっちはシェゾを見て叫び返す。 「でもだって!」 「うるせぇ!助けてやったんだろうがっ!」 いつの間にか、けんかみたいになってる… でも、君がいつもと違うのが、気になるんだよっ! 「いつも邪魔だって言うんだからほっとけばよかったじゃないかっ!」 「だからっ!さっさと仕事しろっ!お前がうるさくて仕事出来ねぇよ!」 「じゃぁ僕もう帰るよ。」 「それはダメだろ!」 シェゾが驚くように目を見開いてこっちを見た。 「なんでさ!」 邪魔なら帰ったほうがいいじゃないか。 シェゾはこっちに詰め寄ってきて、上から、叱りつけるように怒鳴ってくる。 「一応宿題忘れの罰なんだ!ちゃんと仕事してからじゃねぇと帰さねぇ!」 「でも僕邪魔なんでしょっ!?」 邪魔になるくらいなら帰ったほうがいいじゃないかっ! 「邪魔じゃねぇよっ!」 「ほえ?だって今…」 邪魔じゃないって…どういう意味? 「うるせぇっ!お前と少しでも長くいたかっただけだっつーのっ!」 「へっ!?」 「あ゛…」 今…僕と一緒にいたいって言った…? 「な、何でもねぇ!ほらっ仕事だ仕事っ!」 シェゾは、そっぽを向いて向こうに行って、仕事を再開してしまった。 でも、ちらりと見えたシェゾの顔は、赤くなってた。 ボクは呆けたまま、動けずにシェゾを見てる。 「シェゾ…」 「・・・・・・」 呼びかけても、シェゾは返事をしてくれない。 「ボク…シェゾが好き…。」 思わず、つぶやいてしまった。 ボクはうつむいて、立ち尽くす。 ずっと隠してた気持ち。 この関係を、ぎこちないものにしたくなかったから。 でも、シェゾの一言で、気持ちがあふれてきてしまった。 バサバサっ と、本の落ちる音。 その音に驚いて顔を上げると、シェゾが本をとり落して、立ち尽くしていた。 こっちを見ていないから、表情は分からないけど。 「……シェゾ……?」 ボクが呼びかけると、シェゾはびくりと揺れ、ゆっくりとこっちを振り向いた。 シェゾの顔は、真っ赤で、ぽかんとしてて。 「アルル…お前…今…なんつった…?」 「……君が、好き…だよ?」 「……っ!」 シェゾの問いに、僕がうつむいてつぶやくように答えると、急にシェゾに抱きしめられた。 「っ…シェゾ…?」 「悪かったな…」 シェゾ、ボクの気持には答えてくれないの…? 「ねぇ、シェゾ…君は、ボクのこと…」 「……好きだ…。」 「…っ…う…うぁ…うぁぁっ」 ボクは、シェゾの言葉を聞いて、あきらめていた気持ちがかなって、すごくうれしくて、シェゾに抱きついて、泣き出してしまった。 「なっ!?お、おい!泣くな!泣くなって!」 「う…うぅ…あはは…うぅぅぅ〜…」 ボクは、シェゾが焦っているのが、どこか面白くて、思わず笑ってしまった。 でも、涙は止まらなくって。 「あ〜…ほら、泣くなよ。てか、泣くか笑うかどっちかにしろって。」 シェゾが、ボクの頭をポンポンとなででくれた。 ボクは、うれしくてうれしくて、でも、シェゾが一生懸命慰めてくれるから、何とか泣きやんだ。 ボクが泣きやんだのを確認して、シェゾが、ボクを離して、顔を覗き込んできた。 「あ〜あ、ひどい顔だな」 「う〜・・・なんなのさ!馬鹿シェゾ!」 「はは。…なぁ。この後、おれの家に来るか?」 「へ…?」 シェゾを読んだことはあったけど、全部断られてたのに、シェゾから呼ばれるなんて驚いて、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。 「あ…否…嫌ならいいんだが…。」 「え、あ、違うの!驚いただけで…」 嫌なわけないよ! すっごく嬉しいんだから! 「そうか…。」 少しほっとしたようなシェゾ。 見てると飽きない…かも。 「あ、ねぇ、どうして、今までボクが呼んでも断ったくせに、今呼んでくれたの?」 「…お前の家で、お前と二人きりにでもなったら、気持ちが抑えられそうになかったからな。呼ばれても、行くわけにはいかなかったんだ。」 「そっか…。」 ただ、ライバルだからってわけじゃなかったんだね。 そんなこと考えてたんだ…。 「で?どうするんだ?」 「へ?あ、うん!もちろんいくよ!」 行かない訳にはいかないもんね♪ 「そうか。じゃ、さっさと仕事終わらせるぞ。ほら。」 「うんっ!」 あの後は、すっごく楽しかったんだ。 焦るシェゾとか、照れるシェゾとか。 いろんなシェゾが見れて楽しかった♪ その後、なぜかボクとシェゾが付き合ってるって噂が広まって、たいへんなことになったんだけどね…。 |
HAL
2009年09月21日(月) 10時13分14秒 公開 ■この作品の著作権はHALさんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.2 もんぶらん 評価:--点 ■2011-12-17 10:04 ID:S1sAw2na0VY | |||||
私もシェアル大好きですー!! こ、告白ですね。シェゾの反応、かわいかったですw |
|||||
No.1 Aine 評価:99点 ■2009-12-13 16:39 ID:0Znh15Wyq4g | |||||
初めまして♪ 読みました☆ 私、こう言うの大好きです!! 頑張ってください!! |
|||||
総レス数 2 合計 99点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス(必須) Cookie |