湖 ラグウィ編


ぐい、とウィッチはももも酒を飲み干した。
彼女の視線の先には、満月とキラキラ輝く湖。そこは無人で、ウィッチは一人、ほとりで何故か酒を飲んでいた。
「・・・ん―・・・」
何故お酒を大人は“美味しい”などと言ったのだろう?自分には、苦いだけのシロモノだとしか思えない。
そんな事を思いながら、適当に空瓶を放り出す。
―コレで、何杯目だっただろう?
ふと、ウィッチはそんな事を思ってしまう。だが、こんな私はよくない、頭から今の考え抹消しなきゃ、と、また違う酒に手を出した。
そこで、ふと、

「―ごめんな―ウィッチ・・・オレには、無理だ―」

彼の、痛々しい言葉が脳裏によみがえる。
「・・・貴方が悪いのですのよ、私に謝るまで―ずっと―飲み続けますわよっ・・・!」
半ばヤケになりながら、また、飲み終わった空瓶を放り出し―
「こんな所にいたのか、ウィッチ」
刹那、ウィッチは明るい表情になりながら、声のした方―後ろへと振り返る。
そこに居たのは金色の鎧を着た勇者―ラグナスだった。何故か手にはふふふ酒。
「・・・・・・・・・。何か?お店は閉めましたわよ」
予想と違った人に、ウィッチは肩を落としながら、呟くように、また酒を飲む。
「優しい君に会いに来たんだよ、勿論」
「・・・・・・ラグナスさん、酔っていますわね?」
「ま、ま。オレもやけざけっていうの?に付き合うからさ」
言いながら、ちゃっかりウィッチの隣に腰掛けるラグナス。
「やけざけ―ですか。ソレって、やけのみですわよね?」
「そ。君と同じ考え〜一緒、仲間だよ〜?」
「なっ!貴方ごときと一緒にしないでくださる?」
「“ごとき”は失礼だよ、ウィッチ、社交辞令を知りなさい。めっ」
「・・・私には、貴方の方が社交辞令をしった方がいいと思うのですけど・・・!」
「オレがこんな事してる理由、知りたい?知りたい?」
「フン。興味無いですわね」
からん、とラグナスはウィッチの空瓶の群れに自分の空瓶を放り投げる。
そして、勇者はうつむき、

「オレさ―ふられちゃった―」

静まり返る、湖。
見習い魔女は、彼の、見た事も無い切ない顔に緊張した。
「・・・あ―・・・」
何か言わなければ、彼はこのまま傷ついてしまう。だが、声を出そうとするが、声が出ない。言葉が出ない。
「・・・大丈夫、ですわよ」
絞り出した声が、コレだった。
「大丈夫。明日になれば、何とかなってる物ですわよ。それに、私も今日―ふられたんですの。だから仲間、ですよ―大丈夫。きっと、明日になれば―」
次は、はっきりと声に出す。
―とにかく、彼を安心させなければ。
ソレだけがウィッチの頭にあった。自分の独白とか、関係ない。
ふ。何処かで、そんな声を聞いた。声のした方を見ると、笑っているラグナスの姿があった。
「ははっ・・・あははははっ!ウィッチ・・・アリガト。元気出た」
そこにあったのは、いつもの笑顔。
ほっ、と自分まで安心してしまった。
「・・・でさ、ここからが本題」
笑顔のまま、ラグナスはウィッチを正面から見、
つられてウィッチも笑顔になってラグナスを見、

「「あのっ」」

「「失恋した同士、一緒に」」
おりじなる
2009年05月24日(日) 21時15分00秒 公開
■この作品の著作権はおりじなるさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
二回目投稿のおりじなるです。
えーと、少し説明不足でしたので、ココで説明させていただきますね。
まず、ウィッチはシェゾに告白したが駄目。
違うところではラグナスがアルルに。やっぱ駄目。
そして、その夜ウィッチはやけのみをして―本文へと入ります。
コレが私の頭ン中。すいませんどうしようもありません。
それでは。
もう少し、私の空想にお付き合い願えたらと思います。

この作品の感想をお寄せください。
感想記事の投稿は現在ありません。

お名前(必須)
E-Mail(任意)
メッセージ
評価(必須)       削除用パス(必須)    Cookie 



<<戻る
感想管理PASSWORD
作品編集PASSWORD   編集 削除