嫉妬心 |
出会いは最悪 でも月日が経つにつれて、兄弟のいないボクにとってまるで本当のお兄ちゃんのような、大切な友達。 ・・・のはずだった ー嫉妬心ー 「おい」 「・・・なに?」 後ろから声をかけられたが、ボクはお構いなしに周りに生い茂る草をかきわけ、先へ先へとずんずん歩く。 ボクは今、猛烈にイライラしていた。 「何怒ってんだよ?」 「べっつにぃ〜〜怒ってないよ?」 わざとらしく声を上げて答えるボク ああ・・・相変わらずボクって可愛くない。 とたんに後ろから深いため息とともに 「・・・めんどくせぇ」 と一言。 カッチーン 「ちょっと!!面倒くさいってなんだよ!」 思わず振り返ると、そこには銀髪のすらりとした長身の男、シェゾが眉間に皺を寄せて、すっごく嫌そうな顔をして立っている。 「大体!なんでさっきから付いて来るのさ??なんか用?」 するとシェゾはあっさりきびすを返し、もと来た道へ戻ろうとする。 「あ・・・」 やだ、行かないで 思わずマントをぐいっと引っ張ると、「おわぁっ」と後ろに仰け反るシェゾ。 「〜〜今度はなんだっ!!」 「だ、だって・・・」 「大体お前は何をそんな怒ってんだよ?俺がなんかしたか?ええ?」 「だって!!」 シェゾがいけないんだ。 シェゾがセリリと楽しそうに話しているのがいけないんだ。 シェゾがあんな照れたみたいな顔するのがいけないんだ。 「おい。」 するといきなり、シェゾはボクのほっぺたをむんずと掴む。 「うわっいはいよいはい!しぇぞっへば!(うわっいたいよいたい!シェゾってば!)」 「だってなんだよ、だってってよぉ?」 シェゾの顔には青筋が・・・お、怒ってる・・・ 「オレはなぁ、これからダンジョンにも行かなくちゃぁいけないってのに、お前は勝手に不機嫌になって暴走するしよぉ。しかもオレが貸した魔導書も持っていきやがって・・・」 「ご、ごめんなはい」 「お子ちゃまに付き合ってらんねぇんだよ、さっさと次のダンジョン行ぞ!」 「はい・・・」 なんだよなんだよ、シェゾがいけないのにさ、ボクの気持ちも知らないで。 何で何だってボクは、こんな意地悪で冷たくって鈍感な人なんか好きになったんだろ・・・。 思わずため息がもれる。 ああ、でも確かにボクもいけない。思わずセリリと話してるシェゾを見たらイライラしてファイヤーかましちゃったし。。 早く次のダンジョンに行かなきゃ。。。 ・・・って 「あのー・・・」 「なんだ?」 「そろそろほっぺた離してくんない?」 「・・・いやだ」 「ちょっ・・・」 やばい。 シェゾの深い深い青い瞳はボクを映している。 たちまちボクのほっぺたは熱を増した。 それでもシェゾはボクのほっぺたをつかんだまま凝視。泣きそうになる。 もぉ・・・なんなんだよぉ 「ぶっ・・・」 「なっ・・・」 絶えられないといった感じで、吹き出すシェゾ。 「くっ・・・お前顔・・・ぶっさいく」 「〜〜〜」 必死にこらえているが、シェゾは肩を震わせ顔を歪ませている。 し、失礼な・・・人の顔を見て笑うなんて・・・ ボクの顔はもぅユデダコみたいに熱くなり、その場から動くことが出来ない。 ひとしきり笑った後、シェゾはボクを見てふっと笑い、 「お前は見てて飽きないな」 その顔はボクが今まで見たこと無い、というか笑ったとこなんてはじめてみた。 いつもの意地悪そうな顔ではなく、少年のようなあどけない表情。 ・・・こんな顔もするんだ。 どうかお願い。 他の誰かの前で、そんな顔しないでね。 お願いだから、ボクだけのものであって。 「お返し」 「いってぇぇぇ」 ボクはその後、お返しとしてシェゾのほっぺを思いっきりつねってやった。 |
noa
2009年05月06日(水) 20時48分54秒 公開 ■この作品の著作権はnoaさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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