調子はずれのボク
「ええっ!?あ、あのシェゾが風邪ひいたあ!?」

「うるさい!あんた、相変わらず子供のキンキン声ね!」

ボクは受話器を持ったままむくれる。電話相手はルルー。

ボク、アルル・ナジャは魔導学校を卒業して今は修行中。

なんだけど・・・。

「ななな、なんでなのお〜?」

「私が知る訳ないでしょ!?本人に聞きなさい、本人に!」

「分かったからそんなに怒鳴らないでよ!」

ルルーが思いきり怒鳴るから耳に響く。ボクの耳は繊細なんだぞ!

にしても、珍しいなあ・・・。シェゾが風邪をひくなんて。

シェゾ・ウィグィィはボクの魔導力を狙ってる闇の魔導師。

そのシェゾが風邪をひくなんてドジするとは思えない。

「あんた、看病してやんなさい。」

「ええっ!?な、なんでボクが!?」

「私はサタン様とデートなのよ。ウィッチもラグナスとデートだそうよ?」

「そ、そんなあ・・・。」

理不尽だよ、そんなの!ルルーは有無を言わさず電話を切ってしまった。

仕方なくボクはカーくんとシェゾの家に行く事にした。

***

「そーいえば、シェゾの家ってボク初めてかも・・・。」

「ぐっぐー!」 「カーくんもそう思う?」

ボクはシェゾの家の前に買い物袋を持って立っていた。

袋の中身はお粥の材料とリンゴ。ボク、これ位しか作れないけど

風邪の時の定番だよね!ボクはチャイムを鳴らす事にした。

ピンポーン、ピンポーン。

チャイムが鳴って数秒後だった。

「はい・・・。どなたですか?」

「あっ、シェゾ!ボクだよ、アルル!」

「・・・? 何しにきた・・・?」

「何って看病に来たに決まってるだろ?とりあえず入れて。」

「開いてるから勝手に入れ。」

ドアノブに手をかけるとすんなりとドアが開く。

シ、シェゾって結構無用心なのかも・・・。

中に入ると最初に少し開きぎみのドアが目についた。

もうっ!シェゾったらとことん無用心だなあ。

部屋の中に入ると明らかに普段着のシェゾがいた。

黒のシャツにジーンズのシェゾはなんだか別人に見えた。

「キミって無用心だね・・・。」

「お前には言われたくない。」

「なんだよっ!折角看病に来たのにぃ!」

ボクの様子を見て、シェゾがクスッ、と笑う。

ううっ、悔しい・・・。

「・・・そーいえば、なんで風邪ひいたの?」

「うっ・・・!・・・・・・わ、笑うなよ?」

「笑わないよ。ねえ、言って言って!」

「じ、実は・・・敵と戦ってる途中で雨が降ってきたんだ。
 その中で戦いを続けてたらこのザマって訳だ。」

「・・・ねえ、シェゾ。」 「なんだ?」

「実はドジだったりしない?」 「・・・うるさい。」

シェゾのもともと赤らんでいた顔がさらに赤らんだ。

ちょっと調子狂うなあ・・・。

「熱、何度?」 「38℃ぴったり。」

「ええっ!?寝てなきゃだめだよお!」

「普通にしゃべってくれ・・・。頭に響く・・・。」

「あ・・・ご、ごめん。」

ここまで弱ったシェゾははじめて見た気がするなあ。

調子狂っちゃうよ・・・。シェゾがこんなだと。

「食欲ある?」 「ちょっとは・・・。」

「じゃあ、リンゴ剥くね!」 「出来るのか・・・?」

「ボ、ボクだってそれ位のことは出来るもん!」

ボクはむくれながらリンゴを剥きはじめる。

後で後悔することになるのだけど・・・。

***
数分後・・・

「・・・ぜ、全然出来ない・・・。」

「・・・・・・ったく、貸してみろ。」

シェゾがボクの手からリンゴと果物ナイフをとると、

ボクが見てる側でものの見事に全部剥いてしまった。

悔しいよお!またバカにされちゃう・・・!

「練習した方がいいぞ。お前も女だろ?」

「・・・えっ、あの・・・う、うん。」

「どーした?」 「ううん。なんでもない。」

う、嘘みたい・・・。あのシェゾがボクをバカにしないなんて!

ち、調子狂いまくりだよ・・・。

でも・・・たまにはいいよね?

おわり
iori
2008年02月19日(火) 19時27分39秒 公開
■この作品の著作権はioriさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
・・・はじめましてioriです。
こんな駄文しか書けないですが
ちょくちょく書いていこうと
思いますので
よろしくお願いします。

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