Sweet Hot Milk
「ディーシェ・・・本当に行っちゃうの?」



淋しそうにディーアはディーシェを見つめた。


今日はディーシェがダンションに旅立つ日・・・。


ディーアも付いて行きたかったが、「Lvが足りない」とディーシェに言われ
しかたなく留守番をする事になったのだ。



「平気だ、俺のLvと魔力があれば明日の明け方には帰る。」



そう、さらりと笑った。


でも、ディーアは笑おうとはせず、少し俯いてしまった。


潤んだ瞳から大粒の涙が零れそうで、ディーシェは怖かった。


ディーアに泣かれたら行くにも行けなくなってしまう。



「ねぇ・・・早く、帰ってきてよ。」


「あぁ。」


「約束破ったら、ギタギタになるまで魔導の嵐だからね。」


「そいつは怖いな。」



と、ディーシェは少し苦笑いをしてディーアに背を向けた。



「いってくる。」



と言い残して。



+     +     +     +     +     +



その日の夜中・・・。


ディーアは寝つけておらず、暗い部屋で、小さな椅子に座り、


コップに注がれた甘いホットミルクをちびちびと飲んでいた。



「・・・。」



どんなに温かくても、ディーシェの温もりには敵わない。



どんなに甘くても、ディーシェの口付けには霞んでしまう。



「ディーシェ・・・。」



ミルクに雫が落ちて溶けた。










ー早く帰ってきてよ。−










ー明け方には帰るって・・・−











気がつけば、もう外は明け方の淡い水色が広がっていた。


ディーシェはまだ帰らない。


こんなにも待っているのに・・・。



「ディ・・・シェ・・・。」



小さな届くはずのない叫び。


だが、それを聞いた者がいた。



ガタガタガタ・・・。



やや強い風に窓が揺れる。


家の近くに小さな竜巻が起きていた。



「!!まさか・・・。」



ディーアは家を飛び出し、竜巻に駆け寄った。




だんだんと竜巻は消えていく・・・。




中から人影が現れる・・・。




その光景をディーアは瞬きもせず、ただ心臓が速くなるのを感じとった。


そして、その影は口を開いた。







































「ただいま。」










































と・・・。







+Fin+

+フィム+
2008年01月13日(日) 10時32分28秒 公開
■この作品の著作権は+フィム+さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ビター風味のお話、いかかでしたか?
最後はほんわか、優しく終わらせてみました
恋人の帰りを待つDアルル・・・。
可愛いと自分は思います。
そんな優しいドッペルカップルは大好きです
では・・・。

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