卯月の午後
ひどくぼんやりとした明るい光の中で僕は目を覚ました。

春というには強い、けれど仄かな優しさを孕んだ日差しは薄いレースのカーテンを緩やかに突き抜けて瞼に注ぐ。僕にはそれが眩しくて顔をしかめた。
あまりに力強い光だったものだから睡魔すらどこかに行ってしまった。欠伸を1つして羽を伸ばすと、のろのろと起き上がる。僕はいつから眠りこけていたんだろう。ええと、確か、そうだ、確か読書をしていた気がする。
日除けにしていた筈の革表紙の本は何時の間にか傍らのガラスのテーブルの上にきちんと置かれていた。無造作に放り投げたとか、すべり落ちてそこにたどり着いたとか、そういうのではなくて人為的に誰かがそうした形で。
ふ、と誰かがいるような気がして振り向くと、水晶色の青い青い波が視界の中に飛び込んできた。艶のある波はさらさらと音を立てるように横に流れて、波の向こう側に綺麗な宝石―例えるならサファイアのような双眸がゆうるりと僕を映しこんだ。
水晶の人は僕の存在を確かめると、豪華な金の装飾の施された重い椅子から腰を上げて革張りの長椅子へと近寄ってきた。歩くたびに起こりえない風がその人の周りを取り囲んでいる気がした。
やがて、僕の座る隣にその人は同じように腰掛ける。

「ごめんなさいね、起こしてしまった?」

妖精の囁き声に似た、けれど何処までも透き通る涼やかな声が耳から体の隅々まで響き渡る。白い手が僕の硬い二つの角のある頭をそっと撫でた。

「いいえ、そんなことないです」

そう答えると、そう、とその人は笑って見せた。春の日差しに似た柔らかい、けれど生命の息吹すら感じさせるような力強い光の様な。

「ははうえ」

なあに、と答えるその人は僕の大好きなひと。
io
2007年05月05日(土) 23時52分30秒 公開
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■作者からのメッセージ
もうなんかアレですね。マザコ(ry
なんというか、言葉不足な上に色々と申し訳ない部分が多いのですがそこは見逃してやって下さいorz
とにかくルルーさんの美人さを際立たせたかったんです。アルルではできないような表現で(笑
サタルル難しいです。ぴぎゃー。

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No.1  華車 荵  評価:100点  ■2007-05-07 15:36:32  ID:BH4G.dZ0sJM
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Σ(゚Д゚)ルルーさんとその息子さんですかっ!?
ほのぼのしてて凄い素敵です(*^^*)ルルーさんがとても美しく描かれてて……wそしてやっぱり母としての尊厳でしょうか、凄く大人っぽいです><
やっぱりルルーさんは子供の目からしても魅力的で尊敬に値する女性なんですねw
大地聖母神。そんなイメージがふっと浮かび上がりました。
詩的でほのぼのなSSありがとうございました。
是非とも親子三人の姿を……っ!(殴)
総レス数 1  合計 100

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