キミさえいれば、それでいい |
全てが僕を咎めても 君さえ傍にいればいい 何も叶わなくていい どうかこの手を放さないで どうして運命というものがあるのだろう。 どうしてボク達は運命に縛られているのだろう。 どうして好きなことをしたり一緒にいることが出来ないのだろう。 どうして皆はそれを嫌ってしまうのだろう。 ただ、傍にいたいだけなのに。何故それを許してはくれないの? 最近、街を歩くたびに冷たい視線を浴びてしまう。 その理由は知ってはいたけれど、とてもいい気分ではない。 サタンは言う。 『もうすぐ戦いが始まる…』 と。 ルルーは言う。 『何故あいつでなきゃいけないの?他に、もっと――――』 ……聞きたくない。そんなこと。 わかっているつもりだった。ずっと一緒にいることが出来なくなるって。 でも、だったらどうして?どうして出会って2年。ボク達が好き合うようになってから、そんなことを言うの? 戦い?何それ。ボクが世界を救う存在だから?アノ人が世界を闇に陥れる存在だから? そんなの、意思じゃないのに。ずっと一緒にいたいのに、周りからあっけなく反対される。 【世界を救うのが、アルル・ナジャの役目】 【世界を混沌に変えるのが、シェゾ・ウィグィィの使命】 どうして、どうして、どうしてどうして―――――!! いくら人に問うても、自問しても。答えが出ることはなかった。 あるのはただ、それが運命なんだからしょうがないということだけ。 因果によって、定められているだけ。 ボク達に何も関係なくても、理由はそれで人には十分だった。 戦え――― 人はそれを心から願い、期待を込めている。 2年前はそうでもなかった。運命、というのがあったけれど、笑顔が絶えなくて、2人で歩いていても街の人は楽しそうに話しかけてくれたり。今この状況なんて、前は考えもつかないほど幸せに満ち溢れていた。 でも今はもう。笑うことがなくなり、人は絶望化してる。もうすぐ戦いが始まるなんてこと聞かされてはいないのに。自然と皆は『大きな戦い』が起こると何かを察知してた。それは間違いではない。ボクにだってわかる。 でも、認めたくなかった。今、ここにある幸せが失ってしまうことが怖かった。 だから………。だからボクは……。 「……ねぇ、シェゾ」 「何だ?」 「ボクね、この街が大好きだった。…今も、なんだけど。でも、すごく息苦しい」 「……あぁ……」 「戦いは、ボク達が起こすようなものだよね。だったら、2人で…どこかに………」 行こう? 全て話さなくても彼は察してくれた。 「あぁ…」 もう何も言わない。顔を見合わせ、少しだけ微笑んで。そして後ろを振り返った。 2年間、過ごしてきた街。ありがとうございました、って軽くお辞儀して。 また帰ってくるかはわからないけど。でも、しばらくは2人で姿を晦ましてお互いを見張りながらでも生きていこう。 そう決心し、それを誓うために、確かめ合うために。ボクは彼の手を握った。 決してキミの手を離さない。 だからどうか、この手を放さないで……… |
asuka
2006年04月04日(火) 13時57分51秒 公開 ■この作品の著作権はasukaさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.1 ゴンタ 評価:100点 ■2007-02-24 22:10:22 ID:SOTcV0CkOMo | |||||
運命に逆らう2人…。待っているのは何なんでしょうね…。 面白かったです! |
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総レス数 1 合計 100点 |
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