こんなにも青い空の下で・・・
「よくきたな、俺。」


Dシェゾが眼を覚ますと、周りは花畑が広がっていた。空は青い。
髪をなでる風が心地よい。
目の前には、Dシェゾの人格のひとつ。あの黒髪の赤マントがいた。


そいつは、例のごとくあのいやらしい笑みを口元に浮かべ、こういってきた。


「いまさら時空の崩壊を防いだところで、なんになる?どうせまた滅びるだけだ。」
「・・・・・・」

「確かにいまお前が犠牲になれば、世界は滅びを免れるかも知れない。しかしそんなものは一時に過ぎない。そうなればお前の犠牲など全くの無駄だ。
新天地とて完全に輪廻から逃れている世界ではない。
完全な世界など存在しないのだよ。」


Dシェゾは、自分の片割れの話をじっと聞いていた。
Dシェゾは、なにかを決心したように、片割れに向かい告げた。


「なら・・・・世界を完全な形にすればいいだけのことだ。
俺は・・・・創造主を殺す。」


Dシェゾがそういうと、片割れはおかしそうに笑った。


「お前が・・・・殺す??正気か!?クールにも勝てなかった男が・・・創造主を殺すと?
ハッハハハハハハハ!!笑いが止まらんよ。」
「そうだ。俺一人では無理だ。だから、融合する。俺はお前と、この世界と。」


そこまでいうと、片割れは、笑いを止め、Dシェゾを睨み付けた。
あたりの景色が変わる。

「そうか・・・・なら仕方がない。俺だってこの世界を守りたい。俺はお前だ。
そして、お前は俺だ。しかし、俺は俺でいたい。お前にはなりたくない。」
「・・・・・」

「時空の水晶の人格は、お前を元に、作られた。俺は、お前になにか起こったときの安全装置だ。
しかし、俺たちが完全になるということは、お前がベースになる。俺の人格は消えてしまう。」

「・・・・なぜそんなことがわかる。」
「クールを喰ったとき、あいつの血の記憶から知った。
俺は、いわば吸血鬼だ。」


片割れは、景色を見回し、空に両手をひろげ、さらに言う。


「あいつは、俺たちを分けて作った。
ひとつは、人間。お前だ。
お前は、ドッペルゲンガーの能力を持っている。
相手の姿かたちを自分のものにする能力だ。
影となり、社会に入り込み、世界を終結させる鍵だ。」


Dシェゾはサタンの言っていた言葉を思い出した。
(お前は、世界をリンクさせれることのできる鍵だと言っていたな。)

「そしてもう一人、俺・・・ノスフェラトゥだ。
俺の能力は戦闘。
世界の破滅を防ごうとする輩を殺す役目だ。
しかし、俺たちは、自我を持った。
お前の中で、俺も世界の美しさや生き物のすばらしさ、そして愚かさを学んだ。」

クールの奴は、それに気づいたんだろうな。もう世界を変えられないとあきらめて、俺に喰われたんだろう。哀れな奴だ。」


Dシェゾは、クールの最後を思い出した。
(奴は殺してくれといっていた。俺たちに力を使わせ、自分の犠牲で世界を崩壊させようとしていたのか?)

「そして最後の人格は・・・・・此処だ。」
「・・・・?」
「3つ目の人格は、出来上がっていない。3つ目は、お前の周りの生き物達の思いで、善にも悪にもなる。
クールは俺たち2人しか作らなかったが、ずっと長い間眠っていたので、突然変異か、または何者かの陰謀かなにかで出来上がってしまったんだろう。」

「・・・・・。」


「さて、おしゃべりもこれまでだ。」


突風があたりをなぎ払う。
景色が変わる。

空は青いままだ。
大地は、花が飛び、草原となった。
しかし、空気だけは変わった。

重たい負の感情。
絶望の空気。


片割れ・・・ノスフェラトゥは、漆黒の大剣を構えた。

「さあ、Dシェゾよ。どっちが本当の俺にふさわしいか・・・・
勝負!!!」

Dシェゾは、同じく漆黒の大剣を構え、うなずいた。

「俺が俺になる。それはどちらかの俺が消える。だが俺は消えない。お前も、俺の中で生きるんだ!」


2人は同時に大地を蹴り、飛び掛った。


ガキィン!

両者は鍔迫り合いの形となったが、すぐに後ろへ飛びのく。
そして、先にDシェゾが、ノスフェラトゥに飛び掛る。

Dシェゾは、下から上に向かって袈裟斬りをかける。
ノスフェラトゥは、剣を弾き、がら空きになったDシェゾのわき腹に突きを食らわそうとしたが、Dシェゾは、紙一重、体をひねり、かわした。
さらにDシェゾは、ひねりの反動を利用し、回転斬りをかけるが、ノスフェラトゥは、バック宙で、かわす。

両者は、まさに一足一刀の間合いで睨み合った。


そして、また2人は同時に斬りかかる。
今度は、Dシェゾは、高くジャンプし、剣を一気に振り下ろす。
ノスフェラトゥは、下から上に向かって剣を振り、そのまま跳躍する。


ドガァ!

やはり、2人は、致命的な攻撃は当たらない。
しかし、ノスフェラトゥは、打ち合った剣の勢いを利用し、Dシェゾの横へ移動した。
そして、鋭い斬撃を繰り出す。

しかし、Dシェゾは地面に衝撃系魔法を打ち出し、爆風で自分の体を空高くへ舞い躍らせた。

ゴォゥ!


だが、ノスフェラトゥの体は、斜め上に打ち出され、バランスを崩し、地面に叩きつけられた。

ドシャア!

「―ガハッ!」


絶好のチャンスだ。
Dシェゾは、空中からそのまま剣を振り下ろした。

「もらったァ!」


ズドォン!!!
リュウ
2005年02月06日(日) 15時57分18秒 公開
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No.1  聖  評価:100点  ■2005-02-06 17:35:38  ID:MZ/tUjlcirs
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わ〜・・・すごい・・・。
毎回見てたのにコメント返せなくてごめんなさい・・・。
ホントにスゴイよ・・・。
あたしには書けないもん・・・。
期待してます!
総レス数 1  合計 100

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