「くっそー・・・」
ガシャン!
「サタンさまを殺したお前らの罪!軽くなるとは思うなよ!!!」
「だから殺してねーって!!!」
ガシャガシャガシャ!!!
シェゾ・ラグナス・Dシェゾの3人は、6畳ほどの広さの牢屋に閉じ込められた。
サタンを殺したと言う容疑をかけられ、有無を言わせぬまま閉じ込められたのだった。
シェゾは納得がいかんという感じで、鉄格子をガチャガチャさせている。
ラグナスは、冷たい床に座って、頭を抱えている。
Dシェゾは、何がなんだかと言う感じで、部屋の隅で三角座りでとどまっている。
「―だ〜〜!なんで俺らが閉じ込められなきゃならねえんだ!!」
「・・・大声出すなよ。傷に響く。」
シェゾが悪態をつくと、ラグナスが静かに言い聞かせる。
Dシェゾが、2人の間にはいって口を開く。
「・・・・なあ、お前らいつクールを倒したんだ?で、何で閉じ込められてんだ?」
ラグナスとシェゾは、顔を見合わせDシェゾを見た。
ラグナスが、Dシェゾに告げる。
「・・・・何も覚えてないのか?あいつは、お前が殺したんだぞ?」
Dシェゾが今度は驚いた。
「・・・・俺が?」
「ああ・・・しかも変身してな。」
Dシェゾのつぶやきに、シェゾが答える。
Dシェゾは、何を言っているのかわからないという感じで、2人を見た。
「・・・・・俺が覚えているのは、やつに頭をつかまれ、持ち上げられたとこまでだが・・・・そういや、なにかが見えたな。あの時。」
「・・・・・見えた?なにが。」
ラグナスが聞く。
Dシェゾがラグナスを見、続ける。
「長い黒髪で・・・黒いマント・・・・・・いや、コートのような・・・・
それで、表情がな、いやらしくゆがんだ眼。小馬鹿にするように端のとがった唇。狂気の笑い・・・・」
シェゾとラグナスは、絶句した。 『あの男』は、確かにいたのだ。Dシェゾの 意識の中に。
いや、
時空の水晶の中に。
と、そのとき。
ガチャン!
鉄格子の錠がはずされた。 一人のマモノが告げる。
「出ろ・・・。サタンさまのお呼びだ。」 「・・・?」
3人は、いぶかしげな表情で、牢屋を出た。
3人は、玉座の間まで、来た。 玉座にはサタンが座っていた。 再生したのだろう。
サタンは、3人に向かい告げた。
「・・・・お前達が・・・・いや、Dシェゾの中にいる男が、奴を倒してくれたのだな?そしてお前達は、ワタシに話を聞きに来たのだな。 新天地のこと。時空の水晶のこと。」 「・・・・すっかりお見通しかい。そのことで、話があるんだが。 あんたは何か知ってるんだろ。」
シェゾが、問いかける。 サタンは―一瞬どこか寂しげな表情を見せたが―3人の顔を見、口を開いた。
「まずは、新天地から話そうか。 ・・・新天地。そこは、争いも希望も絶望も喜びも大地も空も海も自然もない世界。 まったくの「無」の世界だ。 クールは、魔界と現界に絶望し、新天地を新たな世界にしようとしたんだろうな。 ・・・しかし、クールとの戦いでも見ただろうが、『あの男』が出した化物。 あれは、新天地の住人なのだ。」
「ちょっとまて!」
ラグナスが、話を止めさせる。 そして、浮かんだ疑問をそのまま答える。
「あんたは今、『新天地は無の世界』といったよな。だったら何で住人がいるんだ?空も大地もないのになぜ生物がいる。」
サタンは、こたえない。
「・・・・・その疑問はすぐに解消される。とりあえず話を聞け。 ・・・・・その世界は、紙のような所なのだ。 何かを作りたいと思えば、思ったものが生まれる。 たとえばお前が、人間を作ろうと思う。そうしたら人間ができる。 ・・・・たとえ、新天地に行かなくても、この世界で考えるものは、全て新天地に反映するんだ。そう、紛れもなく白紙の世界なんだ。」
「・・・・・・」
「なぜ、この世界での考えが新天地に影響するか。それは・・・ 新天地とこの世界の時空は、表裏のコインそのものだ。 つまりどういうことか。 それは・・・・時空の水晶。ドッペルゲンガーの出現。異世界からの来訪者。魔界の住人。それら全てが、 この世界の時空間を不安定にさせているんだ。」
「・・・・・・!」
Dシェゾとラグナスが反応する。 それはつまり、 Dシェゾとラグナスの存在が、この世界の秩序を乱しているということになるのだ。
「モチロンワタシのこの世界での存在も原因のひとつだ・・・・」
玉座の間に、おもいおもい沈黙が訪れた。
続く。
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