どんでん返し。

『Dシェゾだったもの』は、クールのちぎれた足を適当に放りのた打ち回るクールの頭を踏みつけた。

ドガァ!

「グッ!!」
「どうした?まだ足が千切れただけじゃないか。」
「―!?」


『Dシェゾだったもの』が表情をいやらしく歪め、そう言い放った。

それを聞いたラグとシェゾ、そしてクールは、驚いたように『Dシェゾだったもの』を見た。
そんな3人を尻目に『Dシェゾだったもの』はさらに告げた。

「足を再生したちあがれ。魔界の住人を召還しろ。剣を拾って切りかかってこい。
さあ、どうした?お楽しみはこれからだ。たのしいカーニバルはこれからだ。さあ、早くたて!早く早く早く早く早く早く早く早く・・・!」
「―、化け物・・・・め!」


ラグがそうつぶやくと、『Dシェゾだったもの』は、ラグのほうを向き困惑した表情を見せた。


「化け物だと?俺がか?・・・お前は俺のことを化け物と言ったのか?」
「ああ・・・・お前は化け物だ。ディアボロだ。」


ラグが、回復した体を起こし、剣を持って立ち上がりながらそう言った。
すると『Dシェゾだったもの』はおかしくてたまらないといった感じに笑った。



「何がおかしい!」
「いやいや・・・・お前も同じじゃないか。勇者サマ。民を守るために戦い、傷つき、民から敬愛される存在。平和を守る存在。それが勇者様だろ?」
「だから・・・・なんだ?何が言いたい。」



ククク―
「そう、敬愛されるよな。平和を守ったそのときだけ!―考えても見ろ。お前は力を持っている。人とは違う力を。
魔物は人より強い。恐ろしい存在だ。だが、お前は魔物を倒す力を持っている。その力を持つお前は、人々の希望の象徴といわれる反面、『いつその力が人間にも向けられるのではないか?』と恐れられているのさ。
『ああ勇者様、我らを守ってくださりありがとうございます。』という考えが『勇者?そんなの魔物と一緒だ。やつは魔物よりも強いんだぞ!その力が人間に向けられてみろ!殺されるぞ!!』となるわけだ。大変だなぁ、勇者様は。ククク・・・ひゃーははっはははは、あははははははは!!!!」




ラグは、恐怖した。今目の前に立っているのは「Dシェゾ」ではない。アクマだ。
ラグは、今この場で『Dシェゾだったもの』を殺しておかないと、いずれこの世界は破滅するだろうと思った。
ラグは剣を『Dシェゾだったもの』に向けた。


「おやおや、勇者サマ。俺を殺すのか?俺に剣を向けるのか?」
「ああ・・・お前はもうDシェゾじゃあない。アクマだ。今この場でお前を殺さないと、いずれこの世界は壊れる。」
「殺せるか?もとは仲間だろ?さっきまでは。いや・・・・お前は俺に勝てると思うのか?」



ラグは正直、こいつに勝てる自信がなかった。しかし倒さなければ―
そう思いながら、ラグは剣を構えなおした。
すると、


「ちょっとまて。その前に食事だ。」



『Dシェゾだったもの』が、足元にいる血まみれのクールの頭をつかみ、『Dシェゾだったもの』は大きく口を開けた。

そして―





ごぱぁ!



ぐちゃ、ぐちゃ、ボリボリ、ガバ!



「―!!!」



くっちゃくっちゃ・・・・

・・・・ゴクン!






『Dシェゾだったもの』は、口を開け、クールの首筋に喰らいついた。
そして、腰、腹、胸、頭とを、喰らっていった。
残ったのは骨だけだった。




「・・・・キッサマァア!!」



ラグナスが吼える。しかし『Dシェゾだったもの』は、その怒りを無視し、

「・・・・『魔界の住人の血というのは黒い』な。まずくてかなわん。だが・・・」





ゴォウ!!



黒いオーラが『Dシェゾだったもの』からあふれ出す。

手にはいつの間にかクールのカタナが、握られている。



「コイツの血を喰らったおかげでコイツの能力を手に入れた。さて勇者サマ。闇の眷属である俺を葬り去るのが勇者サマの使命でございましょう?

クックククク・・・・」



『Dシェゾだったもの』は馬鹿にするような物言いでラグに言ってのけた。
完全に楽しんでいる。

これにはラグも、キレた。





「ほざけ!!」



ガキィン!



ラグが、吼えると同時に繰り出した斬撃を、『Dシェゾだったもの』は軽々と払いのけた。

しかしラグは、何度も何度も斬撃を繰り出した。

『Dシェゾだったもの』は剣をそらしてかわすだけ。それも楽しそうに、挑発しながら。



「おやおや、勇者サマ。そんなものですかな?そんな力で勇者がつとまるのですか?」

「―ならばこれは、どうだ!!」



ラグは一歩後ろに飛ぶと、勢いをつけて、高速突進して突きを放った。







ドガァ!!





すさまじい突きが『Dシェゾだったもの』のわき腹を裂いた。

だが、『Dシェゾだったもの』は、気にも留めず、ラグの剣を払いのけラグの腹に蹴りを食らわした。



「ガハァ!」



ドシャッ!



ラグの体は、『Dシェゾだったもの』の蹴りをまともに受け、後方へと飛んでいった。

『Dシェゾだったもの』は自分のわき腹に手を当て、血のついた自分の手とを見比べまた笑った。



「今のはよかったぞ。さすがだ。おもしろい。面白いぞ。」

「そうかい。ならもっと面白くしてやるよ!」





ドゴォォォォォン!!





いつの間にか回復していたシェゾが『Dシェゾだったもの』の後ろから気配を消して、爆裂系の上位魔法を放った。

まともに直撃をうけた『Dシェゾだったもの』だが、霧に霧散して、致命傷は避けたようだ。

だが、霧はまた人型に形成され、何事もなかったかのように『Dシェゾだったもの』が立っていた。



「はははははは、いいぞいいぞ。もっとだ。もっと楽しませてくれ!」



ははは、はははははははは!くははははははははは!!!!!







「嘘だろ・・・・渾身の力こめて撃ったんだぜ・・・?」

「・・・・化け物め。」



シェゾとラグが交互に呟くが、『Dシェゾだったもの』はさも楽しそうに笑っていた。



「・・・・なあシェゾ。連続で渾身の力込めての攻撃、後何回だ?」

「・・・・・・ざっと5、6回が限界だな。しかし、闇系は効かなさそうだから威力のほうはウィッチの爆薬に毛が生えた程度だろうな。・・・・お前は?」



ラグは、剣を捨て、鎧をはずし、体を振りながら答えた。



「メガレイヴかファイナルクロス使うなら、前者は5回、後者は1、2回が限界だろうな。」

「限界が来るまでに倒せる自身は?」

「・・・・・・・・・・・ない。」

「・・・・・・急にカレーが食いたくなった。」



などと最後のほうは意味不明な呟きを残しつつ、ラグとシェゾは再び剣を手に取り、『Dシェゾだったもの』に向き直った。



「まあとりあえず連続攻撃の合間に交互に奥義繰り出せば勝てるだろ。」

「だな。・・・・急にウィッチに会いたくなった。」



と、これはラグの呟き。



「話し合いはすんだか?次は何を見せてくれるんだ?

さあ、早く早く早く早く早く早く早く早く!!」


『Dシェゾだったもの』が、2人に向けて待ち遠しいと言った感じで叫んだ。

「よし・・・・いくぞ!!」

ゴォウ!


ラグナスの咆哮と同時に、剣から衝撃波が発せられる。
しかし『Dシェゾだったもの』は、右手を軽く前にかざし、衝撃波を握りつぶした。
そのタイミングを縫ってシェゾが恐るべき速さで連続斬りを放つ。


ガガガガガガガガガガガガ!!
「るぉおおおおおおお!!!」

シェゾが吼える。
『Dシェゾだったもの』の体は、切り裂かれ、血を流していた。
『Dシェゾだったもの』は、霧に霧散することも、剣でよけることもできない。
それほどまでに、シェゾの斬撃は速かった。

『Dシェゾだったもの』の腕が飛び、腹が裂け、足がちぎれる。
それでも、シェゾの剣は止まらない。

「せぇいやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ぐわしゃ!


シェゾが、最後に叫ぶと同時に『Dシェゾだったもの』の体を上から一閃した。
『Dシェゾだったもの』の体が真っ二つに割れる。
おびただしい血を、シェゾは浴びた。

シェゾは、剣を振り下ろしたままで、静止した。
目の前では、『Dシェゾだったもの』の体が消え去り、黒い霧が残った。
その黒い霧は、白い霧にかわり、『Dシェゾだったもの』は、『Dシェゾ』になった。

見慣れた姿の、見慣れた銀髪。自分そっくりの顔。
『Dシェゾ』がいた。


「・・・・・どうする?そいつを。」

後ろからラグナスが、体を引きずりながら近づいてき、声をかけた。
辺りを見回すと、景色はサタンの城の玉座の間に変わっていた。
元の空間に戻ったようだ。

シェゾは、上を見上げ、つぶやいた。

「・・・・とりあえず、サタンを探そう。もともとそのつもりできたんだからな。」

ラグナスが同意する。

「・・・・しかし、どうするんだ??肉片はそのまんまで、血の後ものこっている。サタンは死んでないといってたよな。あいつは。」


サタンの首を見、2人は沈黙する。回復魔法を使い、傷を治しながら考えた。
そこへ―


ドバァン!!

扉が、ものすごい音で開いた。
どうやらサタンが避難させていた住人が戻ってきたようだ。

「オタンコナース!」
「イウコトナース」
「あんれま、なんかニオウダワサ!」

ざわざわざわ・・・・・・!


ナスグレイヴや、マミー達が辺りを見回し、口々にいった。

「キャ、サタン様の首!!それに血まみれのシェゾさんに、ラグナスさん!!」

ハーピーが絶叫した。どうやら血を見て混乱しているようだ。
シェゾたちは、マモノのペースについていけてないようで、混乱しているようだ。
そして、マモノのうちの誰かが、とんでもないことを叫んだ。


「こいつらが、サタン様を殺したんだ!!」
「な―!?」「なに―!!」
『え〜〜〜〜〜!!!!!!』

ざわざわざわ・・・・・


シェゾとラグナスは辺りを見回し、そして顔を見合わせた。
まわりのマモノは、シェゾとラグナスを取り囲み、いっせいに突撃してきた。

『とらえろーーー!』
『サタン様を殺したやつらだーーー!!!』
『わーーー!!サタンサマーーーー!!』

「うわわわわわ!!!」「おいおいおいおい!!!」

どたどたどたどた・・・・・!



こうしてラグナスとシェゾ・Dシェゾは捕らえられ、Dシェゾが眼を覚ましたときには、3人は牢獄にいた。



続く。
リュウ
2005年01月22日(土) 22時22分01秒 公開
■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
意味不明な展開ゴメンナサイ(汗

戦闘グロく書けたかな・・・・?
ちょっと背筋がゾクゾクしてました(オイ

続かせませんよ、今日は時間ないので明日再UPさせます。
実はこの小説。どことなくヘルシングの台詞を参考にさせてもらってます(Dシェゾだったもののやつとか)。

えー、今日はこれで精一杯です。すみません
m(_ _)m

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No.1  ツバメ  評価:100点  ■2005-01-22 23:56:00  ID:lkpXPMopOFQ
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おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!
どんでん返しにしては、すごすぎですよ!!!
サタンは死んでないはずなのに勝手に殺されたことになってるし・・・
とにかく、最後の方でものすごく突っ込みました。
Dアルルはどうしたのでしょうね。
総レス数 1  合計 100

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