チカラ |
「―――ッ!!!」 ガキィン!! Dシェゾの剣がクールの剣に弾かれ、腕を切断された。 千切れた腕から血がほとばしる。 「・・・・最初あれだけ威勢がよかったのに、なんだ。口だけか・・。 クールは辺りを見回しながらつまらなさそうにつぶやいた。 足元にはDシェゾが倒れており、後方にはラグが、横ではシェゾが立ち上がろうとするが、血を吐きまた倒れている。 クールは、Dシェゾの髪をつかみ顔をあげさせ、腹の辺りを思い切り殴りつけた。 「ガハッ!!!」 血がDシェゾの口からあふれかえる。 目の前のクールに血がまともにかかるが、クールは気にもせず顔を近づけた。 「どうして力を使わないんだい?まだ腕が一本千切れただけじゃないか?」 「ーッ!」 Dシェゾは何のことかわからないという顔をしているが、クールは楽しげに続けた。 「新天地の使い魔たちを出すんだ。体を変換させなよ。時をゆがめて時空間にひずみを作るんだ。腕を再構築して切りかかってきな。」 クールは唇の端を吊り上げ、眼をいやらしくゆがませ、笑った。 ラグは、倒れたままその会話を聞いていたが、クールのその気にラグは、少し恐怖した。 しかし、Dシェゾはクールの言った意味がやっと理解できた。 Dシェゾは、笑っていた。低く。 そして口を開いた。 「・・くくく、そうか。わかったよ。・・・・自分が何者なのか、自分の力がどんなものか、・・・いいだろう。望みどおり、殺してやるよ!!」 ズズズズ・・・・ Dシェゾの体が少しずつ消えていく。 いや、よく見ると霧になっているのだ。 黒い、霧に。 Dシェゾは霧となってあたりに霧散し、クールの手から逃れた。 さすがにクールも驚いたが、その驚きは喜びへと満ちていった。 「はは・・・やっとその気になったかい。・・・・霧にまぎれて隠れたか・・・・・。逃げてばかりじゃつまらないだろう。」 ガチャ! クールの挑発に答えるかのように、背後から物音がした。 クールはすかさず向き直り衝撃波を放った。 「そこか!」 ザシャア! 衝撃波があたったという手ごたえに、クールは少しにやりとした。 「・・・・・・死んだか?あっけなかったな。」 クールが歩み寄って眼にしたものは、Dシェゾの死体ではなかった。 犬だ。黒い、霧の塊でできた犬。 おそらく使い魔だろうその犬は胴を切り裂かれ倒れていたが、クールを確認すると犬の体中から眼が開いた。 ーシャハァァァァ 犬は一声鳴くと、口から火炎弾を吐き出した。 「クッ!!」 ドゴォォォン!!! クールは何とかかわしたが、爆風はすごい威力だった。 体勢をととのえ着地したが、さらにとんでもないものが足元にあった。 目玉に羽のついたような蝙蝠が、爆弾を抱えているのだ。 ーキキキキキキ!!!!! 「何だと!!???」 ドドドドドドドド!!!!!!!! 爆弾はものすごい威力で爆発し、クールの右腕を吹き飛ばした。 クールは、大して痛みを感じていないようだが、その顔にははっきりと焦りの色が出ていた。 クールの顔にはさっきのような余裕の表情はなかった。 しかしクールは大して動じないように見せるため、右腕を再構築しわざと高く叫んだ。 「ははははは!!!すばらしいよ、さすがだ!さすがは時空の水晶!!!僕の最高傑作!!!!!さあ、もっとだ!!もっと、『僕を殺してくれ!!!!』」 その声に反応するかのように、地面から数万匹はいるかも知れないムカデが出てきた。 「ハハハハ!!ムカデか!これでどうするつもりだ!!!」 ぞぞぞぞぞぞ ムカデはクールの数歩先で、人型に形成されていった。 それは長い黒髪をたなびかせ、漆黒のマントを身にまとい、赤いバンダナではなく白いバンダナを額につけた男に形成された。 ーにぃいいいい 男が眉をいやらしく歪め、口先を吊り上げ、楽しげに笑った。 クールは口を開けたまま動かなかった。いや、動けなかった。 『Dシェゾだったもの』からのプレッシャーが彼を動けなくしていたのだ。 『Dシェゾだったもの』を見、クールは口を開いた。 「すばらしい・・・・これで新天地を開ける。Dシェゾ、いや、時空の水晶。さあ、最後の仕上げだ。僕を、さあー」 『Dシェゾだったもの』はその言葉に反応し、クールの背後に一瞬で回った。 そして、笑みを浮かべながら、クールの背中を殴りつけた。 『Dシェゾだったもの』の腕は、クールの背中を貫通した。 「ガアアアアアア!!!!!」 クールの口から想像もできないような悲鳴が出る。 血が噴出す。 『Dシェゾだったもの』は楽しそうにその叫びを聞いていた。 次に『Dシェゾだったもの』は、クールの左足をつかみ、力任せに引きちぎった。 「−−−−−−−−−!!!!!!!」 クールは声にならないような悲鳴を上げ、あたりを転げまわった。 血が『Dシェゾだったもの』に飛び掛る。 『Dシェゾだったもの』の漆黒のマントは深紅のマントへと色を変えた。 『くっくくくく・・・・・はぁーっはははははは!ひゃーはははははは!!』 『Dシェゾだったもの』は声を上げ、おかしくてたまらないようにクールを見下ろし、笑った。 その光景を、動かない体に回復魔法をかけているシェゾとラグは、何か恐ろしく怖い物を感じ取り、恐怖した。 続く。 |
リュウ
2005年01月18日(火) 19時53分46秒 公開 ■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。 |
|
この作品の感想をお寄せください。 | |||||
---|---|---|---|---|---|
No.2 華車 荵 評価:50点 ■2005-01-19 16:21:33 ID:BH4G.dZ0sJM | |||||
うは〜…。何か凄い事になってますね(汗 戦闘シーン…凄いですね(苦笑 Dシェさんがどうなってしまうのか凄く気になります。 続き楽しみにしてますw |
|||||
No.1 ツバメ 評価:70点 ■2005-01-18 16:36:26 ID:lkpXPMopOFQ | |||||
オリキャラっぽいようですが、別に問題ないです。 作品は人それぞれだから、キャラが少々違っててもいいです。 でも、このキャラクタはえぐいな・・・残虐ですね・・・ |
|||||
総レス数 2 合計 120点 |
E-Mail(任意) | |
メッセージ | |
評価(必須) | 削除用パス(必須) Cookie |