時空の水晶

『僕の名はクール。魔と人の間にできた異端児。どうぞよろしく。』

クールと名乗った男は、にっこりと微笑んだ。

シェゾが、わずかに震えながらもクールに質問する。



「・・・・・キサマ、ここで何をしている。お前の目的は何だ。なぜサタンを殺した?」



シェゾが震えている。ラグナスも。そして・・・おそらくDシェゾも。

シェゾの問いにクールは答えた。



「そんなにいっぺんに問い詰めなくても・・・。じゃあとりあえず最初の質問から答えていこうか。」



クールは無邪気な感じでそう答えた。

そして続ける。



「何をしているか。とりあえずここの住人を皆殺しに。でもコイツが事前に僕が来るのを予感してたみたいだから、事前に住人をよそへ送ったみたいだけどね。」



といい、足元に転がっているサタンの顔を踏みつけた。

さらに続ける。

「目的・・・・う〜ん、この世界を壊して新天地を呼び寄せること。

3つめ。コイツは死んでないよ。そのうち意識を取り戻して再生するから大丈夫なんじゃないの?」



言いながら、クールは固まったまま動かない3人を見据え、にこりと微笑んだ。

シェゾは何とか口を開くと、さらに問い詰めた。



「お前はサタンを知っているようだが・・・・何者だ。」



クールは、少し考え込んで、話した。



「僕は元々、大魔王―コイツの父親―の腹違いの息子なんだ。コイツとは兄弟だったわけだよ。」



3人は、唖然としたが、引っかかる点がひとつあった。

しかし、クールは続けた。



「腹違いだって言ったけど、僕の母親は人間なんだ。そして、僕は生まれたときから大魔王を凌駕するほどの力を持っていた。それを恐れた大魔王の配下は、僕を母親ともども魔界の牢獄へ閉じ込めた。そのときコイツは―兄貴は、僕を見下ろして、こういったのさ。

『許せ、俺には何もできない。大魔王の配下のあの男には、大魔王も逆らえんのだ。』ってね。

コイツと大魔王は、『あの男』をおそれ、僕を見捨てたんだ!!母親は、自害したよ。魔族と結ばれなければこんなことにはならなかったってね!!!」



グシャッ!!



いやな音とともに、血が広がる。クールが足元のサタンの首をつぶした。

眼を伏せるラグナスと、怒りを隠せないシェゾを尻目にクールはさらに続ける。



「・・・・そして僕は力を操れるようになり、牢獄を破壊し、つい最近・・・・4年前に魔界の四分の一を破壊した。そして2日前、準備を整えこっちの世界にやってきたのさ。」



そこまで言うと、表情を引き締め、怒りをあらわにした形相へと変わった。
あたりが沈黙で支配された。
だが、話をきいていたシェゾが、沈黙を破る。

「・・・さっきキサマは新天地とかいったな。なんだそれは。」

一瞬3人の頭の中では、図書館で見たあの本の内容が浮かび上がった。
クールは答えを返した。

「・・・・・新天地。そこはこの世であってこの世でない所。創造主の手の届かない大地・・・。」
「この世であってこの世でない?どういうことだ。」

Dシェゾが口を開くと、クールは驚いたような表情を見せた。

「へぇ・・・君、たしか時空の水晶だよね。あれ〜?いつの間に自我を持ったの?」雰囲気も変わったねー。長い間現界にいたせいかな?」
「・・・・・キサマ、おれを知っているのか?」

3人は驚いた。Dシェゾを一目見ただけで時空の水晶と見破ったのだから。
そして、親しい口調で話しかけてくるクールにもさらに驚いた。
だが、本当に驚かされたのは、この後だった。

「知っているも何も・・・・・時空の水晶は僕が作ったんだよ。長い間の幽閉生活ですこし飽きてたからね。つまり、僕は君の父親さ。」

「「「!!!!!!!!」」」

ラグとシェゾはDシェゾを見た。
まさかこの少し幼い感じの男が、Dシェゾ―時空の水晶をつくったというのだから。
だが、新たな疑問が浮かんだので、シェゾはさらに問う。

「・・・・・ならその時空の水晶をわざわざ現界に送り込んだのはなぜだ?やはり新天地か?」
「ご名答♪」

クールは続ける。

「その時空の水晶には、他の空間と自分のいる空間とを連結させる能力を持っている。それも無意識に発動するようにね。・・・・いまは違う存在として生きてるみたいだけど、ソレはいまでも時空の水晶としての波動を放出している。」

クールは、Dシェゾを指差し答えた。
Dシェゾは黙って聞いている。
クールは両腕を掲げ、高らかに叫ぶ。。

「最初に言った僕の目的。それは時空の水晶の力を使い、新天地を呼び寄せ、この世界を再創造することさ!」

Dシェゾたちは黙って聞いていたが、ついに剣を抜いた。

「黙って聞いてりゃ・・・・あまり自分の都合のいい風に考えるもんじゃねーぞ。くそ餓鬼!」
「俺達とあったのが、運のツキだな。」

シェゾとラグが、交互に言う。
しかし、クールは挑発するように
「僕とやりあうつもり?無駄だよ。サタンより力が劣っている君達が、僕に勝てるわけないじゃないか。」
という。
だが、Dシェゾが爆裂系呪文を放った。
そして、冷たく言い放つ。

「負けるつもりはない。ついでに言うと、貴様が何者であろうと俺には関係ない。俺はDシェゾだ。そして、キサマに手を貸すつもりもさらさらない!」

爆発の煙が消え、中から出てきたクールは、刀を構えなおし、魔力を増幅させた。

「・・・・・力ずくってわけね。せいぜいがんばりなよ。手加減はしてあげるから。」

クールがそういうと、あたりの景色は変わった。

「ここは、魔界の一部と化した。・・・逃げる気はないだろうけど、念のために、ね♪」
「ほざいてろ!」「甘く見るな!」「・・・死ね。」

死闘は始まった。
リュウ
2005年01月12日(水) 17時35分57秒 公開
■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
俺どっちかというと、甘甘な話よりこういうシリアス(?)のほうが好きです。
次回は、剣と剣が激しくぶつかり合い、血と肉が飛び散ります。ぐふ、ぐふふふ・・・
後、この話全部完結したら、ひとつにまとめますんで。

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No.2  ツバメ  評価:70点  ■2005-01-15 04:08:41  ID:lkpXPMopOFQ
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自分は、甘甘よりシリアスの方がスキです。戦闘シーンは難しいけどカッコイイですしね。
ギャクもスキです。
戦闘シーンの書き方は難しいけど、もし自分がこのキャラだったらどうするか考えて書いてますけど無理ですかね?
続き楽しみにしてます。
No.1  華車 荵  評価:50点  ■2005-01-14 12:31:42  ID:KBkoNExVYf.
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わぁ〜v戦闘ですか?楽しみですw
私は甘甘かつシリアスが好きですw(ぇ
しかし、残念ながら私は戦闘シーンが書けない…(滅
誰か戦闘シーンの書き方教えて…(マテコラ
続き、楽しみにしてます〜v
総レス数 2  合計 120

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