作られた存在 |
目が覚めると目の前には、あの化け物が立っていた。 『気ヅイタカ。時空ノ水晶・・・・イヤ、ドッペルゲンガーヨ。』 「・・・・」 Dシェゾは答えなかった。 いや、答えることができないのだ。 Dシェゾは今、沈黙の術をかけられているのだ。 『オット、ソウダッタ。今シャベレルヨウニシテヤロウ。』 化け物がそういうと、やっと口を開けるようになった。 『気分ハドウダ?我ガ眷属・・・・ドウボウヨ』 「何を言っている・・?俺は貴様など知らん。そして、気分は最悪だ。」 『クッククク・・・・威勢ハイイナ。シカシ、イツマデツヅクカナ?』 化け物はDシェゾを―いや、今Dシェゾが閉じ込められている水晶―を握りつぶそうとした。 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 『クククク・・・・・アマリ生意気ナ事ヲ言ウナヨ。ウッカリ握リツブシテモシランゾ。』 化け物は手の力を緩めながら楽しそうに吐き捨てた。 「くッ・・・はぁはぁ・・・・・・なんだ、意外と、よく喋る化け物だな・・・貴様。」 『誰ノセイデ・・・・・コウナッタト思ッテイルノダ!!!!』 「グァァァァァァァァァァァァァ!!!!」 Dシェゾが不適にそうつぶやくと、化け物は怒りを込め、さっきよりもすさまじい力で、水晶を握った。 「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 『忘レタトハイワサンゾ!!!!700年前ノコトヲ!』 化け物は手を緩め、静かな口調で語り始めた。 『700年前、ワタシハキサマニツクラレタ。イヤ、合成サレタノダッタナ。人間デアル私ノ時間軸ヲ書キ換エ、貴様ガ生ミ出シタ―イヤ、時空ノ狭間ノ魔物ドモト、融合サセタ。ソシテ貴様ハ、私ヲステタ。貴様ハ、私ノ元ノ体ヲツクリ、貴様ハ融合サセタ私ヲ、ゴミヲミルヨウナ目デ見据エ、嘲リ笑ッタ・・・』 化け物はそこまで言うと、こちらの反応をうかがったのか、言葉をとめた。 Dシェゾは少しおどけた感じで 「さあ・・・・俺は記憶力に自信がないからな・・・。それに、何を勘違いしてるのか、俺が自我を持ったのはつい最近だ。ソレまでは何も記憶がないし、誰に作られたのかも知らない。」 『ダカラドウシタァ!!!』 グッ!!!! 「ぐああああああ!!!!!!」 『私ハ貴様ニツクラレ貴様ニステラレタノダ!!ソレ以上モソレ以下デモナイ!!コノキモチガワカルカ!時空ノ水晶ヨ!!!!』 「がああああああ!!!!」 化け物は叫びながら水晶が砕け散る後一歩というところまで力を込めた。 しかしDシェゾは、苦しみながらも 「ガァ・・・俺は・・・・Dシェゾだ・・・・・時空の水晶・・・・俺は、もうそんな・・・存在では・・・・・ない!!!」 ぱきぃぃぃん!!! Dシェゾはそういうと、自力で水晶を打ち破りその中からあふれ出た光が、Dシェゾの形を作り、Dシェゾに戻った。 その情景はあたかも、さなぎから蝶が帰るようなそんな光景だった。 『オノレ・・・・オノレェェェェェェェェ!!!!』 化け物は、怒りに任せ、Dシェゾに向かって突進した。 しかし、Dシェゾは軽く受け流し、呪文の詠唱を始めた。 「哀れな存在だな、お前は。俺はそんなことを知らないし、いまさらどうこう言われてもどうすることもできない。俺は、影じゃない!!!」 「混沌よ・・・・我が内なる力よ。この哀れな存在を、開放したまえ!!」 『ギガァァアァァァァァァァァァ!!!!!』 化け物は、Dシェゾの右の手のひらからあふれ出た光と左の手のひらからあふれた闇に包まれ、 消えさった。 「もしかしたら、お前も俺も、大して変わらないのかもな・・・・・俺もお前も作られた存在なら・・・・・」 Dシェゾは誰にともなく少し悲しげにつぶやいた。 【そ う だ よ。 き み も、あ の 怪 物 も か わ ら な い の さ。】 つづく・・・かな? |
リュウ
2005年01月09日(日) 22時23分11秒 公開 ■この作品の著作権はリュウさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.1 ツバメ 評価:70点 ■2005-01-10 00:18:11 ID:lkpXPMopOFQ | |||||
いやいや、リュウさん。 期待している人はここにひとりいますよ。 うう・・・ 予想外の出来事でわくわくどきどきです。 早く続きを楽しみにしています。 |
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総レス数 1 合計 70点 |
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