ちょっとした物語7
〜第六章〜    シェゾ奪還計画  そして侵入
「ねぇ、サタン。シェゾを、シェゾを助ける方法はないの!!」
サタンは顔を上げた。
「あるにはある。だが、賭けに等しい・・・」
「それでもいいよ。少しの可能性に僕はかける」
アルルは真剣なまなざしをサタンに向ける。サタンはルルーを見た。ルルーもアルルの意見に賛成したようにアルルの後ろに付いた。サタンは口の端を少し上げた。
(まったく・・お前達らしい意見だな・・・・・)
「では、作戦内容を言う。私たちは今から時空の神殿に向かう。時空の鍵の真の力を発揮できるのはここくらいのはずだ。そしてレイズとシェゾをいっきにここで潰す。いわゆる戦闘に持ち込み勝利するということだ。そして私が時空の鍵を使いレイズを時空の狭間に封じ込める。そしてシェゾを連れ戻す。それから先は作戦成功してから考える。質問はあるか?」
サタンはそれだけ言うとほかの四人を見た。
「何でレイズを時空の狭間に封印するのですか?サタン様なら倒すことぐらい可能なはずでしょ?」
ウイッチが首をかしげながら言った。
「あいつは堕天使だ。それなりの力を持っているはず・・・それに無駄な血は流したくない・・・もう質問はないな」
サタンは全員を見渡した。
「時間がない。急ぐぞ」



「たく、妙な小細工をしてくれたもんだ・・・ねえ、シェゾ」
「あぁ」
シェゾはぶっきらぼうに答えた。シェゾは少し気になっていた。あのアルルという少女、なぜあの時急にものすごい痛みを感じたのか、そして・・・・訪れたことのないはずのあの場所の記憶が少しあったこと・・・・
カチャ・・・・
「お客様が来ちゃったね・・・・・はぁ・・・めんどいなぁ・・」
「俺が殺る」
剣を片手にシェゾは冷酷な笑みを顔に浮かべた。
「まぁ、まってよ。あの魔王さんに少し聞きたいことがあるので。それに、ここには僕が作った「迷宮」があるんだよ」
レイズは天使を思わせるような笑顔を作った。だが、その裏にあふれんばかりの殺意があることをシェゾは知っていた。
「そうだったな。だが、「迷宮」が破られたらどうする?」
信じてないのと言うふうに涙目で見てくるレイズに「もしもだ、もしも」とシェゾがなだめる。
「そうだな・・・茶・黒・黄はシェゾね。僕が魔王さんと青を殺るよ」
シェゾはその場に座り込み片手を挙げ了解のサインをする。
「そういえばさ、お前女なんだから気をつけろよ」
「うん」
レイズはこのときだけ真っ白な花のように心から笑った。



(もうここまで来てる・・・さすが魔王様だね・・)
サタンを先頭にトラップを回避しながらもくもくと進んでいくアルルたち。一番とラップに引っかかりやすいアルルを真ん中にして。
「シェゾ元に戻るかな・・・」
ポツリとアルルが口を開く。しばらく沈黙がその場を支配した。そしてその沈黙を破り光を呼び込むようにラグナスが答える。「だいじょうぶ、きっと」と・・・
アルルの顔に輝きが戻ろうとしたとき違う声が響いた。
「その可能性は無いに等しい」
サタン以外全員が足を止めサタンを凝視する。
「どうゆう・・・・」
サタンは歩みを止め、後ろを振り向く。
「言ったとうり、元に戻る可能性は少ない」
「じゃあ、せめて記憶は・・・」
「記憶は取り戻せる。だが、私はシェゾの記憶をまた消そうと思う」
「何故なんですの!」
「今のシェゾの記憶を消したら闇の魔導師としての枷から外れられる。そしてあいつは普通の人間として生きていける、これから。それに、幸いあいつの顔はあまり人に知られてないからな・・」
バサッ
黒い羽が落ちてきた。
「そりゃそうじゃん。彼を知っているのは僕だけ。それにね、闇の魔導師だって気が付いた人たちは皆あの世だよ」
冷ややかに笑いながらも声は語る。
いっせいに顔を上げる。そこにはレイズらしき人物がいた。
「レイズ、シェゾは何所!」
くすっとレイズ笑みをこぼす。
「早く言わないとジュゲムをかますよ・・・・」
「打つなら打てば?ただし当たらないと思うよ」
いたずらな子供みたいに挑発してきた。その挑発に乗ったアルルがジュゲムをかまそうとすると、それをさえぎるためサタンはアルルの前に手を出した。
「サタ、ン?」
「レイズ、いや幻影よ、私たちはそんな挑発に乗らないぞ」
「そうか、ならしょうがないなぁ。ああ、それとね、いいこと教えてあげるよ」
突然目の前に白と黒の扉が現れた。
「白は、魔王さんとそこの青の髪の女しか入れないよ。黒の扉にはお望みの宝物がまっているよ。ただしそこの黒・黄・茶の髪のやつしか入れないよ。そうそう、この魔法は僕かシェゾにしか解けないから。いくら魔王でも無理だよ」
それだけ言うとレイズは消えた。
「サタン様・・」
サタンはとても険しい表情をしていた。
(レイズの言うとおりにするべきか、何か案を考えるべきか・・・)
「サタン、僕は黒色の扉のほうに行くよ。シェゾと話し合って連れて戻てくる」
皆はアルルのほうに向いた。すると、ラグナスは口の端をあげる。
「そうだ、ここはレイズの言うとうりにしてみないか?」
「でも、何であのいけ好かないやつの言うこと聞かなくちゃいけないのよ。ますます敵の思うつぼじゃない!」
「でも、ラグナスさんの意見にも一理ありますわ」
「そうだな、ここで足踏みしても仕方あるまい」
「うぐっ、サタン様が言うなら・・・・」
圧倒的に不利なルルーは認めるしか選択権はなかった。アルルは顔に笑顔を作ると扉の前に立った。
「アルル・ナジャ、いっきまーす」



ギィー
鈍い音を立てながら扉が開く。
タンー タンー
歩くたびに音が響く。まるで神聖なる神殿を連想させる場所・・・・・・・・
アルルは後ろを振り向いた。後ろには先ほど一緒に入ってきたラグナスとウイッチがいる。そして不思議なことに先ほど入ってきたはずの黒い扉はどこにもなかった。
「扉が・・・」
「なくなっているだろ」
冷静に答えたのはラグナスだった。ラグナスとウイッチはとっくに気がついていたようだった。
「出る方法は・・・・」
シェゾが知っているはずだ、と続くはずの言葉。どこからともなく聞こえた声に阻まれた。
「それは、俺を倒すこと」
三人は声をするほうへ顔を向けた。
「まぁ、無理な話だな」
声の主は祭壇に似たところにいた。そして顔に冷酷な笑みを貼り付けている。
「「「シェゾ!!」」」
「ようこそ、宝物庫へ。そして、ここはお前らの墓場となるところだ・・・帰るなら今のうちだ。扉を出してやる。まぁ、いまさら帰るとは思えんがな・・・・・」
ふらりとシェゾは立ち上がった。そして、音も立てずに近づく。
「選べ。怖気づいて逃げるか、戦い、むなしく命を落とすか」
先頭のアルルの額に剣先を合わせ問いかける。
「決まってるよ。もう、とっくに・・・・」
青桜緑空
2004年12月08日(水) 16時30分03秒 公開
■この作品の著作権は青桜緑空さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
だいぶ遅くなりました。
期末テストがあったものですから・・・・
あと2回ぐらい書いて終わろうかと思っています。

では(-v−)/

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No.1  ツバメ  評価:100点  ■2005-01-03 00:43:07  ID:0DsK8s8sMC6
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うあああ!!
続きが気になる、気になるぅ〜!!
う〜む。なんかシリアス系て恋愛系、ギャク系と比べて感情移入しやすいですね。
今までずっと読んでましたが、まだ続編が出てないので感想を出しました。
早く続きをお願いします。
総レス数 1  合計 100

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