同じ運命 |
ボク達は、生まれたんだ……。 そう、同じものから…? 「綺麗……」 星の輝く、満月の日。 たった一人、川のほとりでこの夜空を独り占めしようとしてたんだ。 ふと、思うんだ。 ボクが闇から生まれて、闇へと帰るんなら、 あの人はどうするのだろうかと。 あの人は時空の水晶。ボクは……?いったい何なのかな。 ただ、あの光の魔道使と同じ格好。ちがうのは目だけ。 息を吐いて、夜空を見上げた。 星は相変わらず光ってたけど、月は雲間に隠れていって。 ボクは赤い瞳…。あの子は、金色に輝く瞳を持ってる。 …あの子達は、自由だから。たまに羨ましくなるんだ。 僕はいつか闇へと帰るから…それが悲しくならないように… ただただ、一人で生きて行かなきゃならないのかもしれない…。 誰かが決めた訳じゃないけど、そうしなきゃいけないんだ。 さらさらと、コノハのずれる音。 かわが流れる音。いつか、聞けなくなる音。 ボクは、一人で生きなきゃならない。 感情なんて、もういらない。何処かに捨てて… 闇にのまれるその日まで、生きて行かなきゃならないんだ それがボクの運命で。彼の運命とかきっとちがうもの。 同じ赤い瞳を持った、あのたった一人、生きる人とは。 いつか、この心の闇が晴れたら。いつか、自由になれたら。 ここから逃げられたら。 一体ボクは、どうするんだろう。何をするんだろう。 人の心の限界は、近いようで遠いから。 だから、悲しくなるんだ。ボクは、嘘つきだ…… 月がまたボクを照らす。 ボクを照らしても、もうあともどりはできないんだよ。 もしも、今ここに。ボクと同じ運命をもつ人が現れたら、 きっとボクはその人を殺すんだろうな ボクの願いでもあるから ボクの願ってることだから 寂しいな……悲しいな…。 ボクは必要としないもの。ボクはいらないもの。 「何してるんだよ?」 急に、出てきた人は。ボクとはちがう運命の人。 「そんなところにいたら、闇にもどっちまうぞ……」 「……戻るものか。ボクは……」 何を言いたいのか分からない。 急に出てきた、その人は。赤い瞳、赤いバンダナ。 闇の魔道使と、同じ格好の…… 「ボクは……」 口が空回りするだけで。 言いたいことはたくさんあるのに…… 「……ボク……は……」 トン…と、肩に置かれた手が、 ボクを安心させる。悔しいなぁ、結局、負けちゃうんだね。 「あんまり一人で考え込むなよ……。」 「Dシェゾ……。」 そう、ボクもキミも、ドッペルゲンガー。 それだけは、同じ運命だ。一人じゃない……? 「ねぇ、ボク達……。一人じゃないよね……?」 何を聞いてるんだろうか……あんなに月が眩しく光ってるここで。 独り占めしてた空間が、キミによってコワされたけど、 それが嬉しいとかんじて……。 「人は、……皆、独りぼっちだ。」 ぽつりと、キミがいった言葉は。 悲しいもので、寂しいものだったけど…… 「じゃぁ、皆……一緒だね……。」 そう、ボクの心の靄を消すには… 一番良い方法だった…… 「あぁ……そうだな。」 そういったキミにもたれかかって、川のほとりで二人で月を見て。 一人でみた月は、悲しいものだったけど、 キミと見る月は、こんなに綺麗。 「ボクは、闇に……いつか戻る。」 「俺だって……おなじだ。」 「だれだって、おなじだ。」 あぁ、もうこれでいい。 もうこれだけでいいんだ。 どうしていいか分からなかったけど、何故か涙が溢れた。 星だけが、しんしんと光り輝いて。 ほら、夜明けはすぐそこ… |
空
2004年11月23日(火) 13時26分20秒 公開 ■この作品の著作権は空さんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 kuku 評価:70点 ■2004-12-02 01:16:40 ID:CIz1/okhtXM | |||||
いいおはなしだあ・・・ やっぱりドッペルはこうでなくては! 次回も楽しみだあ〜♪ |
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No.1 華車 荵 評価:50点 ■2004-11-25 03:38:38 ID:BH4G.dZ0sJM | |||||
DシェDアルですねw HAPPYエンドに見えますよvv だって二人がらぶらb(強制終了 この二人はいつでも支えあっていく存在でなくてはv 「人は皆ひとりぼっち」Dシェゾさんのこの言葉にじーんっと来ましたv 確かに哀しい言葉だけど、逆に言うとDアルルさんが言ったように「皆同じ」と言う事になるんですよねvイコール「一人じゃない」ですねw ちょっとヒネてるDアルルさんにはこういう言い方の方が効果的なのかもしれませんw |
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総レス数 2 合計 120点 |
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